日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

透き通った花嫁10

时间: 2018-07-31    进入日语论坛
核心提示:エピローグ「でも、やっぱり、例の『幻の妻』は、あの女の子だったんでしょ」 と、聡子が言った。「そうよ」 二人は盆を手に、
(单词翻译:双击或拖选)
 エピローグ
 
「でも、やっぱり、例の『幻の妻』は、あの女の子だったんでしょ」
 と、聡子が言った。
「そうよ」
 二人は盆を手に、学生食堂のテーブルについた。
「じゃ、どうして──」
「ともかく、池畑みどりは自分が負ってるものから逃げたかったのね。可哀そうに。引越して来て、雨宮を見たとたん、父親だと思い込んだのね。鍵は、あの田口って老人に言えば、いつでもあけてもらえる。──雨宮の身の回りのことを、できる限りやってあげようとした、ってことね」
「哀れな話ね」
 と、聡子は、スパゲッティを食べながら言った。
「でも──雨宮が山本有里を殺したっていうのは?」
「自白したそうよ。山本有里も前から雨宮に好感を持ってた。ところが、誰かが雨宮のために世話をし始めたのを見て、却《かえ》って燃え上がっちゃったのね」
「なるほどね」
「あの夜、山本有里はみどりが食事の仕度をしてから出て行った後に、雨宮の部屋へ入ったの。食事の用意ができていて、雨宮はまだ戻ってない。──山本有里は、作ってあったものを全部捨てちゃったのよ」
「ひどい」
「そして、お皿や茶碗を洗って片付けようとした。そこへ、雨宮が帰って来たわけ」
「そうか。雨宮は、山本有里が『幻の妻』かと思ったのね」
「そう。そして山本有里もそう言ったのよ。彼が感激してくれると思ったのね。ところが、雨宮は、幸枝との間をぶちこわされて、頭に来ていた」
「それで……」
「お酒も入ってて、カッとなったんでしょうね。山本有里を刺しちゃった。そして、呆然としてるのを、入って来たみどりが見たのよ」
「じゃ……知ってたの?」
「雨宮は、みどりが実は食事の仕度とかしていたことを、初めて知ったわけ。そして、とっさに、山本有里が、みどりの作ったものを食べてしまったんで、怒って刺したんだ、と言った。みどりは、お父さんが悪いんじゃない、と信じ込んで、ともかくどこかへ隠れて、と言ったのね。雨宮も、一旦姿を隠して、それからどうしようかと考えたってわけ」
「その挙句が、みどりに罪を着せる? ひどい奴!」
「そうね。なまじ、すぐ捕まらなかったから、何とかして逃げようと思ったんでしょ。楠木リカに、必要な物を持って来てもらって、それは良かったけど、彼女を抱こうとして、争いになった」
「あんな所で?」
「それまでもてないと思い込んでたのが、急にもてる男になったわけよ。リカも自分の逃亡を手伝ってくれるぐらいだから、当然自分の思い通りになるだろう、と……」
「甘かった、ってわけか」
「リカは、本当に雨宮が殺人犯と知って逃げようとして、殺された。──そこへ、みどりが、やって来たのよ」
「で、雨宮は逃げて……。でも、亜由美の頭上から鉄材を落としたのは?」
「それは、たまたまでしょ」
 と、亜由美は言った。 「偶然ってこともあるわよ」
「まさか! だって──。そうか……」
 聡子は肯いて、 「みどりが、雨宮を逃がそうとして……」
「偶然の事故よ。分った?」
「うん」
「よろしい。──雨宮は、みどりを犯人に仕立てあげることにして、計画を練った。みどりだけが、雨宮の隠れ場所を知ってたわけね。そこで、雨宮は、 『一家でまた夕ご飯を食べよう』と言って、厚子さんが、みどりを殺人犯と思い込むように仕向けて行ったわけ」
「厚子さんは思い詰めて、娘を殺して自分も死のうと……」
「その通りになるところだったのよ」
 と、亜由美は言った。 「そうすれば、雨宮は二つの殺人を、死んだみどりの罪にしてしまうつもりだったんでしょう」
「許せないわ、そんな奴」
 と、聡子は憤然として言った。 「でも、みどりは?」
「今、病院で治療を受けてるわ。大丈夫。きっと立ち直るわよ」
「そうね」
 聡子は、ちょっと考えて、 「──ね、一緒に雨宮の部屋へ二度目に行ったとき、食事の仕度がしてあったのは?」
「あれはね、私がやったの」
「ええ?」
「というか、殿永さんと相談してね、用意してもらったわけ。みどりがどう反応するか見たかったのよ」
「いつも私に内緒にして!」
「そう怒るな。ともかく、無事に一件落着したんだから」
「そうでもないんじゃない?」
「何が?」
「あの子のことは?」
 と、聡子が指さした方を見ると、牧口幸枝がやって来る。
「幸枝には、可哀そうだったけどね」
 と、亜由美は言った。
「ここにいたの」
 と、幸枝は二人の隣に座った。
「幸枝……。ショックだろうけど、もう飛び下りたりしないでね」
 と、亜由美は言った。
「え?──ああ、雨宮さんのことね。私って、男を見る目がないのかしら」
「そんなことないよ。たまたま、運が悪かっただけで。──ねえ、聡子」
「そうよ。幸枝なら、いくらでも男が寄って来るって」
「そうかなあ……」
 と、幸枝は呟いて、 「ね、亜由美」
「何?」
「雨宮がね、今度の連休に温泉のホテルを予約してたの。キャンセルするの、もったいないし、あなた、誰か男の人を見付けてよ」
 亜由美が目を丸くして、
「私、男と二人で温泉になんて──」
「そうじゃなくて、私に。ね? 亜由美の目を信用するから。連休までに、いい人、見付けといてね。それじゃ」
 幸枝はさっさと行ってしまう。
 呆《あつ》気《け》にとられていた亜由美は、聡子がふき出すのを見て、ムッとしたように言った。
「冗談じゃないわよ! 自分の恋人もいないのに、どうして他人の恋人を捜さなきゃいけないの?」
「頼りにされるタイプなのよ、亜由美は」
 たまにゃ、頼ってみたい!
 亜由美はしみじみとため息をついたのだった……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%