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酒を愛する男の酒32

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:私の耳は鳥の耳ソニービルの交差点までくると、師走《しわす》の街は慌しく、夕暮の中の騒音標示の数字は、「ただいま94ホーン」
(单词翻译:双击或拖选)
私の耳は鳥の耳

ソニービルの交差点までくると、師走《しわす》の街は慌しく、夕暮の中の騒音標示の数字は、「ただいま94ホーン」を告げていた。ゴーストップを待つ間に、私の耳にかすかな野鳥の声が聞えてきた。
「鳥の声がするのだが……」
傍らの友人は、けげんな顔をした。私の連れはアメリカ人で、戦後日本に来て日本が好きになり、日本人の女性と結婚した、今様《いまよう》に言えば少しばかりヘンな外人であるが、
「鳥の声? 何も聞えないよ。だけどアレかな?」
と言って、彼は朝日新聞社の屋上に鳩ではない鳥が夕方になると群れているのを二、三度見たことがある、と言った。
横断歩道を歩きながら私はまた野鳥の声を聞いた。私たちはごく自然に西銀座デパートの脇を通り抜けて、朝日新聞社を仰ぎ見た。
ムクドリであった。数にして二十羽ほどであろうか。夕方になったので塒《ねぐら》に帰ってきた風情である。
「|あれ《ヽヽ》よ、|あれ《ヽヽ》がいるのよ」
アメリカ人が言った。ムクドリは漂鳥であって冬は低山地帯から平地にやって来るのだが、たまには神社の松の巨木の洞《ほら》などを見つけると、留鳥となって一年中|棲《す》みつく。
朝日新聞社の屋上のムクドリは、冬場だけ田舎からやって来たお客さんであろう。それにしても騒音と煤煙《ばいえん》のただ中の有楽町などに来たのはなぜであろうか。
新聞社は嘗《かつ》て伝書鳩を飼っていた。朝日新聞社の屋上にはその名残りの空《から》の鳩舎《きゆうしや》があるのであろうか。それに目をつけて夜はそこを塒とし、日中は宮城前の広場や堀端を餌場にしているのかもしれない。
私はアメリカ人と別れて六本木のペンクラブへ行った。ペンクラブのオフィスにいると川端康成先生がひょっこりやって来られた。川端さんはペンクラブの事務所のチリ籠《かご》と、会員が泊るベッドルームに使うこまごましたものをわざわざ持って来られたのである。
そして京都で行われる予定の日本文化研究国際会議の話や文藝春秋社で行う講演の内容のディテールについて、まことに気忙《きぜわ》しくいろいろと話されたり、私の意見をきかれたりした。
私が部屋の明りを点《つ》けようとすると、
「そのままでいいです。話をきいて下さい」
と、ふだん口の重い川端さんにしては珍しくよく話された。そして自分の思ったことを全部言ってしまうと、
「何かおもしろい話、ありませんか」
と訊《き》かれた。私はソニービル前の喧騒《けんそう》の中で野鳥の声を聞き、それがムクドリであったこと、そのムクドリが朝日新聞社の屋上に棲んでいることを話した。
「よく聞えましたね」
「一緒にいたアメリカ人に、私の耳は鳥の耳だと自慢しましたら、そういうのは猟師の耳だと冷やかされましたよ」
「猟師の耳ですか」
川端さんは笑った。
川端さんの小説に『日雀《ひがら》』というのがある。川端さんが『禽獣《きんじゆう》』を書いた頃の作品で、上野桜木町のお宅には五十羽ばかりの小鳥が飼われていた。川端さんの飼う鳥はほとんど野鳥で、それもキクイタダキとかヒガラといった野鳥を愛した。当時はこうした野鳥がさかんに飼われていたらしい。川端さんに言わせるとその野鳥たちは、この世のもので花にもまさる造化の妙だという。
小説『日雀』には川端さんらしい主人公が木曽路の寒駅で汽車を降りて、すばらしいヒガラの鳴き声を耳にする。ヒガラのさえずりを辿《たど》って行くと、街すじのある商店にヒガラの籠があった。主人公は店に入っていって、そのヒガラを店の親爺に譲ってくれ、というくだりがある。
「先生も小説の中で、鳥の耳をもった男を書きましたね」
「ええ、あの頃は、いっとき鳥の声しか聞えませんでしたよ」
川端さんはまたたのしそうに笑った。
この文章を書いている今日から十日前の朝、私は庭でかすかに郭公《かつこう》の鳴き声を二声聞いた。あるいは空耳ではないかとも思った。家に入って時計を見ると五時十分であった。
つぎの朝、郭公の声が聞えるかもしれないという期待のもとに庭に下りた。庭の欅《けやき》や櫟《くぬぎ》にはシジュウカラの小群がやって来て、地鳴きをしていた。と、突然、東側の空から郭公の声がした。三声鳴いた。そしてやや近づいてまた三声鳴いた。私の立っている庭からはかなりの距離があるが、まさしく郭公である。時計を見ると五時であった。
つぎの朝も私は早起きをした。庭に下り立つや否や、庭の間近のすぐ東側の空を郭公が一声鳴きながら飛び去った。時計は四時五十分であった。
つぎの朝、私は四時半に起きた。しばらくして郭公は私の家の北側——おそらく一橋大学の森と思われるところで三声と、つづいて五声鳴いた。
郭公は托卵《たくらん》をする巣をさがしているのか。托卵の犠牲者はモズ、オオヨシキリ、コヨシキリなどの野鳥である。だとすると、こうした野鳥たちもわが町、国立には増えてきたことになる。
私はペンクラブの緊急臨時理事会を終えて、部屋を出ようとして石川達三さんに声をかけられた。
「銀座に出ようよ」
土岐雄三さんが、私も仲間に入りますと言われて、三人で銀座に行った。
車の中でこの日が土岐さんの六十五歳の誕生日であることがわかり、まず「浜作」で乾杯した。ついで「エスポワール」で再び乾杯をした。もう一軒、石川さんの知っている「波」というバーでもう一度乾杯をした。
「あれ、九時になった。僕は帰るよ。朝早いんだ。それにこの頃、郭公が鳴くのでね」
と石川さんが言った。
私は驚いた。世田谷のあたりにも郭公が来ているのである。土岐さんと私はそれから「眉」に行くことにして、石川さんと別れたのだが、土岐さんが、「僕も女房のもとに帰ります」と言い出した。
私は急に眠くなった。日曜日から郭公騒ぎで早起きの連続である。車に乗ると、もう眼をあけていることができなかった。鳥の耳どころか、私は鳥の目である。
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