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酒を愛する男の酒28

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:あの湖に逢いたい海抜一七〇〇メートルの湖をあとにして、井伏鱒二先生、開高健さんと私は再び喧騒《けんそう》の都会に戻って来
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あの湖に逢いたい

海抜一七〇〇メートルの湖をあとにして、井伏鱒二先生、開高健さんと私は再び喧騒《けんそう》の都会に戻って来た。
「釣は引退します」と言われた井伏先生が、「引退しません」になるほどの釣果があったから、喧騒の都会の人になっても、私たちは些《いささ》か興奮を持続していた。
「浅酌して別れましょう」ということになって、先生行きつけの新宿の店ですき焼きをつつきながら、再び私たちは清冽《せいれつ》な山の湖の余韻を楽しんだ。
浅酌は、例によって深酌になった。しかし三人とも同じ方向なので、車は一台でよい。東京の夜の道を、車は清水町に近づいた。
「あの湖はよかった。それが今度は社会党……」と先生は言われた。井伏先生は時々、夫人のことを「うちの社会党が」と言われる。井伏先生が外出しようとして着物を着ると、「今日は洋服の方がいいのじゃあないですか」となり、洋服を着ると、「洋服は似合いませんよ」となり、何でも反対するから社会党だ、と先生は言われるのである。
しかし、この社会党《ヽヽヽ》は先生特有のテレから生れたパラドックスであろう。
「あの湖」から帰ってから、私は短い期間に三度も旅に出た。私にとっては仕事には違いないが、旅が絡むと仕事も楽しくなる。
とくに河口湖畔の一夜は愉しかった。メンバーも田辺茂一さんをはじめとして、團《だん》伊玖磨、藤島泰輔、山崎唯、その夫人の久里千春、村松英子、イーデス・ハンソンさんといった親しい人が多かったため、余計に楽しかった。
私たちはサロンバスに乗って新宿を出発した。サロンがあるから、車が動き出した途端に飲みはじめた。東名高速を御殿場で降りるのだが、そのレストハウスで團さんが、チクワと山葵《わさび》漬を買った。
サロンバスには電子レンジがある。チクワを電子レンジで焼いて、山葵漬をつけて食べようと言うのである。バスの中の焼立てのチクワというのが珍しく、大いに美味《うま》かった。むろん酒も大いに進んだ。バスの案内嬢が、あれが枯れてはいますが富士|薊《あざみ》ですというと、
「ナニ? 冨士眞奈美がどうした?」
などと言い出す人まで出てきた。
富士ビューホテルのたたずまいは、天井が高く、特にロビーには飛騨《ひだ》高山の旧家の柱や梁《はり》を、もうひと回り大きくした巨木が使われていて、われわれ一行の意気はいよいよ壮大になった。
離れの畳の広間で、私たちは鍋《なべ》をつつき、宴果てると、ロビーのバーで飲み、バーがクローズするとグリルを借りて、またぞろ酒を飲んだ。そこにホテルの好意でパイプオルガンが運ばれ、山崎唯さんが即興で弾き語りをし、夫人の久里千春さんが夫君を応援して歌ったりした。
團さんが割箸《わりばし》をタクトにして棒を振った。レパートリーは文部省唱歌である。高音部が出ないと、團さんは背伸びをしてタクトを頭の上で振る。しかし悲しいかな、私たちはついてゆけない。すると團さんは左手で自分の頤《あご》を吊《つ》りあげて、高くせよ! とやる。團さんとしてはこれほどひどい合唱団ははじめてであろう。
歌にも飽きて、また飲みはじめた。ビール、ウイスキー、日本酒、ワイン、ブランデーと、各自思いおもいに飲んでいたのだが、新宿を午後一時に出発したのだから、十二時間飲みつづけていることになる。それでいて一人もダウンしないのは、酒がよいのか、飲み手がよいのか。あるいは十二月の河口湖畔の冷気がわれわれを引き締めるのか。
團さんは最後はワインになっていた。
「ぼくは奇妙に白に弱いんです。赤ならばどんなに飲んでも平気ですけどね」
と言いながら、ワインのコルクを手にして、
「このコルク、みんな貰います」
と言った。
「八丈島に帰るでしょう。ぼくの釣場に立つとね、その日の海の具合で黒鯛が見える時があるんです。もう顔|馴染《なじ》みのもいてね。そいつがどうしても釣れない。赤い唐辛子浮子で釣ってる時、そいつが底から出てきて、赤い唐辛子浮子を上目で見て、吹き出して笑うんだ。胸ビレで口を押えてね。黒鯛てのは大食漢のくせに神経質で、頭いいですからねェ。赤い唐辛子浮子がおかしくてしょうがないんでしょ。それで、このワインのコルクね、これを細く切って、指でつぶして、糊《のり》で浮子に仕上げるんです。コルクの浮子で釣ったら、顔馴染みの一匹が騙されて釣れちゃったんです。とっても大きかった……」
などと釣の話をした。
部屋に戻って三時間ばかり眠ると六時半。カーテンを引くと五合目まで新雪を被った驚くほど大きな富士が迫るようにその英姿を見せていた。
私は湖畔に散歩に出た。身を切るような空気である。ホテルの(?)犬がついてきた。白っぽいような茶っぽいような雑種の犬は私の道案内のように十メートルほど先を歩きながら、時々立止って私を見た。霜が雪のように白い。と、急に湖上の霧が湖畔に忍び寄ってきて、十メートル先の犬が霞《かす》むようになった。霧の中から一人の男が近づいてきた。團さんである。私は手を挙げ、次にニヤリと笑った。しかし團さんは素知らぬ顔をしてすれ違うのである。
「團さん」
と呼ぶと、
「矢口さんだったの? ぼくは、犬を連れて散歩する別荘から出てきた人と思っちゃって」
と笑った。十メートルほど離れている犬に、私と團さんとでいろんな呼び名を呼んでみた。「ポチ」「シロ」「ブチ」「ジョン」「一郎」「二郎」「サブ」。犬は振り向きもしない。私が試みに、「ヨッ」と呼ぶと、サッと私たちの足元に戻ってきた。
「ありゃ、奴さん、ヨッだよ」
「ウーン、……そういえば、何となくヨッみたいな犬だ」
と團さんが言った。
霧が晴れてきた。海抜九〇〇メートルの河口湖は射しはじめた朝陽に湖面を輝かしはじめた。
野鳥たちが群舞しはじめた。野鳥の群れはマヒワ、ヒヨドリ、ムクドリが主流で、それにホオジロ、ホオアカ、カケスなどが混った。
私はふと、九月に訪れた海抜一七〇〇メートルの「あの湖」の野鳥たちを思った。ミソサザイ、ゴジュウカラ、メボソが主流であった。
それから井伏先生のことを思った。風の便りで、先生は「あの湖に逢いたい」と、しきりに言われているという。「あの湖」の湖《ヽ》は|みずうみ《ヽヽヽヽ》と読まずに|こ《ヽ》と読んでいただきたい。つまり、
「あの湖《こ》に逢いたい」のである。
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