日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

本日もセンチメンタル16

时间: 2018-06-29    进入日语论坛
核心提示:16 大乱戦 詩《し》織《おり》も、この物語のヒロインとして(ヒーローみたいだ、という声もあるが)、かなり勇《ゆう》敢《か
(单词翻译:双击或拖选)
 16 大乱戦
 
 
 詩《し》織《おり》も、この物語のヒロインとして(ヒーローみたいだ、という声もあるが)、かなり勇《ゆう》敢《かん》で、少々のことでは、真《まつ》青《さお》になったりしないという性格にはできているが、しかし、何といってもうら若き、十七歳の乙《おと》女《め》である。
 
 あら、女の子だったの?——こう訊《き》く読者がいたら、詩織にぶっとばされるのを覚《かく》悟《ご》しなくてはならない。
 
 詩織にだって、怖《こわ》いものというのはある。たとえば数学。特に微《び》分《ぶん》積《せき》分《ぶん》、物理の法則類全般、ニンジン、雷《かみなり》、そして——地《じ》震《しん》。
 
 突《とつ》然《ぜん》、家がガタガタ揺れ始めたので、詩織は青くなった。
 
「地震よ! 隠《かく》れて! 外へ飛び出しちゃいけないわ! 家の中にいたら潰《つぶ》される!」
 
「じゃどうしたらいいの?」
 
 と、母親の方は至って落ちついている。
 
「だって、こんなに——」
 
 と言っている内に、地震はピタリとおさまった。
 
 詩織は、ああやれやれと息をついた。
 
「全くもう! 揺《ゆ》れるなら揺れるで、ちゃんと先に挨《あい》拶《さつ》ぐらいするものだわ」
 
 と、無茶なことを言っている。
 
「——あら」
 
 と、母の智《とも》子《こ》が言った。「あの刑事さんは?」
 
 そういえば、花《はな》八《や》木《ぎ》の姿が見えない。
 
「どうしたのかしら?」
 
 と、詩織は周囲を見回して、「地震で、地割れの中にでものみ込《こ》まれたのかしら?」
 
「家も壊れてないのに?」
 
 と—— 食《しよく》卓《たく》の下から、 何やらモゾモゾと動くものがあった。
 
「キャッ!」
 
 と、詩織は飛び上って、「お母さん! テーブルの下に! ゴキブリ!」
 
「こんなでかいゴキブリがいるか!」
 
 と、その「ゴキブリ」は怒《ど》鳴《な》った。
 
 もちろん、花八木である。
 
「何よ、だらしない!」
 
 と、自分のことは棚《たな》に上げて、詩織は言った。「そんな所へ隠《かく》れて」
 
「隠れていたのではない。 —— 逃《に》げ道を捜《さが》していたのだ」
 
 と、花八木は立ち上った。
 
 詩織が、また何か言ってやろうとしたとき、
 
「——おい! どうだ!」
 
 と、でかい声が玄《げん》関《かん》の方から聞こえた。
 
「あの声——三《み》船《ふね》だわ」
 
 と、詩織が言った。
 
「面《おも》白《しろ》かったろう! 今度は家を逆さにしてやるぞ!」
 
 詩織と母は顔を見合せた。——父親は?
 
 もちろん、一《いつ》緒《しよ》にいたのだが、この詩人は、新しい詩の構想を練っているときは、何があってもだめなのである。
 
「じゃ、今の地《じ》震《しん》は?」
 
 詩織は、あわてて、窓《まど》の方へと飛んで行った。「——ママ、見て!」
 
 家の前の狭《せま》い道に、よく入ったと思うような、大きなクレーン車が停《とま》っていた。
 
 三船が、ヒョイと窓の前に顔を出したので、詩織はあわてて後ろに退《さ》がった。
 
「——よう、よくも俺《おれ》たちを騙《だま》してくれたな、ええ?」
 
「あ、あの——」
 
「あの古ぼけた寮《りよう》の方は、中の奴《やつ》を逃《に》がしてからぶっ壊《こわ》してやった。しかしな、お前たちは別だ」
 
「じゃ、逃がさないで壊さない、ってこと? それなら助かるけど」
 
「半分だけ正解だ。一歩でも外へ出ようとすりゃ、撃《う》ち殺す」
 
「あ、そう」
 
「中で布《ふ》団《とん》にでもくるまってるんだな。今、俺《おれ》の手下が、この家の四《よ》隅《すみ》にロープをかけてる」
 
「まだ引《ひつ》越《こ》しの予定はないんだけど」
 
「なに、よそへ持ってきゃしねえ。これで逆さに引っくり返すだけだ」
 
 三船はニヤリと笑った。「ま、ジェットコースターでも、こういう気分は味わえないぜ。楽しみにしてな」
 
 さすがに詩織も焦《あせ》った。家が逆さにされたんじゃ、二階に行くのが大変だ!
 
「ちょっと!」
 
 と、食堂へ駆《か》け込むと、「刑事さん! ほら、何とかしてよ! あんた、ここの守り神でしょ!」
 
「分《わか》っとる!」
 
 花八木は、ぐっと胸《むね》をそらして、「すぐ一一〇番しよう」
 
 と、電話の方へ駆《か》け寄った。
 
「もう、だらしない!」
 
 と、詩織はかみつきそうな声を出したが、
 
「いや、勇《ゆう》敢《かん》と無《む》謀《ぼう》は別だ。——もしもし。——もしもし」
 
 花八木は顔をしかめて、「何だ、この電話は? 料金を払《はら》っとらんのじゃないのか?」
 
「冗《じよう》談《だん》言わないで!」
 
 詩織は、受話器を引ったくって、かけ直そうとしたが……。「だめだわ。全然、音がしない。——きっと電話線切られちゃったんだわ」
 
「そうか! こうなっては仕方ない」
 
 花八木が、渋《しぶ》々《しぶ》覚《かく》悟《ご》を決めたのか、玄《げん》関《かん》の方へと出て行った。
 
「——困《こま》ったわね」
 
 と、さすがに呑《のん》気《き》な智子も、不安げである。「そうと分ってりゃ、お掃《そう》除《じ》なんかするんじゃなかったわ」
 
 父親の方は、じっと目を閉《と》じて、眠《ねむ》っているわけではないが、ともかく、いい詩が思い付きそうなのだった。
 
「お前ら! 神《しん》妙《みよう》にしろ!」
 
 玄関の方で、花八木の声がした。「この警《けい》察《さつ》手帳が目に入らんか!」
 
 ——へえ、なかなかやるじゃないの、と詩織は思った。
 
 相手の方も静かになったようだ。さすがに、刑事がいるのでは、今日は引き上げようということになったのだろう。
 
 と——バン、バン、と弾《はじ》けるような音が続けざまに五、六回聞こえて、ドタバタと花八木が転《ころが》り込《こ》んで来た。
 
「撃《う》たれた! おい、手を貸してくれ!」
 
「ええ? どこを?」
 
「どこ? それは——」
 
 と、花八木は起き上ると、「うむ。幸い当らなかったようだ」
 
 と、息をついた。
 
「何よ、だらしがない! あなただって、ピストルぐらい持ってるんでしょ!」
 
「いや、これはめったなことでは使えんのだ」
 
「じゃ、どうするのよ!」
 
「うむ……。警察手帳も落として来てしまったし。——ここが思案のしどころだ」
 
「そんな呑《のん》気《き》なこと言ってる場合じゃないでしょ!」
 
「——おい! 用意ができたぜ!」
 
 と、三船の声がした。「そのヘナチョコ刑事も一《いつ》緒《しよ》に逆立ちさせてやる!」
 
「逃《に》げなきゃ!」
 
 こうなっては仕方ない。「ママ! パパ! それに——ほら、犬!」
 
「ワン」
 
「裏《うら》から庭へ出るのよ!」
 
 と、詩織が叫《さけ》ぶ。
 
 そのときだった。
 
 ダダダダ……。短く途《と》切《ぎ》れた銃《じゆう》声《せい》が、表にひびきわたった。
 
「機《き》関《かん》銃《じゆう》じゃない?」
 
 と、智子が言った。
 
「クレーンだけじゃ間に合わないのかしら?」
 
 しかし——どうも妙《みよう》だった。
 
「ワーッ!」
 
「逃げろ!」
 
 と、叫んでいるのは、どうやら三船らしい。
 
 逃げる?——でも、どうして三船が?
 
 しかし、ともかく、二、三分も騒《さわ》ぎが続いたと思うと、急に静かになってしまったのである。
 
「どうしたのかしら?」
 
 と、詩織は母の顔を見た。
 
「私が知ってるわけないでしょ。あなた、見てらっしゃい」
 
 と、冷たい母は言った!
 
 が、詩織が出て行くまでもなかった。
 
 誰《だれ》かが家の中へ入って来たのだ。そして、詩織が目を見開いている前に現れたのは——。
 
「ご無事でしたか」
 
 真《まつ》白《しろ》な三つ揃《ぞろ》いのスーツ、スラリと長身の色白な青年が、機関銃を片手に下げて、現れると、そう言って、サングラスを外《はず》した。
 
「はあ……」
 
 詩織は、ポカンとして、その青年を眺《なが》めていた。——きりっとした顔立ちの二《に》枚《まい》目《め》。
 
 きれいになでつけた髪《かみ》。まるで、少し昔のギャング映《えい》画《が》から脱《ぬ》け出して来たような青年だった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%