日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

アンバランスな放課後07

时间: 2018-06-26    进入日语论坛
核心提示:7 父の言葉「ただいま。お母さん」 マンションの部屋へ帰ると、ホッとした。もっとも、今日は矢神貴子の家から歩いて来たのだ
(单词翻译:双击或拖选)
7 父の言葉
 
「ただいま。——お母さん」
 マンションの部屋へ帰ると、ホッとした。もっとも、今日は矢神貴子の家から歩いて来たのだから、大分楽はしている。
「お母さん……。いないのかな」
 今日は出かけるようなこと、言ってなかったけど。
「ま、いいや」
 ともかく、セーラー服を早く脱ごう!
 何だか、スッキリしないので、シャワーを浴びることにした。そう汗をかいているというわけじゃないのだけれど、気分的に汗をかいたようだった(?)からだ。
 シャワーの下に、頭から突っ込んで、ギュッと目をつぶる。
 それにしても——びっくりしたこと。まさか、矢神貴子からあんな話を聞こうとは思わなかった!
 全く、妙な暗合という他はなかった。あの奇妙な電話は、一か月先のことを、まるで予告していたかのようだ。
 生徒会長に立候補するのはやめなさい、か……。もちろん、矢神貴子の申し出は、丁重にお断り申し上げたのだ。
 貴子の方も、そう強くは言わなかった。
「そうね。まだ入って二か月もたってないんですものね。無理言ったかな」
 と、アッサリ引っ込んだ。
 正直、私はホッとしたが、同時に、あんまり簡単に向うが引きさがったので、却《かえ》って気味が悪いようでもあった。
 山中久枝にでも、ちょっと電話してみようかな、と思った。
 シャワーから出て、バスタオルで体を拭《ふ》いていると、電話の鳴っているのが聞こえる。
 あわてて、バスタオルを体に巻きつけて飛んで行く。
「——奈々子?」
 と、母の声。
「お母さん。出かけたの?」
「急にお友だちに誘われて。奈々子、今、帰ったの?」
「うん。今、どこ? 声が遠いよ」
「鎌倉の方なのよ。帰りが大分遅くなりそうだから。あなた、どこかで夕ご飯食べてくれない」
「あ。娘を放っておいて! 非行に走っても知らないわよ」
 そう言って、自分で笑ってしまう。「どうぞごゆっくり」
 ふと思い付く。——母は大体、知らない場所へ、ノコノコ出かけて行くタイプじゃないのだ。
「お母さん。正直に答えてね」
「何よ、急に」
「例の彼氏と一緒。図星でしょ」
「え——ええ……。まあ……そうなの」
 口ごもったりするところは、四十過ぎとは思えないね。
「今夜、帰って来るんでしょうね」
「当り前よ。どんなに遅くなっても、帰るから」
 裏返せば、相当遅くなるのは間違いない、ってことだ。
「いいわ。先に寝てるかもね」
「チェーンは外しといてね」
 と、母は真剣に言った……。
 夜中になるってことは、これからどこかで食事。——でも、食事だけで、そんなに遅くなるだろうか?
 まあ、いいや。お母さんはお母さん。大人なんだから、その生活に干渉するのはやめましょう。それより、今夜のエサをどうするかだけど……。
「そうだ。もしかしたら……」
 私には、ちょっと思い付いたことがあったのだ。
 一本電話をかけただけで、夕食はタダで上げられることになった。それから、山中久枝に電話をする。
「——矢神貴子の所に行ってたの?」
 と、久枝は、興味津《しん》々《しん》ってところで、
「凄《すご》い家なんですってね。評判よ」
「屋敷ね。大邸宅。ま、大したもんよ。それでね——」
 生徒会長のことを、久枝に話すと、向うはしばらく黙っていた。
「久枝。——どうしたの?」
 と、少々不安になって訊《き》くと、
「断ったのね、矢神さんの申し出を」
「だって、当然でしょ。まだ新入生よ」
「大変なことになるかもしれないわよ」
「おどかさないで」
「本当よ。どうして、ちょっと考えさせて、って逃げなかったのよ。私に相談してくれれば……」
 正直なところ、久枝の言い方は少しオーバーに思えた。
「でも、向うもすぐに納得してくれたわよ。そんな、いやな顔しなかったし」
「あの人の言うことには、すぐOKしなきゃ。そうされることに慣れてる人なのよ。断られたら……。そりゃ、プライドの高い人だから、顔には出さないわ。でも、きっと心の中じゃ……」
「でも——じゃ、どうするの? 今さら、考え直すってわけにもいかないわ。それに、何と言われたって、やる気ないし」
「そうね」
 久枝はため息をついて、「分ったわ。——彼女が、いつになく上機嫌だったことを、祈るしかないわね」
 電話を切って、何だか憂《ゆう》鬱《うつ》になってしまった。——そんなこと言われたってね。
「いびるなら、いびってみろって!」
 と、私は呟《つぶや》いた。
 
「——学校、どうだ?」
 と、訊《き》いたのは、髪に白いものが目立ち始めた紳士。
 どことなく私に似たところがあるとしても当然で、これが(といっても見えないでしょうけど)私の父親である。
 母と別れはしたけれど、私とは会いたくて仕方ないのだから、こうして電話一本かけりゃ、ご飯くらいは当然おごってくれるのだ。
 父は田中という。だから、三年前までは、私も田中の姓になっていたわけだ。
 私は、父に、
「学校はどうだ?」
 と訊かれて、つい笑い出していた。
 といっても、ここは、かなり高級なフランス料理店である。みっともないほどの声で笑ったわけではない。
「何がおかしい?」
 と、父は不思議そうに私を眺めた。
「だって——いかにも、別れた父親ってセリフじゃない。TVドラマでも見てるみたいよ」
「そうか」
 父は笑って、「その分なら、うまくやってるようだな」
 私は鴨《かも》料理にして、少し甘いソースを味わった。
「——お父さん、ずっとこっちの勤務なの?」
「うん。もうこの年齢《とし》だ。そう外国へ出ることもないと思う。もちろん、仕事で短期間の出張はあってもね」
「ふーん。じゃ、ずっとマンション暮し?」
「まあな。忙しい時はホテルに泊ったりもするよ」
「じゃ、奥さんは?」
「今は独りさ」
 と、父は言った。「聞かなかったのか、母さんから?」
「初耳。じゃ——あ《ヽ》の《ヽ》人《ヽ》は?」
 父が浮気した、相手の女性のことだ。
「正式に再婚する前に別れたよ。やっぱり、子供を置いて来たことで、不満も募るんだな」
「そう」
 私は、肯《うなず》いた。「じゃあ、あちらは——」
「復縁した。つまり元のご主人とまた一緒になったってわけだ」
「へえ、そうなのか。じゃ、お父さん、振られたわけだ」
「はっきり言えば、そうだ」
 と、父は苦笑して、「馬鹿なことをしたものさ」
「全くだね」
 と、私は言ってやった。
 しばらく、私たちは黙って食事をしていた。父の訊《き》きたいことは見当がついたが、こっちから話し出すことでもないだろう。
「——母さん、どうしてる?」
 料理を平らげ、デザートになってから、父は言った。
「うん。元気だよ」
 と、私は言った。「何か——好きな人ができたみたい」
「そうか。そりゃ良かった」
 本音かどうか、父はアッサリとした口調で言った。「再婚するって?」
「まだ、決めてないみたいよ。でも、そうなるんじゃないかな、と思う」
「お前はどうだ?」
「私? 女子校よ。チャンスもないもん」
「いい男を選べよ」
 と、父は言って、「——何だ、君か」
 知った顔を見付けたらしく、私の後ろへ目をやる。
「あ、部長。どうも——」
 振り向いて、その声の主を見た私は面食らった。
 矢神貴子の家で会った、永倉重夫だったのだ。しかも、二十歳ぐらいの、ちょっと派手な感じの女性を連れている。
「今日見た報告書はなかなか良くできていたよ」
 と、父が言った。
「ありがとうございます」
 永倉重夫は、私のことに気付いていない。セーラー服と、このワンピースじゃ、別人のように見えるのだろう。
 父も私を紹介しようとはしなかった。
 永倉はその女性と、少し離れたテーブルについた。
「あの人は?」
「部下だよ。——頭はいいが、どうも、少し頼りない」
「そんな感じね」
 と、私は肯《うなず》いて、「一緒にいた女の人は誰?」
「さあ。恋人かな。しかし、職場でも、二、三人、噂《うわさ》になってる娘がいる。もてそうだろ?」
「私の好みじゃないけど」
 と、言ってやった。
 矢神貴子は知ってるのかしら? 知っているから、昼間、あんな態度を取ったのだろうか。
「さて、コーヒーにするか」
 と、父は、ウエイターを呼んだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%