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燃えよ剣03

时间: 2020-05-26    进入日语论坛
核心提示:七里研之助江戸内藤新宿から六里。いまの甲州街道ぞいの調布《ちようふ》市は、当時は中心地を布田《ふだ》といい、近在の国領《
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七里研之助

江戸内藤新宿から六里。
いまの甲州街道ぞいの調布《ちようふ》市は、当時は中心地を布田《ふだ》といい、近在の国領《こくりよう》、小島、下石原、上石原をあわせて、
布田|五《ご》ケ宿《じゆく》
といった。
いまもさして様子はかわらないが、年中、|まぐ《ヽヽ》さ《ヽ》くさい街道風が舞いたっている宿場町である。
当時、街道に板ぶき屋根をならべる旅籠《はたご》には、一軒に二、三人は、|おじ《ヽヽ》ゃれ《ヽヽ》とよぶ遊女を置いていた。飯盛女《めしもりおんな》である。ところがこの宿《しゆく》ではふしぎと色黒女ばかりが集まったから、
「布田の黒よし」
とよばれ、甲州街道を上下する旅の小商人《こあきんど》などが、この宿でとまるのを楽しみにしていた。
その日の午後。
といえば、歳三が猿渡家の息女佐絵の京へのぼるのを見送ってからすでに半年にはなる。——まだ日も高いというのに旅籠上州屋理兵衛方にずいっと入ってきたのは、この男であった。
「おれだ」
と、刀を鞘ぐるみ抜いた。江戸の道場から来た。
「あっ、先生」
亭主の理兵衛自身がとびだしてきて、二階の部屋に案内した。
その日の土方歳三は、左三巴《ひだりみつどもえ》の家紋を染めぬいた黒のぶっさき羽織に、羅紗地《ラシヤじ》のはかまのすそを染め革でふちどりしたぜいたくなこしらえで、大小はすこし粗末で樫地《かしじ》塗り。まげは総髪にして、あのころからみれば見ちがえるような立派な武士の風である。
歳三は、月に一度は、甲州街道をこのあたりまでやってくる。つまり、地方《じかた》への出教授《できようじゆ》で道場を維持しているのが、近藤の天然理心流のほそぼそとした経営法だった。
近藤道場のある江戸の小日向柳町の坂のあたりは、わりあい小旗本の屋敷が多いが、かといって歴々の子弟は、こんな無名の小流儀を習わない。やってくる門人といえば物好きな町人、中間《ちゆうげん》か、伝通院《でんづういん》の寺小姓ぐらいのものだった。やはり道場の稼ぎは、多摩地方への出稽古なのである。
むろん、近藤もゆく。そのほか、土方歳三、沖田総司《おきたそうじ》、井上源三郎など目録以上の者が、月のうち何日かは交代で、甲州街道をてくてく歩いて、多摩方面へ出張をするのだ。
布田では、この上州屋がかれらの定宿になっていた。一泊して女とあそぶのが楽しみだが、もっとも歳三だけは、
黒よし
などに興味はなかった。ただ、酒をつがせるだけで、手もにぎらない。
「めしはあとだ」
といった。
「酒を一本」
ただし酒好きではないから、杯をなめるだけで、飲むというほどにはいたらない。
「それに、妓《おんな》」
とつけ加えた。亭主の理兵衛が驚き、
「どういう風の吹きまわしでございます」
といったが、歳三は取りあわず、
「お咲という飯盛女《おじやれ》がいたな」
「へい」
「呼んでもらおう」
亭主は駈けおりて、そのまま裏木戸へ走り出た。すぐ田圃《たんぼ》になっている。
草むらに女が二、三人、尻をもたげて騒いでいた。夜になるとこういう女でも垢《あか》じみた絹の小袖はきるが、真昼間は寝ているか、それとも紺々《こんこん》した野良着にきかえて、田のふちの水溜りを掻《か》きさがして|どじ《ヽヽ》ょう《ヽヽ》を獲《と》るのである。
むろん、女たちは鍋にして食うのだ。これさえ食っていれば、夜勤めにも体が堪えるし、無病で年季の明けるまで勤まるという。そのせいで、この甲州街道の宿場々々の女郎はどの女も|どじ《ヽヽ》ょう《ヽヽ》臭かった。
「お咲、手を洗え」
亭主は、牛を叱るような声でいった。女は、尻のむこうで顔をこちらにむけ、
「おきゃく?」
と、眉をひそめた。昼っぱらの客など、よほどの好色にきまっている。
すぐ衣裳を着更え、申しわけに首すじだけ白粉《おしろい》を塗りつけて歳三の前に出たときは、それから四半刻《しはんとき》は経っていた。お咲は十八、九の唇の薄い女で、上州なまりがぬけない。
歳三は南の空のみえる部屋で独り酒をのんでいたが、入ってきたお咲をみるなり、
「お前だな」
とぎょろりと眼をむけた。
「なんです」
「一昨夜、井上源三郎さんの敵娼《あいかた》だったてのは」
「ええ」
井上は、近藤道場では一番の年がしらで、剣は器用ではないが、その人柄らしく着実な撃ちこみで一種の風格があった。近藤道場では先代からの内弟子で、もとはやはり南多摩の百姓の子である。
土方がお咲をよんだのは、一昨夜、この妓が井上と寝たとき、寝物語で容易ならぬことをいったというのである。
「そいつを、ここで詳しく話してみろ」
「厭《いや》だ」
お咲は、眼を据えた。
「悪かった。おれァ、口のきき方がよくねえそうだ。云い改めよう。話して貰う」

話、というのは、数日前に、三人で繰りこんできた浪人剣客のひとりが、お咲を買い、寝床のなかで、上《こ》州屋《こ》にとまる近藤道場の連中のことをしつこく訊いた、ということを、一昨夜、お咲が井上源三郎に寝物語で話したのである。
井上が江戸道場にもどってから、そのことを歳三に報告し、
——何だかよくわからないが、こんどあんたが行くと妙なやつが悪戯《いたずら》をするかもしれない。多摩ではあまり夜道は歩かないほうがいい。
と、注意した。
(六車宗伯に縁のあるやつだな)
と歳三は、直感した。もっとも、六車を斬った一件は、道場のたれにも云っていない。他人の口のこわさを歳三は知っている。いえばかならず洩れるものだ。
——とにかく。
と井上源三郎はいった。
——上州屋のお咲にきいてみろ。
「どんなことを訊いた」
と歳三はお咲にいった。
「顔だよ」
お咲は酌をしながら、
「顔さ。先生たちご一統さまのご人相。なんだか、去年の秋、府中の六社明神の境内裏で、漆の木を切ったひとをさがしてるんだ、てことだったけど、その漆、ご神木だったのかしら」
「漆に神木はなかろう」
六車の一件だ、とおもった。歳三が、あの事件後、現場でもう一度、記憶をたどって太刀筋を検討していたとき、土地の百姓かたれかに目撃されたにちがいない。
そのうわさが、甲州街道ぞいの田圃をまわって、いまごろ六車宗伯の同門の者の耳に入ったものとみていい。
「その男、どういう人相だった。鬢《びん》のあたりが、ちぢれあがってはいなかったか」
「いた」
と、お咲はうなずいた。
面《めん》ずれのあととみていい。とすれば相当な使い手に相違なかった。
「ちょっといい男だった。月代《さかやき》がのびていて、右眼の下に|あざ《ヽヽ》がある。背丈は、五尺七、八寸」
「なまりは?」
「さあ、江戸にもいた様子だよ。しかし口の重そうな所をみると、上州うまれかもしれない」
歳三は、翌日、布田宿を出た。
上石原の近藤の実家で近在の若者を教えたあと、翌日は連雀《れんじやく》村に移った。
この村には、道場はない。
名主屋敷の味噌蔵を片づけて稽古をするのだが、歳三が到着すると、すでに五、六人の若者が待っていて、
「きのう、村に妙な浪人がきました。先生はいつお稽古にお見えになる、というのです」
といった。歳三は、ツト表情を消して、
「おれに、名ざしでか」
「そうです」
すでに相手は、名までつきとめている。
「用むきは?」
「一手、お教えねがいたい、ということでした。右眼の下に|あざ《ヽヽ》のある……」
「知らんな」
歳三は、興味なげに着物をぬぎ、総革の胴の紐をむすびながら、ふと思いだしたように、
「どこの男だ」
といった。
「八王子です」
と断言したのは、この村で作る馬の|わら《ヽヽ》じ《ヽ》を荷にして、月に十日は八王子の宿場へ売りにゆく辰吉という若者だった。八王子では、二、三度往来で見た顔だという。
歳三は、翌朝、連雀村を出ると、その足で八王子へ行った。
連雀から五里。
武州八王子は甲州に近い宿場で、街道はこれより西は山中に入り、小仏峠《こぼとけとうげ》を越えて甲州に入る。
戦国のむかしから家康の江戸|入府《にゆうふ》のころにかけて、関東、甲州で主家をうしなった落武者が、多くこの地に集まった。
徳川家ではこれらを「八王子千人同心」という名で一括して召しかかえ、小仏峠から侵入してくる仮想敵に対し、甲州口の要塞部隊として屋敷地をあたえ、四方四里にわたって居住させている。
自然、かれらを顧客とする剣術道場ができ、なかでも比留間半造の甲源一刀流の道場がもっとも栄えた。歳三が斬った六車宗伯も、この道場の師範代である。
(思ったとおりだ)
と歳三はみた。
例の|あざ《ヽヽ》は、六車宗伯の徒類で、八王子を根拠とする甲源一刀流の剣客に相違ない。かれらは、根気よく六車斬りの下手人をさがしていたのだろう。
歳三は、八王子の専修坊に入った。
かつて薬売りをしていたころ、八王子に来ればかならず泊まった真宗寺院で、この寺の娘の部屋に忍んだこともある。
院主の善海は、歳三の身なりの変りようにおどろき、江戸で渡り用人にでもなっているのかと訊いたが、
「なに、道中の賊除けにこんなかっこうをしています」
と自分に関する話題を避け、
「娘御は?」
ときいた。べつに訊きたいわけでもなく、差しあたっての話題がなかったからである。
「去年の秋、嫁にいった」
までは、おどろかなかった。院主は、
「|せん《ヽヽ》は」
と娘の名をいい、
「このさきの千人町《せんにんまち》の比留間道場の当主、半造の内儀になっている」
(ほう。……)
さりげなく、
「あの道場には、六車宗伯という仁《じん》がおりましたな」
「いた。が、去年、六社明神の猿渡屋敷の裏で、何者とも知れぬ者に撃ち殺された。当初は、臑《すね》を斬られているところから、蕨の柳剛流の連中に押し包んで殺された、といううわさがあったが、いまは別のうわさがある」
「どんな?」
「天然理心流だという。確証があるらしく、道場の者が躍起にさがしている」
「あの道場には」
歳三は、ちょっと言葉を切って、
「色白で右眼の下に|あざ《ヽヽ》のあるおひとが、たしかいると伺いましたが」
「師範代の七里研之助《しちりけんのすけ》のことではないか」
「七里?」
歳三は、とぼけている。
「どういう仁です」
「出来るらしい。もともとは甲源一刀流ではなく上州|馬庭《まにわ》で念流を修めたらしいが、武州へ流れてきて、道場の食客になっている。居合の名人で、あれほどの者は江戸にもざらにいないという」
歳三は、数日とまった。寺からは一歩も出ず、顔見知りの寺男などから、七里研之助のうわさを聞きあつめた。
年のころは、三十前後で、ときどき道場で酔うと門弟たちに両手を後ろにまわして縛《しば》らせ、腰をひねって白刃を高く宙《ちゆう》に飛ばし、さらにツツと駈け寄って落ちてくる刀を鞘におさめた。
居合は、上州の荒木流だという。この荒木流では、上州|厩橋《うまやばし》江木町に住んでいた郷士大島新五右衛門(安永八年四月十四日没)が、弟子に抜き身を屋根ごしに投げさせ、軒さきで待って、それを腰の鞘におさめるという曲芸のようなことをした。上州荒木流にはそういう伝統があって、七里研之助もそんな曲抜きのような技術を学んだのだろう。
(なに、どれほどのことがあるか)
歳三は、臆する心のうまれつき薄い男で、七里研之助に探索されたあげくに殺されるよりも、むしろ先制して撃ち殺そうとした。

いったん江戸の道場に帰り、すでに隠居をしている先代周斎老人に、
「もし居合を仕掛けられた場合、どう防げばよろしゅうございましょう」
とたずねた。
「一にも二にも退《ひ》く」
退いて、初太刀をはずすのである。相手の刀がまだ中空にあるとき、すかさず踏みこんで撃ちおろせば必ず勝てる、といった。
「もし」
と歳三はいった。
「背後に巨樹、土塀などがあって、思うさまに足を退けぬ場合、どうします」
「気をもって、相手のつばを圧するしか防ぐ道がない」
「ところが、それらがいずれもできなければ?」
「斬られるまでさ」
周斎は居合のこわさを知っている。
数日して、歳三は若師匠の近藤に、
「しばらく、もとの薬屋にもどりたい」
と頼み、髪形から服装まで変えて、もう一度八王子に出かけた。
こんどは専修坊には立ち寄らず、いきなり千人町の甲源一刀流比留間道場を訪ね、放胆にも道場内の庭にまわって、
「御師範代七里研之助様までお取りつぎねがわしゅうございます」
と頼んだ。
七里が出てきた。
「なんだ、薬屋か」
と、じっと見おろした。
「へい、石田散薬と申し、打身の……」
と薬の効能の説明をしながら、七里研之助の様子をうかがった。
なるほど右眼の下に|あざ《ヽヽ》がある。背が高く、右手が心持ち左よりも長く思えるのはいかにも居合師らしいが、あごから頸《くび》すじにかけて贅肉《ぜいにく》がくびれるほどに溜まっているのは、武芸者らしくない。三十とすれば、年より老けてみえた。
「当家には、はじめてか」
「いえ、御当家さまの御新造さまのお実家《さと》には、年来、ごひいきにあずかっていただいております」
「在所はどこだ」
と、研之助はいった。歳三は、聞きとれぬほどの早口で村の名をいってから、
「御新造さまが、よく御存じで」
「そうか」
研之助は、門弟に目くばせして奥へ報らせにやり、ひょいとのぞきこんで、
「薬屋、手に竹刀《しない》|だこ《ヽヽ》があるな」
といった。
薄っすらと笑っている。
歳三は、驚かない。
「少々、いたずらをいたします」
「何流で、どこまで行った」
「お買いかぶりなすってはこまります。いたずら半分でございますから、きまった師匠などはございません」
そこへ門弟がもどってきて、内儀は他行《たぎよう》しているといった。
「薬屋。——」
研之助は、何か思いあたるところがあったらしい。
「ちょうど退屈している。付きあってやるから、すこし汗をかいて行ったらどうだ」
「それは」
むろん、望むところだった。研之助の手すじを見るために、わざわざここまでやってきたのである。
歳三は、道場のすみで両膝をそろえ、研之助の投げ与えた防具をつけた。
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