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千里眼202

时间: 2020-05-28    进入日语论坛
核心提示:適材適所 沙織は、まだ床に倒れていた今中を助け起こした。「だいじょうぶ?」「は、はい」「吐き気がするなら、保健室に行った
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適材適所

 沙織は、まだ床に倒れていた今中を助け起こした。「だいじょうぶ?」
「は、はい……」
「吐き気がするなら、保健室に行ったほうがいいけど」
「いえ……。心配なさそうなので……どうも」
憂鬱《ゆううつ》な気分とともに、沙織はふうっとため息をついた。「いじめはきょうの建国以降、激減していたのにね。まだやる人間がいるなんてね」
雪絵が肩をすくめた。「いじめって、日本の文化とまで言ったら語弊があるけど、江戸時代と明治時代の初期にあった惣村《そうそん》社会の名残りのようなものだから」
「惣村社会? いじめと関係ある?」
そのとき、今中がぼそぼそと沙織に告げてきた。「惣村社会では、人々の結束力はかなり重要なこととされてたから……。それを維持するために村八分っていうシステムが生みだされたんだよ」
面白い考えを持つ一年生だと沙織は思った。日本史にも詳しいようだ。
「たしかにね。学校なんてものは、意味もなく団体行動を重視してきた。惣村社会に似てるかもね」
「そうよ」と雪絵がうなずいた。「団体なんて、本当は目的がなければ結束力は生まれない。でも、学校教育における団体行動教育は、生徒に目的を持たせない。目的を持たない集団に目的を持たせる方法、それが村八分。つまるところ、いじめってわけね」
なるほど、そうかもしれないと沙織は感じた。
修学旅行も、学徒が兵役に出るときの団体行動の予行のためにおこなわれたのが始まりだ。出陣という目的があったころは、まだ集団も統率がとれていた。しかし目的を失い、形式だけが残って、団体教育は行き詰まった。
「これからは、氏神高校国では歴史教育にも力を注ぐべきね」と沙織はいった。
雪絵も同意した。「世界史の履修不足も解消できるしね。そういえば、行政庁のほうで世界史の受験対策用プリントを作ってるんだけど、いくつかわからないところがあって」
「へえ。どんな?」
「たとえば、スキージャンプが十七世紀のノルウェーで始まったことは参考書にも記載があるんだけど、当時のノルウェーには冬季オリンピックのような競技会はなかったはずなの」
「そんなことまで受験に出る?」
「だけど、東大の受験問題なら近代オリンピック史を含んでいたこともあるし……」
今中がいった。「競技会じゃなくて、処刑場だったんだよ。スキージャンプはもともと囚人の処刑用に発案されたものだから」
「それほんと?」
「うん……」
雪絵は今中を見つめた。「あなた、世界史も勉強してるの? 成績は?」
「ずっと九十点以上……」
沙織は笑った。「すごいわね。どうやって学習してるの?」
しばしのあいだ今中は、戸惑ったような顔をした。
独学で好成績をおさめる秘訣《ひけつ》を明かしたくはないらしい。
だが、行政庁統治官らに危ないところを救われた直後だけに、恩返しすべきと考えたのか、今中は教室に向かっていった。「ちょっと待ってて。すぐ持ってくるから」
教室内では、廊下の騒ぎを聞きつけて生徒たちが起きだしているようだった。
雪絵が戸口のなかを覗《のぞ》きこんでいった。「関係のない人は寝ること。睡眠をとることも国民の務め」
今中が戻ってくるのを待つあいだに、沙織はふと、廊下の電球のひとつが切れていることに気づいた。
「これ、交換しなきゃね」と沙織はつぶやいた。
その声を聞きつけたらしい石森統治官補佐が、治安部隊のなかから駆けだしてきた。
石森は電球を見あげていった。「外すことができれば、すぐ復活させられるんですけど」
すると、同じく補佐の長島がにやつきながら近づいてきた。「なら、肩車してやるぜ」
「頼みます」
「よし、ほら」長島がかがんだ。「乗んな」
長島に肩車された石森は、天井の電球を外すと、そのソケット部分を配線ごと引っ張りだした。それからまた電球をソケットにはめて、大きく左右に振る。
と、電球はいきなり点灯した。
「へえ!」沙織は純粋に驚きの声をあげた。「切れたと思ったのに、また点《つ》いた」
「いえ、切れてたのはたしかです」石森は床に降り立ちながら、照れくさそうに笑った。「ああやって振ると、切れたフィラメントが接触した瞬間に熱で溶接されてくっつくので、また通電するようになるんです。生活の知恵ですよ」
「すごーい。これなら当分、電球のリサイクルが効きそうね」
「まあね。切れた電球があったら、いつでも呼んでください」
沙織は、石森が補佐の役職で並んでいる五十嵐に対抗意識を燃やしていることを知っていた。早くも彼らは、新しい社会のなかでライバル関係を構築しつつある。僻《ひが》みあったり、貶《おとし》めあったりする卑屈な敵対関係ではない。積極的に技能のしのぎを削りあう、理想的なものだ。
このまま誰もがうまくいけばいいけど。そう思いながら沙織は長島にきいた。「夕方、菊池君がまともに使えるプラスチック容器を集めてくれって頼んでたけど、見つかった?」
「それがさっぱりでね」長島は飄々《ひようひよう》とした態度で告げた。「でも、実習室にある歪《ゆが》んだ容器の再利用法が見つかったんで、当分はそれで持つだろうよ。あの手の容器って、湯につけておくとだんだん形状が戻ってくるんだ。元どおりになったところで冷水に入れれば、そこで固まっていっちょあがり。二年のやつの知恵だが、十人で徹夜作業してる」
「よかった。引き続きお願いね。ほかに問題は?」
「メモや書類に使う紙が不足してるって、五十嵐が言ってたっけな」
「不足? 書道室から大量に白紙が見つかったって聞いたけど」
「それがさ。あれ、水書き習字練習紙ってやつなんだよ。ほら、書道の時間に先生が手本で書いてみせるやつ。無色透明の水をつけた筆でも黒く書けて、乾くとまた白くなるってやつだよ。メモとしては使いにくいらしくてな」
「そう……職員室のわら半紙かコピー用紙をあたるしかないわね」
「あとで見てくる。ま、なんとかなるだろ」
今中がカバンを手にして戻ってきた。「あのう。僕の世界史の勉強法だけど……」
「ええ。ぜひ秘訣を教えてくれる?」
「秘訣ってほどでもないけど」今中はごそごそとカバンをまさぐって、一冊の本を取りだした。「これを使ってるだけだよ」
沙織は雪絵とともに、その本を見つめた。
「ああ、これか……」雪絵はつぶやいた。「でもこの方法、いけるかもしれない。全三年生に、三か月で世界史を習得させるには……」
「そうね」沙織も納得してうなずいた。「たぶんこれが最も有効な方法よね」
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