日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

アンバランスな放課後06

时间: 2018-06-26    进入日语论坛
核心提示:6 貴子の家「紅茶でいい?」 と、矢神貴子は、訊《き》いた。「ええ。でもお構いなく」 と、私は言った。「そう言わないでよ
(单词翻译:双击或拖选)
6 貴子の家
 
「紅茶でいい?」
 と、矢神貴子は、訊《き》いた。
「ええ。でもお構いなく」
 と、私は言った。
「そう言わないでよ」
 矢神貴子は笑って、「お客様にお茶の一杯も出さないんじゃ、M女子学院の名がすたるわ」
「いただくわ」
 と、私も微《ほほ》笑《え》んで見せた。
 確かに凄《すご》い家だ。——私と母の住んでいる〈Sフラット〉から、歩いて四、五分とかからないだろう。
 旧家とはいえ、今、こんな場所にこれだけの屋敷を構えているのは、相当の資産家ということになる。
「矢神さんも、今井さんのお見舞に?」
 と、私は出された紅茶を一口飲んで言った。
「そう。——A組代表で、様子を見て来てって。別に公式の使《ヽ》節《ヽ》ってわけじゃないから、元気そうとか、様子さえ分ればいいのよ」
「ずいぶん元気そうだったわ、有恵さん」
 と、言ってから、「あ、今井さんね。つい名前の方が出ちゃう」
「いいじゃない」
 と、矢神貴子は肩をすくめて、「学校の中だけでいいわよ、規則に縛られるのは」
 学校からの帰りに病院へ寄ったので、私は制服姿だった。矢神貴子も制服のままで紅茶をいれてくれたのだが、
「窮屈でしょうがない。——ちょっと待っててね。着替えて来るわ」
 と、居間を出て行った。
 私は紅茶をゆっくり味わいながら、広い居間の中を見回していた。母と住んでいるマンションだって、普通の家に比べれば広い造りだろうが、こういう古い「お屋敷」は、桁《けた》が違う。
 それにしても静かだ。——一体何人で住んでいるんだろう?
 私は、立ち上ると、広い窓の所まで歩いて行って、庭を眺めた。
 そこから目に入るのはほんの一角で、庭の広さも、ため息が出るほどだ。
 ただ——不思議に、陽射しの下の、よく手入れされた庭園は、人間らしい暖かさを感じさせなかった。のんびりと歩くためでなく、こうしてガラス越しに眺めるための庭だ、という気がした。
 でもこういう所に住んでりゃ、正に「お嬢様」ね、などと考えていると、ドアが開いた。
「貴子!」
 いきなり鋭い声が飛んで来て、私はびっくりした。
「どういうことなんだ! はっきり説明して——」
 振り向いた私を見て、その男は、初めて、人違いに気付いたらしい。とっさには言葉も出ない様子で、
「いや……ごめん。ちょっと、あの……」
「貴子さんは、今着替えに行かれてます」
 怒鳴られてびっくりしたことで、まだ心臓が高鳴っていた。
「失礼」
 やっと気を取り直したのか、その男は——いや、若者と言った方が正しいだろう——髪をかき上げた。
 二十二、三歳か、社会人になって、そう間のない感じだ。背広にネクタイのスタイルはビジネスマンだが、少し派手めの色の組合せから見て、銀行員やお役人ではないだろうという気がする。
「君は……」
「同じ学校の生徒です。芝奈々子といいます」
「芝奈々子……。可愛《かわい》い名前だね」
「ありがとう」
 エリート、という印象である。でも、笑顔になると、坊ちゃんくさい人の好さがにじむようだった。
「いや、人違いでごめん。同じ制服だったもんだから」
 どうやら急いで来たらしく、額に汗を浮かべている。ハンカチを取り出して拭いていると、開いたドアから、Tシャツとジーパンという、およそいつもとイメージの違う矢神貴子が入って来た。
「お待たせ。——あら」
 と、若者に気付いて、「何しに来たのよ?」
「話したくてね、ゆっくり」
 と、若者は言った。「でも、今はお客のようだから」
 矢神貴子は、少し小馬鹿にしたような目で、その若者を見てから、私の方へ、
「あなたも寛《くつろ》いで。ここじゃ貴子と呼んでね、私も奈々子って呼ぶから」
 と、思いがけない笑顔を見せた。
「そうさせてもらうと助かるわ。もう、息苦しくて」
「何なら、制服脱いだら? 私の服を貸してあげるわ」
「いえ、それはご遠慮するわ。ここは涼しいから、この格好でも苦にならないし」
「そう」
 貴子は、若者のことなど忘れたかのようにソファに寝そべって、足をクッションの上にのせた。
「——僕は、失礼するよ」
 と、若者が言った。
「あら、話があるんじゃないの?」
「そうだけど——」
 と、チラッと私の方を見る。
「私、失礼しようかしら」
 と、私が腰を浮かしかけると、
「いいの。座ってて。奈々子は親友だから、構わないのよ、何でも話して」
 私は、戸惑った。貴子は続けて、
「この人、永《なが》倉《くら》っていうの。いつも重《しげ》夫《お》さんって呼ぶんだけどね。K大出のお坊ちゃん。——いかにも、でしょう?」
「よろしく」
 と、永倉重夫というその若者は、私の方に会釈した。
「私のいいなずけなの。もう十歳ぐらいのころから決ってるのよ、話が」
「へえ。——じゃ、学校出るのを待って?」
「どうなるか、分らないわ」
 貴子は、愉快そうに、「ねえ、重夫さん」
 貴子の言い方は、明らかに当てつけがましいもので、相手はムッとした様子だった。
「帰るよ」
「そう? でも、母に挨拶して行ってね。そうしないと後で分った時、うるさいわよ」
「分った。——じゃ、芝君、だったね。またいずれ」
 永倉重夫は足早に居間を出る。貴子はその背中へ、
「ドアを閉めてってね!」
 と、声をかけた。「——苛《いら》々《いら》するの。鈍いんだから、あの人」
 私は、何とも言えなかった。男性に対する口のきき方など、完全に大人の女である。
 まだ純情な十七歳としては(?)圧倒されてしまった。
 貴子は、自分の紅茶が、もうさめかけていたのを、一気に飲んだ。
「——今井さんには困ったわ」
 と、唐突に言った。「自殺しかけたっていうのは知ってるわね。公式にはけがをしたってことになってるけど」
「ええ」
「あ《ヽ》て《ヽ》にしてたのよ、あの人を」
「何のことで?」
「生徒会長の選挙でね」
 私は、その一言で、このところあまり思い出すこともなかった、あの奇妙な電話のことを、頭に浮かべていた。
「選挙って——」
「十一月なのよ、この。二年生の三学期から三年の二学期まで、つとめる生徒会長を選ぶわけ」
 そういう制度のことは、私も知っていた。
「じゃ、今井さんが——」
「副会長になってもらうつもりだったのよ。私が会長に立候補して」
「そうだったの」
「ところが彼女は失恋して自殺未遂」
「失恋だったの?」
「知らない? ちょっと不良っぽい子に惚《ほ》れちゃってね。学校でも問題になってたんだから」
「知らなかったわ」
 果して本当だろうか、と思った。もちろん疑う理由があったわけではないが……。しかし、それならなぜ、学校の中《ヽ》で《ヽ》、泣き出したのだろうか?
「ともかく、立候補の届出は十月二十日なの。もう間がないわ。——立候補は、会長、副会長、ペアでしなきゃいけないから、誰か見付けないとね」
「いつも、どれくらい立候補が?」
「二組か三組ね。それ以上だと、先生の方で調整するのよ。ちゃんと、十一月の投票日まで、選挙運動をして、演説をして、大変なんだから」
「へえ。でも、あの学校のイメージと合わないみたい」
「そりゃ、普通の選挙みたいに、車で回るなんてことはしないけど」
 と、貴子は笑って言った。
 矢神貴子なら、たとえ誰と組んでも勝つだろう、と思った。彼女には、それだけの「スター性」がある。
「ねえ」
 と、貴子が、起き上って、言った。
「あなた、私と組んで立候補しない?」
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%