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酒を愛する男の酒29

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:とんこ亭の人々「二、三日顔見せなかったけど?」「信州に取材の仕事でね。ついでに蜂《はち》の子で一杯飲んでましたよ」「蜂の
(单词翻译:双击或拖选)
とんこ亭の人々

「二、三日顔見せなかったけど?」
「信州に取材の仕事でね。ついでに蜂《はち》の子で一杯飲んでましたよ」
「蜂の子ねぇ、佐藤|垢石《こうせき》老を思いだすなぁ」
「垢石は釣じゃないのか?」
「いや、貴君のように、老が信州へ三、四人連れ立って行ってね、折しも蜂の子のとれる季節というので、巣を探して現場で蜂の子鍋をするという趣向なんだよ。ある男は酒の入った一升|瓶《びん》をぶらさげる。ある男は牛肉の包みと割下《わりした》の入った水差しを持つ、ある男は支那鍋を担いで勢揃《せいぞろ》いすると、まず田んぼに行って殿さま蛙《がえる》をつかまえる。可哀そうだけど殿さま蛙を割いて、|もも《ヽヽ》肉に真綿を巻きつける。真綿は引っぱって、三十センチくらいの糸に伸ばす。そんな仕かけをいくつか作って、農家の生垣の灌木《かんぼく》につけておくと、やがて地蜂がやってきてもも肉をかかえて飛びたつんだそうな。何しろ地蜂は、蛙のもも肉に目がないらしい。地蜂は重い荷物をかかえて、まっしぐらに自分の巣を目ざして飛んでいくのだが、もも肉には真綿の仕かけがついているから、真綿の糸が秋の陽ざしにキラキラ光る。垢石老をはじめとして、垣根の傍にひそんでいた男たちが一斉に地蜂を追跡しはじめる」
「いい大人たちがねぇ……」
「垢石さん自身も、あまり見られたサマではないと苦笑していたけど、そこが通人の辛いところなのだそうだ。重い荷物を持った地蜂だから、スピードはそれほどないけれど、最短距離で巣へかえろうとする。だから小川の上を飛び、田んぼを斜めにかすめ、農家の庭先を横切るというわけだ」
「そうだろうなぁ。空中には道はないもの」
「一見、紳士風が鍋や一升瓶をぶらさげ、奇声をあげながら秋の陽ざしの中を、上目づかいに蜂の糸を追いかける図というのは、この世のものじゃない。田んぼのちょろちょろ小川でズボンを脱ぐ。着流しのきものの旦那は、尻はしょりになって、何やらひらひらさせる。そんな連中が突如として庭先にあらわれたり、裏の竹藪《たけやぶ》を通り抜けていくんだから、農家の人が目ン玉を白黒させて驚くのも無理はない。ようやく蜂が飛行をやめて降りたったところに巣があるわけで、日当りのよい田んぼの端の土手なんかに多いそうだ。巣が見つかると、その辺の枯葉や粗朶《そだ》をかき集めて焚火《たきび》をはじめる。そして煙を地蜂の巣の中へあおぎこむ。おおかたのハチは巣の中で窒息してしまうが、逃れ出てきた健気《けなげ》なやつも、焚火の火にとび込んで死んでしまう。ころやよしと、穴を掘って地蜂の巣を取りだし、焚火に鍋をかけ、割下を入れて牛肉を煮る。酒は茶碗酒。巣を手で欠いて、めいめい箸を突っ込んで蜂の子を引っぱりだし、鍋の煮汁にさっとつけて、殆ど半煮えのまま口にほうり込む。垢石老にいわせれば、こんなうまい酒の肴《さかな》はないという。なかには、あと半日すれば親蜂になるのもいる。野山をかけめぐった上に、焚火の火と茶碗酒でぽうっとなっているから、幼虫と|それ《ヽヽ》の区別がつかなくなってくる……」
「そんな成虫の半煮えは危険じゃないのか?」
「そこだよ。老に聞いてみた。老|曰《いわ》く『素早く食べねば舌を刺される。刺されぬようにだましながらのみ込むのが通なんじゃ』。老がいうのだから間違いなかろう。通の道は厳しい」
「通といえば小野佐世男のゆでだこの話……山形と新潟の境目あたりに鼠《ねず》ヶ崎というところがある。磯には温泉が湧《わ》いていてね、磯風呂に入ると日本海の波しぶきが上気した頬にかかっていい気持だそうだ。湯舟のわきには湯元みたいに熱い湯の吹き出るところもあって、そこは手を入れることもできないそうだ。小野さんは、お銚子《ちようし》何本もその湯元でお燗《かん》をして、湯の中でちびりちびりやる。ふとみると、たこが岩をはい上ってきて、湯舟のふちを歩いていたが、小野さんに気づいて、あわてて熱湯のたぎる湯元に落っこちて、とたんにゆでだこになる。小野さんは、そのゆでだこを日本海の潮で洗いながらちびりちびりと飲んだそうだ」
こんな他愛もない話をしながら、私たちは毎晩酒を飲んだ。場所は、今は新橋ビルが建っている新橋駅銀座口狸小路の「とんこ亭」である。
殆どの客が、ジャーナリスト、作家、評論家、漫画家、カメラマンである。間口二間、奥行一間半ほどの店だから十人も入れば満席になる。
覗《のぞ》いてみて入れないとなれば、そこらを一まわりしてくる。二度目に覗いても入れないときには先客が、では交替しましょうと席を立つ。みんな顔見知りの常連だから、それがごく自然に行われる。
加えて「とんこ亭」のとんこ女史が天衣無縫でジャーナリズムの猛者たちもごく自然に|さばか《ヽヽヽ》れる。いや、とんこ女史が客を|さばこう《ヽヽヽヽ》などとは思っていないからスムーズに交替が行われるのだろう。何しろ、とんこは客よりもいちばん騒いで、喋《しやべ》ったり笑ったりしているのだから世話がない。人徳というべきか。
この狸小路というのは、戦後のいち早く出現した闇市を追いかけるようにしてできあがった飲屋街である。どの店をみたところで、あまり結構な造りでもなければ風情があるわけでもない。トイレも共同のものが、小路の突き当りにあるというたたずまいだ。
それでいて、「とんこ亭」に集まる人々にはある種の酒品があった。志が高かったのか。それに客同士、ある種の連帯感をもっていたようだ。
そんなわたしたちの中に、ちょび髭《ひげ》をはやした五十年配の紳士が現われはじめたことがある。何処《どこ》の誰だかわからない。また、尋ねようとする者もいない。ただ、その男の雰囲気《ふんいき》は私たちの稼業とはまったく違う世界の人のようであった。
その男は、いちばん隅のカウンターで静かにグラスをかたむけ、私たちのとりとめもない話を熱心に聞いているようであった。三月《みつき》ほどそんな日がつづいて、その男は、ぱったり来なくなった。
それに気づいて、ある晩、とんこ女史に、あの男のことを聞いてみた。
「あぁ、あの人、二、三日前夕方早く来て、とても楽しかった、みなさんによろしくいってください……で、それから何といったと思う?」
と、とんこ女史はいって、あの男の声色らしい声で、
「わたしは、今日かぎり社交界から身をひきます」
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