「告別式のときには、ご挨《あい》拶《さつ》もしないで、本当に失礼しました」
と、その女性──山田知子は頭を下げた。
「どなたかしらと思って、みんな不思議がっていたんですよ」
「そうですね。後で私もそう思いまして、申し訳ないことをしたと──」
「別にいいんですよ。ただご近所では──」
私は、庭で遊んでいる女の子をちょっと眺めて、「主人の恋人と子供じゃないかと噂《うわさ》してるみたいだけど」
「まあ、そんなこと……。とんでもないことですわ、決してそんなことじゃないんです」
と、山田知子は顔を紅潮させて言った。
「ご心配なく。私の方は、今、それどころじゃないんですもの。主人を殺した容疑をかけられていて……」
「まさか!」
と、山田知子は目を丸くした。
「本当なのよ。まあ、私はあまり、良妻とは言えなかったのは、確かですけどね……。山田さん、だったわね」
「はい」
「孤児たちの施設で、子供たちの面倒をみていらっしゃるの?」
「そうです」
「偉いわね。大変な仕事でしょう」
「重労働、安月給、長時間勤務で、体をこわすし、婚期は逸すし、こんなに割の合わない仕事、ありませんわ」
そう言って、しかし、いかにも愉《たの》しそうに山田知子は笑った。それは、彼女の若さに相応《ふさわ》しい笑いで、気持のいい笑顔だった。
私は何となくホッとした。こういう、一種の奉仕的な活動をしている人というのが、苦手なのである。もちろん、こっちの一方的な思い込みに過ぎないのだが、どことなく、聖職者的な、固苦しいイメージを、つい抱いてしまうからだ。
だから、山田知子が、その若さを感じさせる笑顔を見せたのが、嬉《うれ》しかったのである。これが、
「子供たちの喜ぶ顔を見ると、苦労なんか、吹っ飛んでしまいます」
とでも言われたら、敬遠してしまっているところだ。
もちろん、山田知子の中にも、その気持があるには違いないが、それを口に出すかどうかは、その人次第だろう。
「コーヒーでも淹《い》れましょうね」
と私は立ち上った。「それとも、どこか外へ出ましょうか。私、お昼がまだなの、お腹が空いちゃって……。一緒にいかが?」
「はあ……。でも──」
「私、おごるわ。主人の退職金で、今はお金持なの」
と私は言った。
「それじゃお言葉に甘えて……。亜里ちゃん、お昼を食べに行くんですって」
と女の子に声をかける。
「亜里ちゃん、か。可愛い名ね。ぴったりだわ」
「谷沢亜里というんですよ。──さあ、お手々を洗わせていただくのよ」
「はあい」
ともかく、よく言うことを聞く。郁子さんのところの子供など、何度大声で言っても、手一つ洗わないが、さすがにしつけは行き届いている。──それがまた、物《もの》哀《がな》しい、と言えなくもないが。
近くのレストランへ行くと、近所の人と会うこともある。ちょっと迷ったが、なに、今さらどう思われても、これ以上悪くはなるまい、と心を決めた。
「──外で食事するのは、いけないことになっているんですけど」
と、山田知子は、夢中でお子様ランチに取り組んでいる谷沢亜里の方を見ながら、言った。
「規則は、破っても分らないところでは、効力がないのよ」
と私は言った。「さあ、あなたも食べて」
「いただきます」
大して旨《うま》くもない定食だが、しばらく私たちは黙々と食べていた。
「今日はわざわざ何のためにいらしたの?」
私が訊くと、山田知子は、
「あ! そうだわ、すみません、忘れるところだったわ」
あわてて、古びたバッグから、封筒を取り出した。「あの……甚だ遅くなって申し訳ないんですけど、これ、お香典なんです」
「まあ、今頃?」
「職員たちで出し合ったんです。ほんのわずかで恥ずかしいんですけど──」
と、山田知子はちょっと声を低くして、「この間の告別式のときは、給料日の直前だったものですから、お持ちできなかったんですの」
と、付け加えた。
それほどまでして、香典を持って来るというのは、何かよほどの理由があるのだろう。
「主人が、あなたとどういう関係だったのか、聞かせてちょうだい」
と私は言った。
「ええ……。ご主人は、お宅で何も話されなかったんでしょうか?」
「何も。私も訊かなかったしね」
「そうですか。じゃあ、本当に怪しげに見られたでしょうね」
「別に主人の恋人とか、そんなことでは──」
「違います。恋人といえば」
と、隣の亜里という子を見て、「この亜里ちゃんの方ですわ」
「もう、大分前から?」
「そろそろ一年半くらいになりましょうか。──この亜里ちゃんが、風邪《かぜ》をこじらせて、軽い肺炎にかかったことがありました」
と、山田知子は言った。「新宿のK病院に二週間ほど、入院していたんですけど、私は他に何十人もの子をかかえているので、一日中ついていてあげるわけにもいきません。それで、毎日、夜に病院へ行くようにしていました」
「ああ、それじゃ、主人が足を折って入院していたときね」
自転車に乗っていて、トラックにぶつけられたのである。やはり二十日間ぐらいはあの病院にいたのではないか。
「ええ、そうなんです。何がきっかけだったのか、今でも私、知らないんですけど……。ともかく、毎晩、亜里ちゃんが、今日も『おじちゃん』と遊んでもらった、って言うわけなんです。一体誰のことを言ってるのか、と思ってました」
「それが主人だったのね」
「はい。何日目かにお会いして……。もう、退院なさる間《ま》際《ぎわ》でした」
そういえば、入院している夫の世話をしに病院へ足を運んだこともあった。寝たきりだった一週間ほどの間は、むしろ世話を焼くのが楽しくて、毎日通ったものだけれど、主人が自分の力で歩けるようになると、何となく、熱心に通わなくなった。
考えてみれば、あの一週間が、私としては、最も妻の喜びを味わった日々だったかもしれない。──夫は、あまりに自分一人で充《み》ち足りていて、しっかりしていて、出来すぎていた。
ぜいたくな言い方かもしれないが、もう少し夫が不器用で、頼りない人だったら、私もそうそう勝手な真似《まね》はしなかったかもしれない。主人は、私がいなくても、一向に困らない人だったのだ。
自分が必要とされていない、といつも感じさせられていたのでは、たまらない。
「ご主人は本当に亜里ちゃんが気に入ったようで、とても楽しそうに遊んでおられました。そして私から、孤児院の話をあれこれと聞きたがられて……。たまたま、学校がここから歩いて十五分ぐらいの所だったんです。先にご主人は退院されたんですけど、毎日、会社の帰りに、亜里ちゃんを見舞って下さったんです」
「あの人、しばらくは毎日、検査があるんだとか言って……。そうだったの」
「あの──お気を悪くなさらないで下さいね」
「大丈夫よ」
と私は微笑《ほほえ》んだ。 「でも、主人がそんなに子供好きだったなんてね……」
「亜里ちゃんなんか、おじちゃんに会えなくなるから、退院したくないなんて言ってたくらいですわ」
と、山田知子は微笑みながら、言った。
私は、きれいにお子様ランチを平らげて、せっせと水を飲んでいる、亜里という女の子を眺めた。
「それから、一カ月くらいして、ご主人が私どもの所へおいでになったんです」
と、山田知子は言った。
「あの人ったら、何も言わないで……。今日、これから、行ってみたいんだけど、構わないかしら?」
「私どもの所へですか?」
「ご迷惑なら──」
「いえ、そんなことはありませんわ! 院長も喜ぶと思います」
「学校に帰るの?」
と亜里という子が言った。
「そうよ」
「アイス食べてからでもいい?」
「いいわよ、もちろん」
と私は言った。「何でも好きなの食べてね」
「うん……」
と言って、亜里は、ちょっと迷っているようだった。
「どうしたの?」
「お友達にもあげないと可哀そう」
私は、ちょっと驚いた。こんなに小さな子が、そんなことまで考えていることに、何だか気恥ずかしいような思いすらさせられた。
「じゃ、おばちゃんが、みんなの分も買って、学校まで持って行ってあげましょうね」
「うん」
亜里は、ホッとしたように笑顔で肯《うなず》いた。──一人で、こんな風に外でご飯を食べたりしていることに、子供ながら、後ろめたさを感じていたのかもしれない。
「さあ、行きましょうか、それじゃ」
と、私は立ち上った。
「奥様に、あんまりご負担をおかけしては──」
と、山田知子が申し訳なさそうに言った。
「主人のお小遣い分よ。心配しないで」
と、私は言った。
「すみません」
山田知子は、ピョコンと頭を下げる。──まだ、可愛いと言ってもいいような、その若い女性に、何だか奇妙な友情のようなものを、私は感じ始めていた……。
帰って来て、居間へ入ると、電話が鳴っていた。もう薄暗く──というより、すっかり暗くなっているので、明りを点《つ》けてから、受話器を上げた。
「はい、河谷です」
しばらく、沈黙があって、「もしもし?」
と、私が言うと、いきなり、電話は切れてしまった。
「何かしら……」
私は肩をすくめて呟《つぶや》いた。妙な電話も色々かかって来る。いちいち気にしてはいられない。
私は、大きく伸びをした。体が痛い。
なにしろ子供たち相手に、たっぷり遊んで来たのである。こっちは子供の相手をしつけていない。
すっかり汗をかいてしまった。──でも、正直に言って、なかなか大変なものだと思った。
子供というものは、ドラマの中で見るほど、単純なものではない。正に「小さな大人」であって、私たちと少しも変らない複雑さを内に秘めている。ただ、それを外へ現わすすべを知らないだけだ。
学校そのものは、もちろん、そこで子供たちが生活しているのだから、「大きな家」といった趣で、それなりに楽しげではあったけれど、それを支えているのは、職員たちの努力でしかない、という感じだった。
山田知子が特に若いのではなく、どの先生たちも若く、体力のある人たちだった。そうでなければ、とてももつまい。
私など、一日でのびてしまいそうな重労働である。
夫が、毎月、最後の日曜日に、その学校を訪れて、文房具とか、ボールとか、縄とびの縄とかをプレゼントしていたことを聞かされて、私はびっくりした。
もちろん、夫は自分の小遣いの中から、そのお金を出していたのだろうから、大した金額ではなかったに違いない。それでも、子供たちにとって、夫はまるで「サンタクロース」のような、優しいおじさんだったらしい。
そのおかげで(?)私も大いに子供たちに人気を博して来た。十歳くらいの女の子は、自分が編んだ毛糸の敷物をプレゼントしてくれた。
まだ、子供たちには夫の死は知らされていないらしかった。大きな子は、察しているようだ、と山田知子は言っていたが、いずれにしても、あんないい人が死ぬはずがない、と子供たちは思っているだろう。
私も、おじさんがお仕事で遠くへ行ったので、代りに来たのよ、と説明して、子供たちを安心させた。しかし──こうなると、成り行き上、月の最後の日曜日には何かプレゼントをしなくてはならない。
「まあいいか……」
むだな出費ができるほど、お金の余裕はないけれど、夫の遺言だと思えば仕方ない。
それに、私が帰るときに一斉に手を振ってくれた、あの子供たちの声を聞いたら、少々のお金をケチるわけにもいかなくなってしまう。もっとも、殺人容疑で捕まったら、そうも言っていられなくなるだろうが……。
しかし、あの志村という若者の話といい、今日の学校のことといい、私の知らないところで、夫の生活はずいぶん忙しかったようだ。──思いもよらないことだった。
無愛想で、退屈な真面目《まじめ》人間が、左翼の闘士になったかと思うと、今度はサンタクロースである。私の中の夫のイメージは、正に混乱の極にあった。
「さて……夕ご飯の仕度か」
面倒だな、と思って動かずにいると、玄関のチャイムが鳴った。──インタホンで声をかけると、
「田《た》代《しろ》と申します」
という返事だ。
田代……。告別式に来ていた、夫の旧友である。
「──どうも突然お邪魔して」
と、お茶を出すと、田代は頭を下げた。「少しは落ち着かれましたか」
「まあ、何とか……」
私は、何となく、この男に好感が持てなかった。理由も何もない。
直観的に、肌が合わないというのだろうか。どことなく、うわべの親切さが、嫌味に感じられるのである。
「早く犯人が見付かるといいですねえ」
と、田代は言った。
「主人と親しくていらしたんでしょう」
「ええ、まあ……」
「犯人に心当りはありませんか」
「さあ……」
と言ったものの、分らないというよりは、言い渋っているという様子である。
「あの……私、主人からあなたのことを話してもらった記憶がないんですの」
と私は言った。「主人とはいつ頃からのお知り合いですか?」
「高校で一緒だったんです」
と田代は答えた。「ただ、僕は地方の大学へ行っていたものですから、つい疎遠になりましてね」
「そうですか……」
何となく妙な気がした。なぜか分らないが、どことなく……。
「そういえば、一度、おうかがいしようと思っていたことがありますの」
「何でしょうか?」
「告別式で、郁子さんが、主人は殺されたんだとお話ししたとき、驚かれていましたね」
「ええ、申し上げたと思いますけど、アメリカに行っていたものですから……」
「そのとき、『まさか、そんなことまで』とおっしゃったのは、どういう意味なんですか?」
田代が目に見えてあわてた。
「そんな──そんなこと、言いましたか? 僕はよく──」
「ええ、確かにおっしゃいましたわ」
「それじゃ……びっくりして、ついそんな、自分でもわけの分らないことを言ったんでしょうね」
いかにも下手な言い逃れである。──何か知っているのだ、と私は思った。
「ご存じのことがあれば、教えて下さい。私がどうやら夫を殺したと疑われてるらしいんです」
「奥さんがですか? しかし、それは──警察も、そんな馬鹿なことは考えないでしょう」
「最後に主人とお会いになったのはいつ頃ですの?」
「ええと……たぶん三、四カ月前になると思いますね」
「何かご用でお会いになったんですか?」
「はあ……」
田代は咳《せき》払《ばら》いをしてから、 「実は、今日うかがったのは、そのことをお話ししようと思って──」
「というと?」
「あの日──ご主人から僕の会社に電話がありまして、ぜひ会いたい、と言うんです。かなり大事な用件らしいということで、僕も何とか仕事の都合をつけて、帰りに待ち合わせた場所へ行きました」
「それ、何月何日のことか、憶えてらっしゃいます?」
「それがどうも──あの後、アメリカ行きの準備にかかってしまったので、てんてこまいしてましてね。詳しい日付までは、ちょっと……」
「分りました。それで主人の話というのは?」
「はあ……」
田代は額の汗を拭《ぬぐ》った。──はっきりしない男だ。
「おっしゃって下さい。私はそんなにデリケートにできてませんから」
「つまり……金に困っている、という話だったんです」
「お金に?──うちがですか?」
「いや、そうではなくて、奥さんに知られたくない金が必要だというんです」
「それはどういう……」
田代は、ちょっと肩をすくめて見せ、
「女性との手切れ金だということでした」
「手切れ金?」
私は耳を疑った。「主人に女がいた、ということですか?」
「そうらしいです。あの真面目な河谷君が、と、びっくりしたんですが、まあ、考えてみれば、昔から遊ぶということを知らない男でしたから、却《かえ》って深みにはまるということも……」
「何という女ですか?」
「そこまでは聞きませんでした。どうも話の様子では、かなり、性質《たち》の悪い女に引っかかったようですね。おまけに子供ができて堕《おろ》すのに金もいるとかで……」
私は、しばし言葉もなかった。
「それで、ご主人は、僕に何とか金を都合できないかと頼んで来られたんですよ」
「あなたに?」
「他に頼む相手もいないということで……。正直なところ、僕も大して金を持ってるわけじゃないし、考えたんですが……」
「──で、結局、あなたから拝借したんでしょうか?」
「ええ。何とか駆け回って工面しまして」
「どれくらいですか」
「三百万です」
三百万! 私は目を丸くした。
田代は、申し訳なさそうに、上目づかいに私を見て、
「こんなときに、本当に申し訳ないとは思うんですが、ご主人は、会社で退職金の前借りをして返すから、とおっしゃってたんです。まさか亡くなるとは思いもしなかったので、僕の方も、みんなに、すぐに返すという約束で金を借りて来たんです。それで……」
遠回しな言い方が、やっと結論に達した。つまり、夫の借金を返してほしい、ということなのだ。
「ええと……これが借用証です」
田代は、封筒をポケットから出すと、中の紙を取り出して広げた。私は、それを手に取った。
確かに、三百万円を借りた旨の文で、署名の字は夫のものだ。印鑑が、うちのものは少し変った字体になっているのだが、間違いなく押してある。
「本当に申し訳ありません……。奥さんが大変なときだということはよく分ってるんですけど、何しろ僕も金を借りた相手のことがあるので……」
と、田代はしきりに済まながっている。
「そんな風に謝っていただくと困りますわ。主人がお借りしたものですから、当然お返ししなくては……。三百万円、ということでよろしいんですか」
「ええ、結構です」
私はちょっと考えた。
「──今、うちにはとてもそんな現金はありません。夫の退職金で、何とかお返しできると思いますけど、二、三日待っていただけません?」
「そりゃもう、当然のことです。急にこんなお話を持って来て、さぞ非人情な奴《やつ》だと思われるでしょうが──」
「そんなこと、考えておりませんわ」
と私は言った。「じゃ、この借用証はお返ししておきます。いつお払いできるか分ったら、お電話しましょうか」
「いえ、会社にいないことが多いので、こちらからお電話をしてみます。──いや、良かった。叩《たた》き出されるかと思っていたんですよ」
「まさか」
と私は言った。「でも、ショックですわ、主人にそんな女がいたなんて」
「お察しします」
「主人はその女のこと、何か言ってませんでした?」
「さあ。あまり話したくない様子でしたからね」
と、田代は首を振った。
「その女の名前とか──」
「一言も言いませんでしたね。ともかく、思い出すのもつらい、というところだったんでしょう」
「そうですか……。その女に、今さら金を返せと言うわけにもいかないですものね」
「そういう女とは、あまり関り合わない方が利口ですよ。もし暴力団でも絡んでいたら、大変なことになりますからね」
「それもそうですね」
と私は肯いた。
「──では、どうもお邪魔をして」
と、田代は立ち上った。
「何か急な連絡でもあると困りますから、お名刺でもいただけません?」
「はあ……。それじゃ──めったにいませんけど」
「よほどの急な用事のときだけ、かけるようにします」
私は、田代を玄関まで送った。
「では、失礼します」
田代が、丁寧に頭を下げて、帰って行くのを見送って、ゆっくりドアを閉める。
私は居間へ戻ると、田代の名刺を、テーブルに置いて、考え込んだ。
三百万の借金か。──払えば、退職金の大半が吹っ飛んでしまう。
でも、私は払うつもりはなかった。あの借用証が偽物だと分っていたからだ。