日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

本日もセンチメンタル12

时间: 2018-06-29    进入日语论坛
核心提示:12 悩《なや》みは深し 私は一体何をしたのかしら? 詩《し》織《おり》は自分へ問いかけていた。私は正しいことをしたはずだ
(单词翻译:双击或拖选)
 12 悩《なや》みは深し
 
 
 私は一体何をしたのかしら?
 
 詩《し》織《おり》は自分へ問いかけていた。——私は正しいことをしたはずだ。
 
 そう。啓《けい》子《こ》をかくまったことだって、種《たね》田《だ》の正体を見破ったことだって、そして啓子を連《つ》れて種田の追《つい》跡《せき》から逃《に》げたことだって。
 
 それなのに——それなのに、この空《むな》しさは何だろう?
 
 この、お腹の中の空しさは……。
 
「あ、そうか。お弁当、食べてなかったんだ」
 
 詩織は、ついに、「答え」を発見したのだった。
 
「——でもさ、詩織」
 
 と、添《そえ》子《こ》が一《いつ》緒《しよ》にお弁当を食べながら言った。「その、啓子って子の言った、『二、三人殺さなきゃ』って、どういうこと?」
 
「しっ!」
 
 と、詩織は、鋭《するど》い目で後ろを振《ふ》り返った。
 
 教室の中には、異様な匂《にお》いが立ちこめていた。——いや、異様といっても、至ってなじみの深い匂いである。
 
 花《はな》八《や》木《ぎ》刑事が、教室の一番後ろに、まだ陣《じん》取《ど》っていて、出前のラーメンを食べているところだったのだ。
 
「あの刑事さんも、よく頑《がん》張《ば》るわね」
 
 と、添子が笑いをかみ殺しながら、「頭にあんなコブ作ってまで……」
 
 花八木は、種田の車の屋根に頭から落下して、みごとなコブを作っていた。そこでグルグル巻《ま》きに包《ほう》帯《たい》で頭を巻いて、翌《よく》日《じつ》、再び教室へ現れたのである。
 
「車の方はどうしたのかしら?」
 
 と、添子は言った。「屋根、へこんでたじゃない」
 
「きっと包帯巻いてんじゃない?」
 
 と、詩織は言った。
 
「でも、啓子って子、誰《だれ》を殺すの?」
 
「聞いてないわよ」
 
「分《わか》んないわねえ。ヤクザの手から逃《に》げて来て、どうして人を——」
 
「私が知ってるわけないでしょ」
 
 と、詩織も少々不《ふ》機《き》嫌《げん》である。「きっと、見かけによらず、殺《さつ》人《じん》鬼《き》なのかもしれないわ」
 
「殺人鬼?」
 
「満月の夜になると、オオカミに変身して、美女——いえ美男を襲《おそ》うのかも」
 
「まさか!」
 
「ともかく、分《わか》んないの」
 
 詩織も、実は不安だった。
 
 命をかけて守ってやろうという相手が殺《さつ》人《じん》狂《きよう》、というのでは、少々空《むな》しい話である。
 
「——やれやれ」
 
 ラーメンを食べ終った花八木が、立ち上って、器を出しに教室を出て行った。
 
「何か、ああいう後ろ姿《すがた》って、侘《わび》しいわね」
 
 と、添子はしみじみと言った。「あの人だって、昔からああだったわけじゃないでしょうに」
 
「そりゃそうでしょ」
 
 小学生のころから、あんな風だったら、気味が悪い。
 
「人間、疲《つか》れて来るのね、あれぐらいの年《と》齢《し》になると……」
 
 添子は、すっかり考え込《こ》んでしまっている。
 
 詩織は、お弁当を食べ終って、席を立った。
 
 ——花八木は、どこかでタバコでもすっているのだろう。
 
 午前中の授業のとき、タバコに火をつけて、
 
「灰《はい》皿《ざら》はないのか」
 
 とやったので、教室中が大《おお》騒《さわ》ぎになってしまった。
 
 結局、タバコをすうなら、廊《ろう》下《か》へ出てくれということになったのである。
 
 詩織は、校庭に出て、ウーンと伸《の》びをした。
 
 校庭に出て遊んでいる子は、あまりいない。
 
 大体が、ぶらぶら歩くぐらいの広さしかないのだ。で、詩織も、ぶらぶら歩くことにした。
 
「ワン」
 
「何よ、添子」
 
 と、詩織は振《ふ》り向いたが——添子の姿《すがた》はなかった。
 
 考えてみれば、添子がなぜ「ワン」と鳴くのだろうか?
 
「ワン」
 
 足下へ目をやると、犬が一《いつ》匹《ぴき》、詩織を見上げていた。
 
「あ、お前——」
 
 と、詩織は目をみはった。「種田の犬じゃないの。スパイしに来たのね? そうでしょう! 白状しろ!」
 
 そんなこと言っても無理ですよ、とでもいう顔で、犬は、また、
 
「ワン」
 
 と鳴いた。
 
「たまには『ツー』とか『スリー』とか鳴いたら?」
 
 犬が、トコトコ歩き出し、ちょっと振《ふ》り向く。——どうやら、ついて来い、と言いたいらしい。
 
「私に用?——怪《あや》しいな」
 
「ワン!」
 
「だって、お前は、種田の犬じゃないの」
 
 しかし、犬の方は、詩織の不信の念など一向に構うことなく、またトコトコと歩いて振り向く。
 
「分《わか》ったわよ」
 
 と、詩織は肩《かた》をすくめた。「ついてきゃいいんでしょ」
 
 犬は、学校の裏《うら》門《もん》から外へ出た。
 
「休み時間に、勝手に外へ出ちゃいけないんだぞ」
 
 と言いながら、もちろん詩織は外へ出る。
 
「——どこへ行くのよ?」
 
 犬は、詩織もあまり知らない道を辿《たど》って行く。—— 少々不安になって来る。
 
 一人で来るんじゃなかった、と、チラッと考えたが、しかし、ここまで来て、引き返すわけにもいかない……。
 
「ワン!」
 
 犬が、足を止めて、急に鳴いた。
 
「どうかしたの?」
 
 ——ちょっと寂《さび》しい場所、といっても、こんな町の中に、人里離《はな》れた林があるわけもなく、そこは鉄骨の林——建設中のビルの工事現場だった。
 
 工事が中断されているのか、働いている人の姿《すがた》はない。
 
 こんな所に、何の用で呼《よ》び出したんだろう? 詩織は、充《じゆう》分《ぶん》に用心して、歩いて行った。
 
 犬は、その工事現場の奥《おく》の方へと入って行くのである。
 
「ちょっと!——ねえ、どこに行くのよ!」
 
 何しろ足下が危《あぶな》くて仕方ないのだ。やたらに鉄材やら木の折れたのが転《ころが》っていて、下を見て歩かないとつまずいてしまいそうだ。
 
「ねえ、こら、犬!」
 
 何か名前はあるのだろうが、その犬が見えなくなってしまった。
 
「どこなの? 一声、『ワン』とやってよ」
 
 詩織は、足を止めた。
 
 あの音は? 何だろう?
 
 ギリギリ……。何だか、特大の歯ぎしりみたいな音が、頭上から聞こえて来た。
 
 鉄骨が三階ぐらいまで組んであり、その上から、何かが降《お》りて来た。
 
 ゆっくり、ゆっくりと……。それは、人だった。
 
 落ちないのは、何かにぶら下っているからで、どうやら、それは太い鎖《くさり》らしい。
 
 詩織は、後ずさった。
 
 あれ……。あれは……もしかして……。
 
 ガクン、と鎖《くさり》が上った。
 
「——種田だわ」
 
 と、詩織は呟《つぶや》いた。
 
 種田だった。間《ま》違《ちが》いない。
 
 鎖が体に巻《ま》きつけられて、逆さまにぶら下っているのだ。そして——種田は死んでいた。   
 
 赤いシャツを着ているのかと思ったが、そうではなく、血に染《そま》っているのだと分った。
 
 殺されたのだ!
 
 さすがに、詩織も、突《とつ》然《ぜん》のことでガタガタ震《ふる》え出した。
 
 種田がなぜ? 誰《だれ》に殺されたのか?
 
 詩織が、二メートルほどの所でぶら下って揺《ゆ》れている種田の死体を見上げて、身動きできずにいると、
 
「——何をしとる」
 
 と声がした。
 
「キャーッ! お化《ば》け!」
 
 詩織は飛び上った。
 
「私がどうしてお化けだ!」
 
 花八木だった。「ちゃんと尾《び》行《こう》して来たのだ。私の目を逃《のが》れられると思っているのか?」
 
「あ、あれ……」
 
「何だ? 人に振《ふ》り向かせて、その隙《すき》に逃《に》げようったって、そうはいかんぞ」
 
「見なさいよ!」
 
「何を?」
 
 と、花八木は、詩織の指さす方へ目をやった。「誰だ、あそこで遊んどるのは? ふざけるのもいい加減に……」
 
「死体よ! 本物の!」
 
 と、詩織は叫《さけ》んだ。「早く一一〇番!」
 
 だが、花八木はその場にズデン、と引っくり返ってしまった。どうやら気を失ったらしい……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%