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禁じられた過去24

时间: 2018-08-19    进入日语论坛
核心提示:エピローグ エリは、病室のドアを開けて、「お母さん。具合」 と言ったきり、目をパチクリさせている。 母が、普通のスーツ姿
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 エピローグ
 
 
 エリは、病室のドアを開けて、
 
「お母さん。具合——」
 
 と言ったきり、目をパチクリさせている。
 
 母が、普通のスーツ姿で、紙袋に荷物を詰めているのだ。
 
「あら、エリ。今日は早いのね」
 
「うん……。どうしたの?」
 
「退院するのよ」
 
 エリは、
 
「本当? ——やった!」
 
 と、飛び上った。
 
「下の患者さんがびっくりするわよ」
 
 と、秀子が苦笑する。
 
 山上が入って来た。
 
「何だ、エリ、来たのか。——おい、タクシーが来てる」
 
「荷物、持つわ」
 
 と、エリが両手に紙袋を下げた。
 
「じゃ、行こうか」
 
 と、山上が言うと、
 
「あ、そうそう、エリ」
 
 と、秀子が言った。
 
「うん?」
 
「この間、調べてもらったでしょ。あんたはやっぱり、私とお父さんの子よ」
 
 エリは、ちょっとの間、父と母を眺めていたが、
 
「そんなこと分ってるわよ!」
 
 と言って、「学校の成績を見りゃ、一《いち》目《もく》瞭《りよう》然《ぜん》! さ、帰ろう、お母さん!」
 
 勢いよく病室を出たエリが、どんどん先へ行ってしまったのは、頬《ほお》を伝い落ちる一粒の涙を、両親に見られたくなかったからかもしれない。
 
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