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酒を愛する男の酒31

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:ほのぼの美人「とんこ亭」に行ったら、とんこがいきなり、「誰か亡くなった方いない、ご親類でも職場でも?」と言うのである。ど
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ほのぼの美人

「とんこ亭」に行ったら、とんこがいきなり、
「誰か亡くなった方いない、ご親類でも職場でも?」と言うのである。どうも身近に亡くなった人はいないと答えると、大いに落胆して、
「あーら、生憎《あいにく》ねェ。あたし夏の喪服を思い切って作ったのよ。それができてきたの。だから、どっかで葬式がないかなあって思ってんだけど、喪服を作ると逆にないもんねェ」と笑った。
とんこの話によれば、彼女はいままで合着の喪服しかなかった。ところが運悪く、行かなければならない葬式というと、符合したように夏なのである。とんこは合の喪服で焼香し、涙を流し、そして大いに汗をかいた。肩身の狭い思いもした。
そこで清水の舞台から飛び下りる思いで、夏の喪服を新調したのである。だから「誰か亡くなった方いない?」ということになる。その気持、大いにわかる。しかし生憎、私の縁者は壮健であって、とんこの期待にそえなかった。
とんこという人物は、このように喪服の話ひとつするにしてもカラリとさわやかなのである。一向に湿っぽくならない。
そういえば、常連と「とんこ亭」女主人との間の浮いた話を聞いたことがない。少なくともいろっぽい艶《つや》ばなしにまで進展しないのである。これは何故か。
とんこは世に言うところのいわゆる美人とは言い難い。しかしある種の美人である。それはほのぼのとあたたかいものを感じさせる女性である。つまり�ほのぼの美人�であります。
それならば浮いた話の一つや二つあっても、一向にふしぎではないはずである。それが艶っぽくならないのは、とんこの性格の故である。もっと具体的に言えば、とんこの日常会話の音声のボリュームによるのではなかろうか。
たとえば、とんこは文藝春秋のX氏、朝日のY氏などには、ほかの客とは別な関心を寄せているはずである。なぜそれがわかるかといえば、とんこがはっきりそう言うからである。
「あたしゃ、文春のXに岡惚《おかぼ》れしてんだよォ」
とか、
「朝日のY、いいやつだなぁ、あたしゃ涙が出てくるんだ」
などと、オン・ザ・ロックスを客に出しながら、大きな声で話しかける。だから聞き手はここでほんとはハッとしなければならない。もの凄《すご》い内容に、
「ン?」
とか、
「ナヌ?」
と反応しなければならない。にも拘《かかわ》らず一向に艶っぽさも色気もないのは、とんこの話し方が公明正大でありすぎるからだ。大声でありすぎるからだ。馬鹿でかいのろけ話なんて一向にいろっぽくないものである。
「朝日のY」といえば私はごく自然に、やはり朝日の一人の友人の顔が浮かんでくる。いま仮の名を春山咲平としておこう(この件《くだ》りはどうもイニシアルとか仮名が多いなぁ)。
春山はニュースストーリーの名手である。彼のニュースストーリーが載った号の「週刊朝日」は、俄然《がぜん》いろめくような感じさえする。
やさしい男で、いつも伏目がちに、ボソボソ話をするのである。この伏目がちのボソボソが、女の母性本能を刺激するらしい。
彼の告白によると、ある正月、炬燵《こたつ》に入ってぼんやりしていた——よっぽど彼は暇だったんだろう、炬燵の上にノートを拡げて、過ぎし日の彼の前をよぎった女性の顔を一人思い浮かべてみた。女性の翳《かげ》がよぎり、一人の顔が浮かんできた……彼は何の気なしに鉛筆で一本棒を横に引いてみた。二人目のときにその横棒の中心部から縦棒を引いた。三人目のときに、その縦棒の中心部から右へ短い横棒を引いた。ふと気がつくと小学校の級長選挙のときの正《ヽ》という字を書きはじめていたのである。
つぎつぎに過ぎし日の花の顔容《かんばせ》を思い浮かべて棒を引いてゆくうちに、いつしか正という字がノートにいっぱいになって、彼は空|怖《おそ》ろしくなって作業をやめたという話である。
こんな話もある。地方取材を終えていったん社に帰り、すぐまた社を出て、家に帰るため有楽町から電車に乗った。東京駅で乗り換えて、国電の立川行に乗った。彼の家は吉祥寺《きちじようじ》である。東京駅を出たころ、激しい雨が降りだした。にわか雨である。
しかしその雨も、吉祥寺の駅に降りたときは、嘘のように上っていた。通り雨である。彼は旅のためにレインコートを持って行ったのだが、駅を降りたつとき、それを小脇に抱えた。
改札口のところで、文学サークルで知り合った美しい人妻の顔を見た。その人妻も春山に気がついた。人妻は男物のレインコートと雨傘を持って夫を待っていたのである。
「通り雨だったのね、雨が上ったから一緒に帰りましょう」
と夫の傘をブラブラさせた。
二人はならんで井《い》の頭《かしら》公園口の方へ歩いて行った。春山の家は、井の頭公園を越えたところにある。この公園|界隈《かいわい》には、いくつもラブホテルがある。突然、人妻が春山のレインコートをひったくるようにして、一軒のラブホテルに走り込んで行った。春山はその後を、
「レインコートを返してください」
と追いかけて、とうとう二人とも部屋に入ってしまったのである……。男、おとこ春山、通り雨。
そんな春山と、私は「とんこ亭」へ行った。意外にも春山はとんこははじめてだという。ニュースストーリーの名手でありながら、春山は初対面のとんこに、伏目がちで話をした。それが、とんこの母性本能をそそるようであった。
肴にタタミイワシが出た。タタミイワシとは気が利いてるねェ。ところが春山は、タタミイワシに箸をつけない。
「どうした? きらいなのか」
きくと、春山は、
「眼が恐《こわ》い。ちっちゃなイワシがみんなで僕を見てる」
とぬかしおった。そして裏返してみて、
「裏返してもみんなが見ています」
春山が女心を妖《あや》しくゆさぶる秘密を、まのあたり見る気がした。
つぎの日、私は一人で「とんこ亭」へ行った。とんこが目を輝かして、
「きょうは春山さんはご一緒じゃないの? 朝日の人ってどうして、あんなにいい人ばっかりいるのかしら」
めずらしく客は私一人だったので、とんこは朝日のYの話をした。
Yと高尾山に行った話である。ケーブルカーの高尾山駅でおりて尾根伝いの参道を行くと、そこに物売りが出ていた。鶯笛《うぐいすぶえ》も売っていた。ハイキングに来た子供たちは、親にせびって鶯笛を買ってもらって、各自各様に、うぐいすの鳴き音を、山の空気にひびかせていた。
「あたし、そのときYを諦《あきら》めたのよ。Yったらその鶯笛を買って、そっとポケットにしまったの」
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