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花の百名山138

时间: 2020-06-28    进入日语论坛
核心提示:笠取山《かさとりやま》   キバナノコマノツメ 多摩川の谷をつめてゆくと、笠取山の一九四一メートルに至るということを知ら
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笠取山《かさとりやま》
   キバナノコマノツメ
 
 多摩川の谷をつめてゆくと、笠取山の一九四一メートルに至るということを知らせてくれたのは亡き瓜生卓造氏の『多摩源流を行く』である。
私はそれまで、多摩の源流は、大菩薩の西の柳沢峠か、東の小管谷か、あるいは雲取の南の三条ダルミの下を流れる青岩谷あたりかとばかり思っていた。それらの川はいずれも奥多摩湖に出るのだが、笠取山の南のミズヒ沢から一之瀬川となり、一之瀬で、柳沢峠からの水を合わせて、|丹波《たば》にくるのが、一番の本流と知らされては、どうしても笠取山に登らなければと思いたった。
私は東京板橋宿の家の庭の中を、多摩川から水をとる千川上水が流れる家に生まれた。川としては荒川が近いが、産湯は多摩川の水で使い、娘の頃はよく新宿から多摩川のほとりの調布や金子にいって、その本流で泳いだ。まだ奥多摩湖などができない時期で、水量のゆたかな多摩川は美しく澄んだ瀬音を聞かせ、河原はカワラナデシコとオオマツヨイグサの大群落であった。その花の香のうす甘くすがすがしい香りを、泳ぎ疲れて河原で休みながら胸いっぱいにかぎ、板橋の家に帰って日の暮れがたになると、オオマツヨイグサが今頃咲くと思い、翼があればとんでいきたい思いになった。戦後の多摩河原を訪れ、オオマツヨイグサはまだ少しあったが、カワラナデシコはもう一本もないのを知り、どこまでいったらカワラナデシコにあえるかと、鳩ノ巣から氷川、丹波、一之瀬から柳沢峠まで気をつけてみてどこにも見いだすことはできなかった。
笠取山に登ったのは、甲武信から帰って十日目、三之瀬の民宿に泊まり、|黒 槐《くろえんじゆ》尾根を経て四時間かかって、笠取山直下の巨岩の下から水のしたたるミズヒまで歩いたが、キバナノコマノツメ、タマガワホトトギス、モミジカラマツ、クロクモソウはあったが、カワラナデシコはなかった。一八〇〇メートルの地点である。がっかりして笠取山にゆき、|雁《がん》峠から北の新地平まで歩いて四時間。ここまでにもカワラナデシコはなかった。
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