日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

本日もセンチメンタル22

时间: 2018-06-29    进入日语论坛
核心提示:22 コーヒーのシャワー 詩《し》織《おり》は、啓子が〈女《おんな》吸《きゆう》血《けつ》鬼《き》〉の役をやっているお化《
(单词翻译:双击或拖选)
 22 コーヒーのシャワー
 
 
 詩《し》織《おり》は、啓子が〈女《おんな》吸《きゆう》血《けつ》鬼《き》〉の役をやっているお化《ば》け屋《や》敷《しき》から、やっと花《はな》八《や》木《ぎ》刑事を引っ張り出した。
 
「ああ怖《こわ》かった! ねえ、刑事さん」
 
 と、少しオーバーに花八木にもたれかかって見せたりして、「もう二度とこんな所、来たくないわ」
 
「何だ、さっきは大好きなようなこと、言ってたじゃないか」
 
「そ、そうでした?」
 
「怪《あや》しいぞ。さては、ここから私を引き離《はな》す気だな」
 
 花八木の言葉に、詩織はドキッとした。
 
「そんなの、考え過ぎです!」
 
「あわてるところを見ると、ますます怪しい。——そうか! 読めたぞ!」
 
 花八木は、ちょっと見《み》得《え》を切って、「問題の娘《むすめ》が、このお化け屋敷でアルバイトをやっているのだな? たぶん、お岩《いわ》さんとか女吸血鬼とか」
 
 これには詩織も焦《あせ》った。まさか花八木のカンが、ここまで鋭《するど》いとは、思ってもみなかったのだ。
 
 どうしよう? 花八木をのして気絶させ、スルメにするか——いや、イカじゃなかったんだ。啓子が逃《に》げのびるまで、何とか花八木を引き止めなくては。
 
 場合によっては、殺してでも——なんて、詩織が物《ぶつ》騒《そう》なことを考えていると、花八木がワハハ、と笑って、
 
「そんなことがあるわけがないな。それじゃまるで小説だ。おい、どこかで何か食おう。腹《はら》が減った」
 
 詩織はホッとしながらガックリ来た。ま、花八木に関する認識を改める必要がなかったというのは、結構なことである。
 
 さっき、お昼をたっぷり食べたばかりじゃないの、と思ったが、ここは素直に、
 
「そうね。私もそう思ってたんです」
 
 と言った。
 
 詩織たちは、ホットドッグやコーヒーを売っているカウンターの方へとやって来た。
 
「ここは私が払《はら》おう」
 
 と、花八木が珍《めずら》しいことを言い出した。
 
「でも——」
 
「心配するな」
 
 と、花八木は胸《むね》を張って、「さあ、いくつでも食べていいぞ」
 
 いくつでも、ったってね……。ホットドッグやらハンバーガーを、二つも三つも食べられやしない。
 
「私、飲物だけでいいです」
 
 と、詩織は言った。「ともかく、列に並《なら》ばないと」
 
「うむ。では私にホットドッグを二つとコーラを買って来てくれ」
 
 何よ、要するに人に並んで買わせよう、ってんじゃないの!——飲物一《いつ》杯《ぱい》じゃ合わないわ。
 
 そうグチりつつ、詩織は列の後ろについた。何しろ凄《すご》い人出なので、カウンターの前も長《ちよう》蛇《だ》の列——というのは少々オーバーかもしれないが、まあ十分や十五分は待たされそうだった。
 
「ええと……何にしようかな」
 
 珍しく花八木がおごるというのだから、できるだけ高いものにしてやろう、と思った。
 
 しかし——渡《わた》されたのは千《せん》円《えん》札《さつ》一《いち》枚《まい》で、花八木のホットドッグとコーラの分を引くと、結局、詩織の分はコーラかアイスコーヒーぐらいしか買えない計算になるのだった。
 
 ま、いいや。
 
 それにしても——花八木と一《いつ》旦《たん》はここを出なきゃ。そして、ここが閉《し》まってから、もう一度、啓子と話をするのだ。
 
 啓子が一体誰《だれ》を殺そうとしているのか。詩織は不安だった。
 
 そうだわ、こんな所に呑《のん》気《き》に並《なら》んでる場合じゃない! でも、並んでるんだけど……。
 
 あと三人くらいで、順番が回って来る、という時だった。
 
「おい、アイスコーヒー七つ!」
 
 と、突《とつ》然《ぜん》前の方へ割り込んだ男がいる。
 
「ちょっと! 並んでくれよ」
 
 と、ヒョロリとした学生らしい男の子が文句を言うと、
 
「うるせえ!」
 
 白いスーツのその「割り込み男」がジロッとにらんで、「文句があるのか!」
 
 と、凄《すご》んだ。
 
「い、いえ——どうぞ」
 
 男の子が、二、三歩後ずさりする。
 
 それも無理はないので、何しろ相手は見るからにおっかないヤクザである。しかし……。どこかで見たような、と詩織は首をかしげた。
 
「早くしろ! 親分が待っておいでなんだ!」
 
 せかされて、カウンターの中のバイトの女の子も、焦《あせ》っている。
 
 詩織は周囲を見回した。——と、まぶしく光を反《はん》射《しや》しているもの……。
 
「あ!」
 
 反射していたのは、白いスーツの丸《まる》坊《ぼう》主《ず》だった。
 
 三《み》船《ふね》だ! 詩織の所へ押《お》しかけて来て家具を壊《こわ》し、家を引っくり返そうとした連中である。
 
 あの時は、手下も三人だけだったが、今日《きよう》は、ズラリ五人も揃《そろ》えている。いや、今、アイスコーヒーを買っているのを加えると六人だ。
 
「おい、盆《ぼん》にのせろ!」
 
 七つも手で持てるわけがない。
 
「あの……お盆、ないんですけど」
 
 と、バイトの女の子が言うと、
 
「じゃ、お前が一《いつ》緒《しよ》に運んで来い」
 
「は、はい……」
 
 可《か》哀《わい》そうに!——詩織は震《ふる》え上っているその女の子を見て、つい同情してしまった。
 
 同情すると、後先も考えずに行動するのが詩織のくせである。
 
「私、持ってあげるわ」
 
 と、進み出た。
 
「ほう、感心だな」
 
 と、男が言った。「よし、俺《おれ》が二つ持つから、お前、五つ持て」
 
 そんな不公平な!——しかし、意地になった詩織は、両手でアイスコーヒーの紙コップを五つ、ギュッと挟《はさ》むようにして持つと、男の後をついて行った。
 
 三船は、木かげのベンチにドカッと腰《こし》をおろしている。
 
「——親分、アイスコーヒーです」
 
「遅《おそ》いじゃねえか! 早くよこせ」
 
「はい」
 
 詩織は、三船の方へ、紙コップを一つ差し出そうとしたが……。五つも持っていて、その内の一つを差し出すというのは、非常にむずかしいのである。
 
 おっとっと……。
 
 ツルッ、と手がすべった。アッと思った時には、アイスコーヒーの紙コップは次々に詩織の手の中から飛び出して——もろに三船の頭からコーヒーが降《ふ》り注《そそ》いだのである。
 
 ——やばい! 詩織は、青ざめた。
 
 三船は、ツルツルの頭を、さらに光らせて、じっと座《すわ》っていた。
 
「——あ、こいつ!」
 
 と、子分の一人が詩織に気付いた。「あの家の小《こ》娘《むすめ》だ!」
 
「そうか……」
 
 三船がギュッと拳《こぶし》を固める。「——いい度《ど》胸《きよう》だな」
 
「あ、あの——ごめんなさい」
 
 詩織としても、相手はともかく、コーヒーを頭からかけてしまったことは反省していたのである。
 
「わざとやったとしか思えねえな」
 
 気が付くと、三船の子分たちが、グルッと詩織を取り囲んでいる。さすがに詩織も焦《あせ》った。
 
 花八木は? すぐそばにいるはずなのに!
 
「私に何かしたら、すぐ近くに刑事さんがいるのよ!」
 
 と、詩織が言った。
 
「そうか。じゃ、呼《よ》んでみろ」
 
「刑事さん! 花八木さん!」
 
 と、詩織は叫《さけ》んだ。
 
 たちまち花八木が駆《か》けつけて——は来なかった。なぜか、一向に返事がない。
 
「どうやら、風をくらって逃《に》げたらしいぜ」
 
 と、子分の一人が笑った。
 
 もう! 肝《かん》心《じん》の時になるといないんだから!
 
「このスーツ、どうしてくれる?」
 
 と、三船が言った。
 
 白いスーツが、コーヒーの色で、ぶちの犬みたいになっちゃっているのだ。
 
「クリーニングに出せば、落ちると思いますけど」
 
 と、詩織は言った。
 
「面《おも》白《しろ》い。お前も一《いつ》緒《しよ》に洗《せん》濯《たく》機《き》に放り込んでやろうか。おい、こいつをひねっちまえ」
 
 簡《かん》単《たん》にひねられてたまるか!
 
 詩織は思い切って、正面の三船に体当りした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%