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忙しい花嫁14

时间: 2018-08-19    进入日语论坛
核心提示:ドイツからの電話 「田村だって?」 と武居は訊《き》き返した。 「まさか」 と亜由美が口走る。 ウエイターが不思議そうな
(单词翻译:双击或拖选)
ドイツからの電話
 
 「田村だって?」
 と武居は訊《き》き返した。
 「まさか——」
 と亜由美が口走る。
 ウエイターが不思議そうな顔で二人を交《こう》互《ご》に眺《なが》めていた。
 「よし、どの電話だ?」
 と、武居は立ち上った。
 「フロントです」
 武居と亜由美は、フロントへ向かってロビーを駆《か》け抜《ぬ》けた。他の客がびっくりして眺めている。
 田村さんから、電話!——亜由美としては、ここがどこかの王宮だって、走らずにはいられない。
 武居が、置かれていた受話器を引ったくるように取った。
 「もしもし! 武居です、もしもし!」
 亜由美も武居のそばに立つと、耳を受話器に寄《よ》せた。
 「もしもし、田村君か? 武居だ!」
 やや沈《ちん》黙《もく》があって、やがて細い感じの声が聞こえて来た。
 「もしもし……武居君か?」
 「田村君か?」
 「うん。——本当に武居君なのか」
 亜由美はじっと耳を傾《かたむ》けた。確《たし》かに田村の声らしく思えるが、しかし、弱々しいので、はっきりしない。
 「僕《ぼく》だ。田村君、大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》なのか? 今、元気なのか?」
 「うん。——正《せい》確《かく》に言うとあまり元気じゃない。でも生きてるからね」
 田村さんだわ、と亜由美は思った。田村らしい言い回しである。
 「心配してたんだぞ! 今、どこにいる?」
 「ドイツだよ。ハンブルクだ」
 「そうか。ともかく、ホテルへ戻《もど》れ。戻れるか?」
 「ああ、すぐ近くにいる」
 「よし。今すぐホテルへ連《れん》絡《らく》しておく。いいか、危《あぶ》ないようなことがあれば、警《けい》察《さつ》か大《たい》使《し》館《かん》へ行け」
 「分ってる。大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》だ」
 「どこからかけている?」
 「カフェだ。電話を借りてる」
 「今、ここに塚川亜由美君がいる。代ろうか?」
 「塚川君が?」
 亜由美は我《が》慢《まん》できなくなって、武居の手から受話器を引ったくるように取った。
 「田村さん! 塚川です!」
 「やあ……。心配かけたね」
 「元気ですか? あの——奥《おく》さんが心配なさってます。何かお伝えすることは——」
 亜由美が言いかけたのを、田村は急に遮《さえぎ》った。
 「彼女には黙《だま》っていてくれ!」
 「え?」
 「彼女には何も言わないでくれ。頼《たの》むよ」
 「でも田村さん——」
 「もう切るよ。また連絡する」
 「待って! 田村さん!」
 亜由美が呼《よ》びかけたときは、もう電話は切れていた。
 振《ふ》り向くと、もう武居が増口へ知らせているらしい。他の電話で熱心にしゃべっていた。
 淑子さんへは知らせるなというのは、どういうことなのだろう? 本来なら、妻へ真先に連《れん》絡《らく》してくれと頼《たの》むべきだろうに。
 「あ、そうだわ」
 田村の両親へ教えてあげなくては。亜由美は急いでダイヤルを回してから、
 「この電話——使っていいですか?」
 と、そばの女《じよ》性《せい》に訊《き》いた。
 
 家へ帰ってみると、珍《めずら》しく母親の清美が家にいる。大体毎日出かけている、忙《いそが》しい人なのである。
 「田村さんが見付かったんだって? 良かったね」
 と、TVを見ながら、清美が言った。
 「——どうして知ってるの?」
 亜由美がびっくりして訊き返すと、
 「さっきTVの〈ニュース速報〉に出てたよ」
 日本のマスコミの素《す》早《ばや》いこと!
 しかし、こうして報《ほう》道《どう》までされているのでは、淑子に知らせるなと言っても、無《む》理《り》なことだ。
 「ドン・ファンは?」
 と、亜由美が訊《き》いた。
 「お前の部屋よ」
 亜由美は二階へ上って行った。
 それにしても、なぜ田村はああも淑子のことにこだわるのか。やはり、あの淑子は別人なのだろうか?
 部屋のドアを開けて、
 「ドン・ファン、ただいま」
 と見回して——吹《ふ》き出してしまった。
 ドン・ファンが、亜由美のベッドで寝《ね》ている。——それも、ちゃんとタオルケットを首までかけ、枕《まくら》に頭をのせて、人間風に寝ているのだから、笑《わら》い出さずにはいられない。
 「変な犬ね、お前は」
 ヒョイと頭をもたげて亜由美を見たドン・ファンは、嬉《うれ》しそうにキャンキャンと吠《ほ》えると、ベッドからドスンと降《お》りて来て、亜由美の足にからまりついた。
 「いやだ! こら——ひっくり返っちゃうでしょ!」
 亜由美は笑いながら、ベッドに座《すわ》って、ドン・ファンの頭を撫《な》でてやった。
 田村が生きて戻《もど》ったのは何よりだが、淑子の謎《なぞ》、田村が亜由美へ囁《ささや》いていった謎《なぞ》の一言は、一向に解けない。もちろん田村が日本へ帰って来れば、分ることだろうが……。
 しかし、武居が狙《ねら》われ、桜井みどりが殺された事《じ》件《けん》が、すべて田村の失《しつ》踪《そう》に関連していたとすると、これはドイツで起った事件というだけでなく、もともとは日本で、端《たん》を発していると考えなくてはならないだろう。
 淑子が偽《にせ》物《もの》だとすると、それは一体、何のために仕組まれた陰《いん》謀《ぼう》なのか?
 亜由美はベッドに横になって、ぼんやりと天《てん》井《じよう》を眺《なが》めていた。
 そうだ。——淑子はもう、別《べつ》荘《そう》へ戻《もど》ったのだろうか?
 亜由美は、別荘の番号をメモした手帳を開き、電話をかけた。
 「——もしもし、増口です」
 と若い女《じよ》性《せい》の声。あのお手伝いの邦代らしい。
 「邦代さん? 塚川亜由美よ。淑子さんはお戻りになった?」
 「いいえ。何か、さっき電話があって、ここは当分使わないから、よろしくって」  「だと思います。何かパッパッとしゃべって、切っちゃったんで、よく分りませんけど……」
 「今、淑子さんはどこにいるのかしら?」
 「分りません。何ともおっしゃいませんでしたけど」
 「そう……。もし淑子さんから何か連《れん》絡《らく》があったら、淑子さんがどこにいるか分ったら、教えてくれない?」
 「そちらへですか?」
 「そう。お礼は充《じゆう》分《ぶん》にするわ」
 増口から預かった百万円がある。ケチケチしないで出すべきだろう。
 「そんなお礼なんて……」
 と、邦代はためらって、「——いくらいただけます?」
 亜由美は笑いをかみ殺した。チャッカリしてるんだから!
 「そうね。それは情《じよう》報《ほう》次《し》第《だい》だわ」
 「分りました」
 と邦代は言って、「あの——夜でもいいですか、電話するの?」
 と訊《き》いた。
 「ええ、いいわよ。何かありそう?」
 「たぶん。じゃ、またお電話します」
 邦代は、なぜかあわてたように電話を切った。そばに誰《だれ》かがいるようだった。
 どうやら邦代は何か情報をつかんでいるらしい。それを売り込むには、ちょっと確《たし》かめたいことがある、といったところだろう。
 電話を下へ切り換《か》えておこうと手をのばすと、「ちょっと待った」と言うように、電話が鳴り出した。
 「——はい塚川です」
 「あ、亜由美さんお願いします」
 「何だ聡子?」
 桜井みどりの死体を発見したときに一《いつ》緒《しよ》にいた神田聡子である。
 「亜由美なの?」
 「そうよ。誰《だれ》だと思ったの?」
 「お母さんかと思った。そっくりね、あなたの声」
 「あ、そう」
 亜由美は冷ややかに言った。そりゃ、母が類《たぐい》まれな美声の持主というのなら、似《に》てると言われて喜ぶだろうが、しかし……。
 「何か用なの?」
 と亜由美は言った。
 「うん、あのさ、桜井さんが殺されたときのことでね、ちょっと思い出したことがあるんだ」
 「え? 犯《はん》人《にん》の手がかりでも?」
 「そこまでいかないんだけどさ」
 「じゃ何よ? もったいぶんないで、早く言え、こら!」
 亜由美のそばで、ドン・ファンがワンワンと珍《めずら》しく、犬らしい(?)声を上げた。
 「あら、亜由美の所に犬なんていたっけ?」
 「私の助手なの」
 「へえ!——ね、それじゃ、さ、電話で話してもよく分んないと思うから、学校へ来てくれない?」
 「大学へ?」
 「そう。あの現《げん》場《ば》に。——ね?」
 「いいけど……。聡子、今、どこにいるのよ?」
 「大学の近くのラーメン屋。今日もクラブの会合があってさ、その帰りなの」
 「分ったわ。じゃ四、五十分で行く」
 「部屋で待ってる」
 と言って、聡子は電話を切った。
 聡子が、何か気付いたことがあるという。——一体何だろう?
 亜由美は、首をひねった。しかし、ともかく出かけなくては。
 「ちょっと出て来るわよ」
 とドン・ファンに声をかけると、クンクンと鼻を鳴らし、尻尾《しつぽ》を振《ふ》って、スカートの中に頭を突《つ》っ込《こ》んで来る。
 「やだあ、こら! この——痴《ち》漢《かん》! 痴《ち》犬《けん》!」
 〈痴犬〉なんて言葉あったっけ、と思ったが、「分った! 分ったわよ、お前も連れて行くから……」
 この「押しかけ助手」、ちっとは役に立つのかしら、と亜由美は考えていた。
 
 亜由美が大学の門をくぐったのは、もう大分暗くなってからだった。
 すぐ行くつもりが、多少、腹《はら》ごしらえの必要があると気付いて、母親に手っ取り早くできるものを作ってくれと注文したのだが、
 「ああ、いいよ」
 と清美が作り出したのが、ビーフシチューだった。
 家で食べるのを諦《あきら》め、途《と》中《ちゆう》の立ち食いハンバーガーに駆《か》け込んで、二、三十分、時間を食ってしまったのである。
 「やれやれ——」
 クラブ用の棟《とう》までやって来ると、亜由美は一息ついて立ち止った。「聡子、怒《おこ》ってるかな。三十分待たせちゃったものね」
 クゥーン、とドン・ファンが鳴く。何しろこの助手を連れているので、余《よ》計《けい》厄《やつ》介《かい》なのである。
 階《かい》段《だん》を上って行く。——今日は静かで、どこの部も会合を開いていない様子であった。三階へ上り、桜井みどりの殺された現《げん》場《ば》である歴史部の部室のドアを開けた。
 中は真っ暗だ。
 「ここじゃないのかな……」
 亜由美は明りを点《つ》けてみた。——事《じ》件《けん》の後は、ここを気味悪がって使っていないので、発見したときのままである。
 みどりの死体のあった位置に、白《はく》墨《ぼく》で人の形が描いてあり、血《けつ》痕《こん》も黒々と残っている。
 「何だかいやね……。聡子、どこなのかな」
 と呟《つぶや》きながら、廊《ろう》下《か》へ出た。
 社会科学部の方にいるのかしら?——亜由美は廊下を歩いて行った。
 「聡子。——聡子、いる?」
 と、ドアを叩《たた》く。
 返事はなかった。ノブを回すと、ドアは開いた。中はやはり暗い。
 「聡子……」
 と呼んでみる。
 手で明りのスイッチを探《さぐ》ったが、この部屋は慣《な》れていないので、なかなか見付からない。すると、ドン・ファンが足下をすり抜《ぬ》けて、部屋の中へ入って行った。
 「ドン・ファン、どうしたの?」
 中でゴトゴトと何やら動く音。そして——
 「キャーッ!」
 と突《とつ》然《ぜん》、悲鳴が響《ひび》き渡《わた》った。
 同時に亜由美の手がスイッチを押《お》していた。——明るくなると、聡子の姿《すがた》が目に入った。床に引っくり返って、這《は》いずり回っている。
 「——聡子!」
 「亜由美! 誰《だれ》かが私のスカートの中へ入って来たのよ!」
 と青くなっている。
 亜由美はプッと吹《ふ》き出していた。
 「何がおかしいのよ!」
 「そこの——ほら、そのワンちゃんよ」
 椅《い》子《す》の陰《かげ》から、ドン・ファンがヒョイと顔を出した。
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