日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

長い夜18

时间: 2018-06-29    进入日语论坛
核心提示:18 死 闘「その先を曲れ!」 先頭を走っていたリーダーの男が、振り向いて叫んだ。 オートバイのスピードが落ちる。 公園の
(单词翻译:双击或拖选)
 18 死 闘
 
「その先を曲れ!」
 先頭を走っていたリーダーの男が、振り向いて叫んだ。
 オートバイのスピードが落ちる。
 公園の裏手。——月明りがなければ、闇《やみ》に包まれる場所だろう。
 先頭のオートバイがクルッと向きを変えた。
 宏子を後ろに乗せたオートバイは、十三台の、ちょうど真中辺りにいた。カーブを切って、スピードを落とす。
 と——宏子の体がオートバイから大きく弾《はじ》けるように飛んだ。
「おい!」
 あおりを食らって、そのオートバイが横倒しになる。誰もが呆《あつ》気《け》に取られていた。
 宏子は信じられないほど高く宙を飛んで、ピタリと地に四つん這《ば》いになって下りた。
 それはとても人間では不可能な、しなやかな四《し》肢《し》を持つものの動きだった。
 そして、アッという間に、宏子の姿は公園の木立ちの間へと吸いこまれるように消えていた。タタッという足《ヽ》音《ヽ》。いや—— 走ったのではない。
 四つ足で、しなやかな獣のように、走り去ったのである。
「——何だ、あいつは!」
 と、リーダーの男が唖《あ》然《ぜん》として、言った。横倒しになったオートバイから転げ落ちた男が、倒れたままなので、リーダーの男はオートバイを寄せて、
「おい。——だらしないぞ!——おい」
 気絶しちまったのか?
「おい、起こしてやれ」
 一人がオートバイをおりて近寄ると、かがみ込んだ。
「ワッ!」
 叫び声を上げて、飛び上がった弾みに、ヘルメットが外れてガラガラと音をたてて転がった。
「どうしたんだ」
「——血《ヽ》が《ヽ》」
 声が震えていた。
「何だと?」
 リーダーの男は、自分もオートバイをおりて、歩み寄った。
 倒れた部下を引っ張り起こす。——頭がぐったりと後ろへ落ちた。
 白目をむいて、死んでいる。首の後ろから、血が溢れるように流れ出ていた。
「——畜生!」
「どうしたんだ?」
「何か隠してたんだろう、武器を」
 誰もが、呆気に取られているばかりで、実感がないようだった。
「妙な傷だ」
 と、リーダーの男が呟《つぶや》いた。
 刃物ではない。突いた傷でも、切った傷でもなかった。
 ぎざぎざの、まるで引き裂いたような傷なのである。
 あの女が? こんなことをやったのか?
「——あの走り方、見たか」
 と、一人が言った。
「犬みたいだったぜ」
「いいか」
 と、リーダーの男が声を荒げた。「仲間を殺《や》られたんだぞ! 何が何でも、見付けるんだ! 八つ裂きにしてやれ!」
 オートバイのエンジンが唸《うな》った。
「どうします?」
「手分けして捜せ。公園の中へ逃げ込んだからな。どこかに隠れてる。——いいか、見付けたら、思い切りクラクションを鳴らせ」
 リーダーの男はヘルメットをかぶり直した。
「——よし、行け!」
 一斉にオートバイが走り出す。
 公園へ入る、幅の広い階段を、次々にオートバイは駆け上って行った。
 そして左右に分れ、さらに散って行った。——公園はかなりの広さがある。
 中央の広場に、大きな丸い池と噴水があって、その周囲のベンチは、夏のころにはアベックの名所になる。この季節にも、五、六組のアベックが体を寄せ合っていたが、爆音をたててオートバイが何台も駆け抜けて行くと、みんなびっくりして、あわてて立ち上がり、公園から出て行ってしまった。
 十三台の——いや、今は十二台になったオートバイも、広い公園の中に散れば、ほとんど互いに目には入らない。
 木立ちや茂みの多い公園の中、遊歩道がくねくねと続いている。隠れる場所はいくらもありそうだった。
 夜の公園に、オートバイの爆音が、こだまのように響き合っている……。
 
 あれは何だったんだろう?
 あの飛び方、四つ足の走り方。——あれは人間じゃない。
 それじゃ何だっていうんだ? ゆうべは、あの女を兄貴たちが犯したじゃないか。あの時、あの女は確かに、生身の女だったんだ。
 でも……。さっきの、あの女は、まるで別の生きものみたいだった……。
 サブは、さっきリーダーに言われて、倒れていた仲間を起こそうとして飛び上がった。
 あの女が、刃物を持っていたとしても、あんなに素早く、行動できただろうか?
 サブは怯《おび》えていた。——だらしのない話だが、左右の木立ちの闇《やみ》が、怖くてたまらなかったのだ。
 サブは十九歳である。このグループでは、一番若くて、下っぱということになる。
 だから、ゆうべだって、あの女を犯すのには加わらなかった。いくらかは残念だったが、内心ホッとしてもいたのである。
 女は嫌いじゃない。しかし、あんな風に、無抵抗の女を大勢で犯すというのは、サブの好みじゃなかった。
 しかし、今夜のあの女は、はっきり、ゆうべとは違っている。何が起こったのか分らない。もちろん、「人間じゃない」と思ったのは理屈じゃなく、直感的なもので、じゃあ何なのか、と訊《き》かれたら、サブにも答えられなかったろう。
 ともかく——今夜はどこか狂ってるんだ。
 こんな夜は、早く帰って寝ちまうのが一番だ。
 そう思っても、もちろん勝手に帰ったりするわけにはいかないのだ。
「ワッ」
 カーブを曲って、目の前に誰かが突っ立っているのを見て、仰天する。
 キーッとタイヤが鳴った。危うく、引っくり返らずに済んだ。
「——何だよ。はねちまうところだぜ」
 と、息をついて、サブは言った。
 オートバイが見当らない。ヘルメットが転がっていて、その仲間は、サブの方に背を向けて、ぼんやりと突っ立っているようだった。
「おい。——どうしたんだよ」
 手をのばして、肩を叩《たた》くと、その仲間がゆっくりと振り向いた。
「助けてくれ……」
 と、その男は言った。「死んじまうよ……」
 サブは真青になった。仲間の腹が、獣に食い破られたように裂けて、血が溢《あふ》れ出していた。
「サブ……」
 一歩前に出て、そのまま、その男は倒れてしまった。血だまりが、池のように広がって行く。
 どうなってるんだ! こんなことが……。あの女がやったのか?
 サブは、仲間を捜そうとした。知らせなきゃ。また誰かがやられる!
 サブはオートバイを駆って、中央の池までやってきた。
「おい! 誰か!」
 と、怒鳴ってみる。
 オートバイのエンジンの音は、公園のあちこちから聞こえて来る。みんな走り回っているのだ。一《ヽ》人《ヽ》ず《ヽ》つ《ヽ》、ばらばらに。
 危い。何人か固まっていないと、やられるかもしれない。
 オートバイの音が、近付いて来た。
 良かった! 誰かここへ来る。
 木立ちの間から、オートバイが進んで来た。いやにゆっくり、真直ぐに走って来る。
 木立ちの陰からそ《ヽ》れ《ヽ》が抜け出して来た時、サブは目を疑った。——何の冗談だ?
 誰がやって来たのか、サブには分らなかった。
 オートバイにまたがったその男には、首《ヽ》が《ヽ》な《ヽ》か《ヽ》っ《ヽ》た《ヽ》からだ。
 やがてゆっくりとオートバイは横倒しになって、火花が飛んだ。
 車輪が回り続けている。
 サブは叫び出したかった。——やめてくれ! もうやめてくれ!
「——おい」
 突然、後ろから声をかけられて、サブは叫び声を上げた。
「何をびびってるんだ」
「兄貴……」
 サブは息をついた。グループでは、リーダーに次いでナンバーツーの男だ。
「あれは?」
「今、フラッと走って来たんだよ」
「——首がないぞ」
「向こうでも一人やられた」
「何だと?」
「オートバイを持ってったらしいよ」
 と、サブは言った。
「畜生!——あの女がやったのか、こんなことを?」
「あの女、普通じゃねえよ」
「どうでもいい! このまま逃がすわけにゃいかねえぞ。一緒に来い」
「うん」
 サブはほっとした。一人でないというだけで、救われたような気分になる。
 木立ちの間を、少しゆっくり走らせる。
「よく左右を見てろよ」
「うん」
 サブは、つい、後ろにも目をやってしまう。誰かがついて来るような気がするのだ。
「いたぞ」
「兄貴、どこに?」
 訊《き》くまでもなかった。——行く手に、あの女がオートバイにまたがって、片足を地面に下ろし、立っていた。
 こっちを見ている。——離れてはいたが、女の上半身が血で光っているのが見えた。返り血だ。サブはゾッとした。
「兄貴。みんなを呼ぼう」
「俺《おれ》一人で充分だ」
 バシッと音がしてナイフが光る。「駆け抜けざま、あいつの首をかっ切ってやる」
 エンジンが唸《うな》り、サブは、「兄貴」があの女に向かって突っ込んで行くのを見送っていた。——いやな予感がした。
 女が、まるで動こうともしなかったからだ。
 突然、途中でオートバイが転倒した。油だ! ガソリンをまいてあったのだ。
 ちょうど影になった所で、目に入らなかったのである。
 投げ出された兄貴が、立ち上がった。
 その時、女が、何か光るものを投げるのが見えた。火が——一面の炎が、サブの視界を覆った。
 炎の中に、「兄貴」が転げ回り、飛びはねるのが見えた。そしてすぐに、「兄貴」は動かなくなった……。
 サブは身震いした。全身から汗がふき出す。
 もう……もう沢山だ!
 サブはオートバイを投げ出し、駆け出した。
 逃げることしか、サブの頭にはなかった。見えない影に追われて——。
 
 仁美と進は、道を進んで行った。
 一体、あの銃声と悲鳴の下で、何が起こっているのか、考えたいとも思わなかった。考えたところで、何の役にも立たない。
 今はともかく、何も恐れず、何にも怯《おび》えないことだけが必要なのだ。
 仁美は、日本刀をしっかりと握りしめていた。何もないよりはましだろう。
 ——銃声がやんだ。
「終ったのかしら」
 進は、
「ルミが——」
 と、言ったきり、言葉を切った。
 ルミが殺されたかもしれない、と思っているのだろう。たとえ獣の歯を持っていても、妹は妹なのだ。
 二人は足を止めた。
 月光の下で、三人の男が倒れていた。死んでいるのは一目で分かる。
 一人は、喉《のど》を食いちぎられていた。
 他の二人は——撃ち殺されている。何発も弾丸を撃ち込まれたのだろう。ずたずたになって、顔もほとんど見分けがつかない。
「ひどい……」
 と、仁美は呟《つぶや》いた。「この人たちは……」
「あ《ヽ》れ《ヽ》だ《ヽ》っ《ヽ》た《ヽ》んだよ」
 と、進が言った。
「そう……」
 町の男たちが殺したのだ。
「他の人たちはどこに行ったのかしら?」
「先だよ、もっと。ルミもいる」
「そう。——町の人たちは、かまれてしまった人を、皆殺しにしようとしてるのね」
「うん」
 進は肯《うなず》いた。「しょうがないのかもしれないけど、でも、ルミが撃ち殺されるのなんていやだ!」
「でも……進君を見ても、分るの?」
 進は黙って首を振った。進にも、それは知りようのないことなのだろう。
「ごめんね、悪いこと訊《き》いて」
 と、仁美は進の肩を抱いた。「じゃ、行こう」
「うん」
 二人は歩き出した。
 少し行って、足を止める。
「——向こうで声がしたね」
 と、仁美は言った。「その細い道の奥じゃない?」
「危いかもしれないよ」
 と、進が仁美を見る。「僕一人で行く」
「何言ってるの」
 仁美は、微《ほほ》笑《え》んで言った。
 どうして、こんな時に落ちついていられるんだろう、と仁美は自分でも不思議だった。
「一度、死ぬつもりだったのよ、私」
 と、細い道へ入りながら、仁美は言った。
「どうして?」
「うん……。色々あってね。一家で死のうとしてたの」
「それで……やめたの?」
「そう。だけどね、一度そういう覚悟をすると、強くなるのよ、人間って」
「そうでなくとも、強そうだよ」
「まあ、何よ、その言い方」
 と、仁美はポンと進の頭を叩《たた》いた。
「——ね、明りが」
「隠れよう」
 二人は木立ちの中へと入って身を潜めた。
 足音がして、町の男たちが三、四人、やって来る。
「——また、やり直しか?」
「仕方ないだろう」
「それまでが長いぞ」
「ああ、分ってる」
 話しながら、仁美たちの目の前を通り過ぎて行った。
「——もっといたよね」
「うん。他の方へ行ってるのかもしれないけれど」
「そうか。でも、もう少し待ってみよう」
 二人は、しばらくじっと息を殺していた。しかし、続いて誰かがやって来る気配はなかった。
「行ってみようか」
「うん」
 二人は、そっと道へ出ると、さらに奥へと足を進めた。
 ゆるい曲りだった。そこを曲った時、そ《ヽ》れ《ヽ》が目の前にあった。
 仁美も、さすがに青ざめて、よろけた。目をそむけずにはいられない。
 もう、それが誰だったのか、見分けることなどできなかった。それは単に残《ざん》骸《がい》にすぎなかったのだ。
「町の人じゃないと思うよ」
 と、進が言った。
「じゃ、誰?」
「分んないけど、たぶん、おびき寄せるためのえ《ヽ》さ《ヽ》だったんだ」
「そこを狙《ねら》うつもりで」
 邪魔が入って、間に合わなかったのだろう。何人かが(あるいは何《ヽ》匹《ヽ》かと言うべきか)、町の男たちを途中で妨害する役目だったのだ。
「じゃあ、もう今日は引き上げたのね、町の人たち」
 と仁美は言った。
「そうじゃないぞ」
 突然、背後で声がした。
 とっさのことだった。仁美は、
「逃げて!」
 と、進を押しやった。
 進が木立ちの中へ飛び込む。仁美は反対側へ駆け出そうとして、銃声と共に目の前の地面がえぐれるのを見た。撃たれる!
「動くなよ」
 と、男が近付いて来た。「おとなしく手を上げろ。そいつを捨ててな」
 仕方ない。進はうまく逃げたようだ。
 仁美は両手を上げた。
 銃声を聞いたのか、男たちが五、六人、駆けつけて来た。
「どうした?」
「この娘が尾《つ》けて来てたんだ。例のガキと二人で」
「顔を見せろ」
 月明りの方へ、仁美は向いた。
「新しく越して来た家の娘だ」
 と、一人が言った。「どうして尾けて来たんだ?」
 仁美は答えなかった。
「——困ったな。どうする?」
「何かあるんだ、こいつも。仲間かもしれない」
「そうじゃないだろう……」
「おい、待て」
 と、仁美に銃を突きつけた男が、言った。
「いい機会だ」
「何のだ?」
「も《ヽ》う《ヽ》一《ヽ》度《ヽ》、チャンスがあるってことさ」
 しばらく、男たちは黙っていた。
「——この娘を?」
「悪いか? 次の満月までに、また誰かやられるかもしれん」
「そうだ。どうせよそ者だ」
 男たちが肯く。——仁美は膝《ひざ》が震えた。
「気の毒だな」
 と、男の一人が仁美の後ろへ回った。「さぞいい匂《にお》いがするだろう」
 次の瞬間、仁美は後頭部を殴られて気を失い、地面に倒れていた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%