日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

アンバランスな放課後19

时间: 2018-06-26    进入日语论坛
核心提示:19 母の言葉 その日、母が帰って来たのは、もう九時近くだった。「ごめんね、奈々子!」 と、母は息を切らして上って来ると、
(单词翻译:双击或拖选)
19 母の言葉
 
 その日、母が帰って来たのは、もう九時近くだった。
「——ごめんね、奈々子!」
 と、母は息を切らして上って来ると、「何か食べた?」
「ちっとも連絡してくれないんだもん」
 と、私はソファに引っくり返ったまま、
「お腹空いて、死にそう」
「ごめんね。——電話できなくて。こんなに遅くなると思わなかったのよ」
「時間のたつのを忘れてたんでしょ」
 と、私は言ってやった。「カップラーメン食べたし、おやつも食べたから、何とか大丈夫」
「何か作るわ」
「いいわよ。そこのホットドッグでも買って来るから」
「そう?——ごめんね本当に」
 母は、頭を振って、「車が混んでて……。でも、途中で事故があったの。黒田さんのせいじゃないのよ」
「分ってるって」
 私も少々苛《いら》々《いら》していた。
 母があんまり黒田のことをかばうので、頭に来たのだった。
「私が、ちょっと休んで行きたい、って言ったもんだからね。それですっかりラッシュに巻き込まれちゃったのよ」
「もう分ったってば!」
 私は叫ぶように言った。母は、びっくりしたように私を見て、
「奈々子……」
「どうなってるの? 離婚の話は? もう届を出したの?」
 と、私はつい、つっかかるように、言っていた。
「それは……もう、ほとんど終ったも同じだって——」
「もう何週間も同じことばっかり言ってるじゃないの。別れる気なら、とっくに別れてるんじゃない?」
「それは——」
「奥さんに会ってみれば? 直接訊《き》いた方が早いわよ。いつ別れてくれるのかって」
「そんなこと……」
 母は、どうしていいか分らない様子で、ただ突っ立っていた。
「どうなの? 一度でも奥さんに会ったの?」
「いいえ……。だって、私のことを憎んでるだろうし……」
「会ってみなきゃ分らないでしょ。彼に頼めばいいじゃない。今度、三人でゆっくり話し合いましょうって。——そう、言ってみれば?」
 母に、そんなことが言えるわけはない。そう分っていて、こんなことを言う私も、ひどいものだと思った。
「奈々子——」
 母は、悲しげな目で、私を見ながら、「私のことを……怒ってるのね」
「お母さんのことじゃないわ。黒田さんのことよ」
 私は、息をついて、「ごめんなさい」
 と、首を振った。
「お腹空くと、私、機嫌悪くなるから。——ホットドッグ、買って来る!」
 私は、財布を握って、玄関から飛び出して行った……。
 
「ねえ、奈々子」
 夜、十二時を回って、母はもうてっきり寝たものだと思っていた私は、のんびりTVなど見ていて、声をかけられ、びっくりした。
「——起きてたの?」
「うん」
 母は、ネグリジェ姿で入って来ると、「何を見てるの?」
「TV」
「TVは分ってるけど……」
「TVを見てるだけ。中の番組は知らないのよ」
「——変ってるわね」
 と、母は笑った。
「何か用事?」
「ちょっと……お話があって」
 私は、肩をすくめて、
「いいけど……。でも、別に怒ってないわよ、私」
「ええ、それは分ってるわ。そのことじゃないの」
 母は、ソファに腰をおろすと、ぼんやりとTVを眺めていた。
 私は、リモコンでチャンネルを変えて行ったが、どこも面白くない。それでも、TVを消せないのが、土曜日の夜というものかもしれない。
 母は、しばらくたってから、
「あなた、弟か妹ができたら、どう?」
 と、言った。
 私は、しばらく何のことやら分らなかった……。
 プツッ、と音をたてて、TVが消えた。いつの間にか、リモコンのオン・オフスイッチを押していたらしい。
 起き上って、
「お母さん……妊娠してるの?」
 と言った。
 もちろん、私だって、男と女がそういうことをすりゃそうなるってことは知ってるが……。でも、お母さんが!
「そうじゃないわよ」
 と、母は顔を赤らめて、急いで言った。「もしも、ってこと」
「——そうか。びっくりさせないでよ」
 私は、胸をなでおろした。
「ただ……黒田さんがね、ぜひ子供を作ろうって言ってるの。私はもうこの年齢《とし》だしね……。できるかどうかも分らないけど。あなたの気持も訊《き》いてみたくてね」
 私は、ためらっていた。
 もし、黒田が、本当に妻と別れて母と一緒になるのなら、子供を作ったって別に——多少は複雑な気持ではあるが——構わないのだ。
 しかし、もし、黒田が妻を殺していたとしたら?
 それがばれたら、当然、母との結婚どころではない。その時、もし母のお腹に黒田の子がいたら……。
「別に——反対はしないけど」
 と、私は言った。
「そう」
 母はホッとした様子だった。
「でも、結婚式、あげてから、作ってくれる? 式の最中につわりじゃ、いくら何でも私の方が照れちゃうわ」
「もちろんよ」
 と、母は笑った。
 私は精一杯、明るく言ったのだが……。
 でも、このことは父に話しておかなくちゃ、と私は思った。
「——生徒会長の方は、どうなったの?」
 と、母が訊《き》いた。
「うん。来週から、選挙運動よ」
 と、私は答えて、もう一度、TVをつけていた……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%