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酒を愛する男の酒30

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:泣あっかせる、ね正月の二日から早々と社に出て仕事をしたことがあった。ビル街はまったく深閑として、とりつくしまもないおもむ
(单词翻译:双击或拖选)
泣あっかせる、ね

正月の二日から早々と社に出て仕事をしたことがあった。ビル街はまったく深閑として、とりつくしまもないおもむきであった。
しかしスタッフは元気な顔でやって来て、朝から編集の仕事に精を出した。重箱におせち料理を持ってきた婦人記者もいた。これは大いに助かった。何しろ正月三ガ日のビル街では、弁当持参でなければ飢え死する。
仕事は思いのほかはかどった。気がつくと時計は夜の七時をまわっていた。オフィスを出て新橋駅へ歩く。習い性とは恐ろしいもので、足は自然に迂回《うかい》して、「とんこ亭」に向いているのである。
正月二日である。あいている筈はない。バーや小料理屋の並ぶ道筋は、のれんをおさめて、その暗がりが寒々しく、何やら映画スタディオのセットを思わせた。その暗がりの中にぽつんと一つだけ小杳《おぐら》い灯りが見えてきた。残置灯のようなたたずまいであった。
「もしや」という気持になった。その灯りは「とんこ亭」からもれているようである。私たちは足を早めた。
「とんこ亭」はあいていた。
とんこのいつもの笑顔があった。おおげさにいえば、とんこの笑顔が暗黒の太陽、砂漠のオアシス、地獄の仏に見えた。新年の挨拶が恰《あたか》も越冬隊「ふじ」の帰還の時のような響きになった。
私は正月二日から初仕事、それも突貫作業などということは、日頃の心がけが悪いようで、どうにも落着かなかった。——だからスタッフにも仕事をするつらさよりも、なまけものの節句働きのような心理的なつらさがあるにちがいない——私は仕事をしながらたえず心の片隅にそんなこだわりがあった。
「とんこ亭」の女主人も働き者である。仕事好きで、常日頃、仕事に全力投球をする女傑である。だからその人が正月の二日から店をあけている……ということに、喜びが二重になった。
私たちはいつものように飲み始めた。というよりは、去年と少しも変わらぬことが、また始まったのである。スタッフのうちお嬢さん記者は一時間ばかりで帰っていった。私はいつもより酔いが早く回るようである。そんな時、
「ほおー、のぞいてみるもんだね」
という耳慣れた懐しい声がした。扉の外の声音《こわね》で戸板康二さんとわかった。戸板さんは満面笑みをたたえて入ってこられた。
「のぞいてみるもんですね」
ともう一度同じ言葉をくり返して、新年の挨拶になった。戸板さんは正月興行の劇場《こや》をいくつかのぞいたり、顔を出して、まさかと思いながらも、「とんこ亭」へ足を向けたのだそうだ。
戸板さんの酒もいつもより急ピッチのようであった。まさかがほんとうになった楽しさに違いない。私は饒舌《じようぜつ》になった。
「たしか荷風の小説でしたか? 大店《おおだな》の主人が道楽が過ぎて番頭の数が減る。いつしか使用人もいなくなる。店を手離して一家は離散する。女房は実家《さと》に帰り、娘は芸者になった……その主人《だんな》は今では炭屋?かなんかの二階に間借りをして……そんなある冬の日、主人《だんな》は昼風呂に行き、湯銭を番台に置いてちょいと女風呂の脱衣場をのぞいて若い女と目が合う——その女が芸者になった自分の娘で……風呂からあがって、風呂屋の前で娘と立話をしたんだったのかな? 娘は父親の住んでいる町の色街に移っていることがわかる。娘と別れて炭屋に帰り、はしご段を二、三段上ったところで、炭屋に話しかける。『女風呂もたまにはのぞくもんだね』。そのたまにゃのぞくもんだねを、さっきの戸板さんの『ほおー、のぞいてみるもんですね』で、思い出したんですよ」
「女湯もたまには……ナカセル」
「その娘さんが、道楽な父親をそれほどうらんでない感じに書かれてましたね。芸者になったことも、いまの境遇もそれほど苦にしてないような感じなんだなぁ」
「哀しいけれど、救いがある」
「そうなんです。お父っつぁんはのん気なんだから、なんて言ったりして……。そのお父っつぁんは、七輪の火で慣れぬ手つきであさりのむき身を小鍋に煮て一杯飲んだり」
「むき身の小鍋、ナアッカセル、ネ」
戸板さんのナカセルネは「泣あっかせる」で、きれて、「ね」がつく。
今度は戸板さんの話が始まる。急に浮かんできた小説の梗概《あらすじ》である。
——私(戸板さんらしき人物)が旅に出る。あてずっぽうの土地で行き当りばったりの鄙《ひな》びた旅宿に泊る。通された部屋の隣室には、先客がいるらしい。
薄いふすまを通して咳《しわぶき》がする。声の主は五十をとうに越えたやせ型の男であろうと私は想像する。私は隣りがそんな男の泊り客なのに軽い失望を感じ、ひとしお旅のさびしさにひたるのである。
そこへ廊下に物音がして、女中が客を隣室に案内した。客の声は三十がらみの男のようである。何だ、男のところに男の客か……。その二人の男のボソボソした話し声が聞えてくる。
私は女中のとったふとんにもぐり込む。夜が更けていちだんと静けさが冴《さ》えかえる。隣室の会話がややはっきりと聞えてくるようになった。二人は絵師らしい。年とった男はこの町の人ではない。何かの用でこの田舎町にきた。年の若い男は、その先輩に絵の技法の細部にわたって教えを受けているかのようである。どんな絵を描くのだろう? と思っている私に、二人の男がどうやら春画の絵師であることがわかってくる。私はふとんの中でいよいよ流離の思いにひたるのである——。
「急に浮かんだ筋だけれど�遠州藤枝の宿�という題はどうです」
戸板さんも私も新年の酒に陶然と酔った。野球の話もした。戸板さんの野球はプロ野球ではない。断然六大学野球である。戸板さんは熱烈な慶応義塾ファンである。母校愛の権化である。それは年とともに熾烈《しれつ》さを増すようである。話は私の会社チームの草野球の話にもなった。
「近頃、私はファインプレイばかりします。つまり、反射神経がにぶって、第一歩の出だしが悪いんです。何でもない球なのに間一髪のような取り方をする。素人見には、それがファインプレイに見えるんです。オーバーなしぐさがファインプレイに」
ここまで話すと戸板さんが、
「大芸論、芝居の世界にもそれがあります。役者と観客の間にもそれがある」
「とんこ亭」は�陶然亭�となって、やがて三日を迎えようとしていた。
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