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国盗り物語49

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:わが城 天文八年の三月、庄九郎は、稲葉山城(金華山城、岐阜城)の設計《なわばり》をはじめた。設計をするには、実地踏査をし
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わが城

 天文八年の三月、庄九郎は、稲葉山城(金華山城、岐阜城)の設計《なわばり》をはじめた。
設計をするには、実地踏査をしなければならない。毎日、この美濃平野にそびえている峻嶮《しゅんけん》にのぼり、山中を踏みあるき、必要なことは克明に記帳した。
いつも、素っ裸である。手甲脚絆《てっこうきゃはん》をつけあとはふんどし一つ。
そのすがたで、古木鬱然《うつぜん》たる林中を飛ぶようにして駈け、ときには谷へとびおり、ときには岩壁をよじのぼった。
この山で暮らす樵夫《きこり》のあいだで、
「ちかごろ天《てん》狗《ぐ》が舞いおりて、棲《す》んでいる」
といううわさが出たほどであった。事実、庄九郎は、美濃の国に舞いおりたいっぴきの天狗であることにはまちがいない。
やがて、踏査がおわると、設計図をかきはじめた。やりはじめてみると、ひどく楽しかった。
(わしには意外な才があるな)
と自分でもおどろくほど、奇想がつぎつぎと湧《わ》いてくる。人生、自分の才能を発見するほどの愉悦はない。
登山路は二本しか作らない。頂上の古塁を打ちこわして三層の本丸を築き、峰々に出《で》丸《まる》を築いて死角をなからしめ、それらは尾根道をもって連結し、谷は切り落しのままにしておく。
日を経るに従って構想はいよいよふくれあがり、絵図が何枚もできた。
「赤兵衛、みろ」
と山川を着色した図面を見せてやると、赤兵衛は声をのんだ。この男は、山陽道、畿《き》内《ない》、美濃、尾張、三河の城ならたいてい見ている。それがおどろいたのである。
「これは、城でござるか」
「なにに見える」
「はっははは、絵空ごとにみえる。唐土《から》の絵のようでありまするな」
「なるほど」
ひとつには、当時の城はほとんどわら《・・》屋根であるのにこの図面の城は、本城もやぐら《・・・》も出丸もみな銀色に焼きしめた瓦《かわら》をつかっているからであろう。
それに、本城と出丸、砦《とりで》などが、それぞれ孤立せず、場所によっては塗り籠《ご》めの武者走りで連結し、場所によっては巨材を組んだ柵《さく》をもって連結し、あたかも山そのものが一つの城になりおおせている。
「こういう城は見たこともござらぬな」
「わしもだ」
庄九郎は、苦笑した。
「殿の夢ではござりませぬかな」
「あたりまえだ。夢も見られぬようなやつにろくなやつはない。いますぐ実現できずともおいおい築きあげてゆく」
「とにかく」
赤兵衛は、息を吸いこんだ。
「天下第一の巨城でありまするなあ」
赤兵衛の歎声《たんせい》はけっして大げさではない。当時の城といえば、国主の居城でも館《やかた》といったほうが正確であった。普通、石垣《いしがき》もなく、堀を掘った土をかきあげた土居と柵程度の設備がかろうじて外敵をふせいでいるにすぎず、建物も多くは平屋であった。
庄九郎が山上に作っている本城は、楼または閣とよぶべき建物である。それだけでも天下の耳《じ》目《もく》をおどろかすだけのことはある。
「しかしこれを築く財がござるか」
「なんとかなる」
「はて?」
赤兵衛はくびをかしげた。
「あっははは、案ずるな」
庄九郎には成算があった。
とにかく、大要塞《だいようさい》をつくることが先決である。庄九郎は、美濃小守護斎藤秀竜《ひでたつ》になったといっても、いわば土岐家の家老にすぎず、国内的には美濃地侍団の一代表にすぎない。
その一地侍が、守護職も所持していないような巨城をつくろうというのである。
当然、——
「分《ぶん》に過ぎた僭上者《せんじょうもの》」
という悪評を買うだろうが、そういう蔭口《かげぐち》は言いたいやつに言わせておけというのがこの男の流儀であった。
作ってしまえば、こちらのものである。巨城を背景にすれば、国中への発言権はいままでとはくらべものにならぬほど大きいものになるであろう。
——要は力だ。
かねがねおもっている。庄九郎は徹頭徹尾力の信者であった。
(しかし)
こまったことがある。この設計をやれるだけの工匠が居るかどうか。
「赤兵衛、大工がおらぬな」
「それそれ、ご覧《ろう》じろ。じゃによって赤兵衛は、夢じゃ夢じゃと申しまする」
「愚人にとっては常に夢よ、偉大な設計というものは、——」
「おや、この赤兵衛が愚人でござるかな」
「鏡をみて考えてみろ。鼻が赤く、唇《くちびる》がたれている。利口者のつら《・・》か」
「申されることよ」
赤兵衛は泣き笑いした。この男は、いまでは斎藤家のお伽衆《とぎしゅう》(話し相手)の筆頭として、家臣団ではいい顔なのである。
さて、庄九郎は大工をさがした。たまたま耳次が、いいことを聞きこんできた。
「隣国の尾張におりまするげな」
というのだ。
尾張熱《あつ》田《た》大神宮の宮大工で、岡部又右衛門という人物である。まだ若いが、神社仏閣などの規《き》矩術《くじゅつ》にかけては天才的であるという。
「そういう評判か」
「しかし、難でござりまするな。隣国の尾張者でありまするゆえ、遠国《おんごく》ならともかく、仲のわるいこの美濃には来ることができますまい。もし美濃で築城する、などということがわかれば、織田信秀殿に打ち殺されてしまいましょう。殺されずとも、意をふくめられて新城の秘密を織田家に通じられれば、なにもかもしまいでござりまする」
「耳次、城に秘密などはないわ。あれは俗説よ。名将がまもれば土の掻《か》きあげ一《ひと》重《え》の砦も名城となり、愚将がまもれば金城湯《とう》池《ち》も一日で陥《お》ちる。城とはそんなものだ。城が戦うのではなく、人が戦うのだ」
「ではなぜ築城なさいます」
「馬鹿どもへのこけおどし《・・・・・》よ」
「ははあ」
それ以上は、耳次にはわからない。
とにかく、尾張の岡部又右衛門が来るものかどうか。
(使いを差し立てたところで、ことわられるだけだろう)
そう思い、庄九郎は単身、油売りに変装して尾張に出むいてみることにした。この男の身軽さは、いまもむかしもかわらない。

庄九郎は夜陰ひそかに加納城を出、美濃境の木曾《きそ》川《がわ》をこえて尾張に入った。
黒の油じみた頭《ず》巾《きん》に柿色《かきいろ》の麻服、下はくくり袴《ばかま》といったいでたちで、天秤棒《てんびんぼう》の前後に二荷の油桶《あぶらおけ》をつるし、馴《な》れた腰つきで村々を歩いてゆく。
「油は要らんかのう、大山崎のご神油《しんゆう》」
かつぎながら、よく光る眼が、村々の様子や道路の状態などを脳裏にやきつけようとしている。将来この国に攻め入るときにかならず役だつであろう。
泊りを重ねて、熱田に入った。なるほど伊勢、出雲《いずも》に次ぐ大神宮だけに神域が途方もなく大きい。
が、神域の森に足をふみ入れてみると、摂《せっ》社《しゃ》や末社《まっしゃ》の多くが腐朽して崩れおち、諸門や拝殿の屋根に春草がはびこって、極度に疲弊していることがわかった。この神宮をささえていた神領が、諸方の豪族に押し奪《と》られて修復する費用もないのであろう。
庄九郎は春敲門《しゅんこうもん》から入り、林間を縫いながら下馬《げば》鳥《とり》居《い》に出、御手洗《みたらし》川《がわ》にかかっている下馬橋をわたった。
渡れば、十軒ばかり宿坊がならんでいる。そのはしに、知行取りの住いをおもわせる構えの屋敷があり、そこが岡部又右衛門の家だとわかった。
門があいている。入ると、朽ちたわら《・・》ぶきの平屋があり、その横が菜園になっている。まだ若い男が、鍬《くわ》をもっていた。
こちらを見た。ひどく怜《れい》悧《り》な目をもっている。庄九郎は一瞥《いちべつ》してその男が岡部又右衛門であることを知った。
服装も、まずしい。神宮の疲弊とともにこういう工匠も仕事がなく、窮迫しきっているのであろう。
「岡部又右衛門殿でありまするな」
と庄九郎は親しげな微笑をうかべつつ寄って行った。
「そうだが。——」
と又右衛門も微笑した。庄九郎の人懐《ひとなつ》っこい笑顔につりこまれたのか、それとも人ずれせぬ工匠気質《かたぎ》がそうさせるのか、又右衛門ははじめから警戒心をなくしている。
「手前は、山城《やましろ》国大山崎の神《じ》人《にん》でござりまする」
辞《じ》こそ低いが、べつに頭もさげず、畑のふちにゆっくりと腰をおろした。よく見ればただの油神人でないことがわかるはずだが、又右衛門は頓着《とんじゃく》がない。
「油か、無用なことだな。ごらんのとおりの暮らしだ。油などは買えもせず、陽《ひ》が入るとあわてて寝、陽が出ると抜け目なく寝床から這《は》い出ている」
庄九郎は、にこにこしてかぶり《・・・》をふった。
「その油をさしあげに参ったのです。あの桶に入っているのは売れ残りでしかありませぬが、それでもひと月ほどの夜を照らしましょう。みな差しあげます」
「ほう、親切だな。呉れるのか」
よほどうれしかったらしく、桶のそばに駈け寄ってふたをあけ、
「いい油だ。顔がうつっている」
と、子供のようにはしゃいだ。そういう又右衛門の子供っぽさを庄九郎は気に入った。おそらく仕事となると子供のように夢中になるたちであろう。
「内儀はおわしますのかな」
「逃げたわ。わしが旅に出る。何月も帰らない。家には食い扶持《ぶち》もない。これではどんな女でも逃げだす、と人が言うた」
「はて、旅とは?」
「京や奈良の建物を見てあるくのよ。それだけがわしらの目の肥《こや》しだ」
「ところで」
庄九郎は、ふところから例の自筆の絵図面をとりだして、畑の上にひろげた。
「なんだ、それは」
と、又右衛門は寄ってきてのぞきこんだ。ながめているうちに、目が光ってきた。息をつめて、身じろぎもしない。やがて、目をあげ、庄九郎の顔をのぞきこんだ。
「これは、唐土《から》の山城か。どこで手に入れられた。みごとなものだ。唐土は唐土でも、どこの山であろう。羽があれば飛んで行ってこの目で見たいものだ」
「飛んで行かずとも、見ることができる」
「えっ、どこにある」
「どこにもない。いまから作るのだ。それもそなたとわしとの手でつくる」
「どこに作る」
と、又右衛門は、細めた目を、虚《こ》空《くう》にただよわせた、夢を見ている。現実、目の前の男が何者と疑うよりも、又右衛門は絵図の衝撃で、無邪気な夢のなかに入ってしまった。
「隣国の美濃よ。井ノ口(岐阜の旧称)の稲葉山に作ろうというのだ」
「ふむ?」
又右衛門は、自分の鼻をぱちんと指ではじいた。酢を飲んだような、変な顔になっている。やっと、現実にもどったらしい。
「油売り。そなたは、何者だ。名もきかなかった」
「岡部又右衛門」
庄九郎は、又右衛門の肩をたたいた。
「そなたを見こんで、はるばる国境いを越えてやってきた。この尾張でわしの身分が露《あら》われれば、命が百あっても足りぬ。いわば、命を賭《か》けてやってきた。そなたに惚《ほ》れこんだればこそだ。この気持、わかってもらえぬならば、名は明かさぬ。ただちにこの絵図を巻き、名もなき油売りとして去る。どうだ」
「巻くのは待て」
と、又右衛門は両掌《りょうて》で絵図面をおさえた。子供のようなしぐさである。
「木曾川を越えてきた気持、わかってくれるか」
「わからいでか」
鼻を撫《な》でた。顔がまた夢の中のひとになった。妙な男である。
「おれも工匠だ。よき仕事のみがおれの相手で、願主がたれであろうとかまわぬ。地獄の閻《えん》魔《ま》大王が閻魔堂を建てろといってやってきても、おれは建ててやる」
「それでこそ工匠だ」
庄九郎は、腰の瓢箪《ひさご》をとりだした、酒が入っている。
「飲むか」
「好物だ。が、陽が落ちはじめている。これなるあばらやのなかに入り、おぬしが呉れた油で灯をともし、あかあかと闇《やみ》をはらって酒《うた》宴《げ》をしよう」
と又右衛門が勇んで立ったのは、この油売りが何者であれ、自分に似たものを庄九郎の中に発見したのであろう。
「よき友を得た」
と足の裏の土をはらって縁にあがり、庄九郎を招じ入れるために、重々しく蔀《しとみ》をあげた。
やがて、酒宴をはじめた。ふたりのひざの前にころがっている肴《さかな》は、庄九郎がふところに用意してきた干魚である。香ばしくあぶられている。
「神人殿。しかしおぬしはどこからみても、油売りの神人だな」
「そうさ。これでもむかしは、街道を歩いては油を売ってまわっていた」
「あっ、それでは」
と、岡部又右衛門は身をのりだした。いかにこの男が世間知らずでも、隣国の美濃の小守護様が、むかしは油売りだったという奇話は聞きおよんでいる。
「しかし、……まさか」
と、又右衛門は庄九郎の顔をじっと見た。
「そう、見つめるな」
庄九郎は、この男にしてはめずらしく照れた。相手の目が、あまりにあけっぴろげな好奇心にあふれていたからだ。
「まさか」
「いや、そのまさかの人間だ。斎藤秀竜という。見知りおかれたい」
「こ、これは、不調法つかまつった」
と、又右衛門が居ずまいをただそうとするのを、庄九郎はおさえた。
「おぬしは天下の岡部又右衛門ではないか。たかが一国の小守護が来たからといって、居ずまいをただす必要はない。わしは一代で死ぬ。おぬしの仕事は百世に残る。どちらが上か」
「さ、さいとうさま」
と、又右衛門はこの一言で参ったようであった。むりもなかった。たれがいままで、この無名の若い工匠に「天下の岡部又右衛門」といってくれたか。
「あ、あぶら売りどの。わしはいままで感激薄く生きてきた。いまお前様がわしひとりをめあてに、命がけで尾張に忍び参られ、しかも天下の、と申してくだされた。もはやこれだけで命も要らぬ。この絵図はお前様の城か。いや、そうであろう。わしは即夜、尾張を逃《ちょう》散《さん》して美濃へ行ってもよい。能のあるかぎりを出して手伝いまする」
「ありがたい」
と、庄九郎は絵図に灯を近づけ、「物足らぬところはないか」とたずねた。
「ある」
又右衛門は、山頂の西北麓《せいほくろく》につき出た高地を指でたたいた。そこに美濃では有数の古社といわれる伊奈《いな》波明神《ばみょうじん》の社殿がある。
「これは、目ざわりだな」
と、又右衛門はいった。
「ああ、なるほど、北に大手門を設けるとすると目ざわりでもあり、要害もわるい。さればさっそく移そう」
余人がきけば、神威のおそろしさも知らぬ、と慄《ふる》えあがるような会話だが、二人は城作りの設計に夢中になってそれどころではないらしい。もっとも神仏などは人間の臆病《おくびょう》につけ入るものだ。この二ひきの鬼にかかっては、神のほうからへきえき《・・・・》して避けるかもしれない。
のち、庄九郎は伊奈波明神の神域を当時の井《い》ノ口洞《くちほら》(現在の岐阜市内伊奈波町)に移して壮麗な社殿を営んでいる。
工匠の岡部又右衛門はその後、美濃に居つき、庄九郎の建築はほとんどかれの手でおこなわれた。
たとえば、庄九郎は、又右衛門に美濃可児《かに》郡兼山《かねやま》の烏峰《からすみね》に、一城を建てさせた。
この城は後年、犬山に移され、その遺構はいま日本ラインの犬山城天守閣として残っている。
「百世に残る」
と庄九郎のいったことばは、あたったわけである。
なお、岡部又右衛門は、庄九郎の築城術を知っているということで、後年、信長の安《あ》土《ずち》城をも建てた。修辞ではなく、天下の岡部又右衛門になったわけである。
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