日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

忙しい花嫁15

时间: 2018-08-19    进入日语论坛
核心提示:聡子の推《すい》理《り》 「全くもう、人を馬《ば》鹿《か》にしてるわ!」 聡子はプンプンである。 「そう怒《おこ》らない
(单词翻译:双击或拖选)
聡子の推《すい》理《り》
 
 「全くもう、人を馬《ば》鹿《か》にしてるわ!」
 聡子はプンプンである。
 「そう怒《おこ》らないの。犬なんだから」
 「それにしたって……。ドン・ファンとはよくつけたもんね」
 当のドン・ファンは涼《すず》しい顔で、寝《ね》そべっていた。
 「聡子、あなたは何してたの、こんな暗い所で?」
 「亜由美が来るのが遅《おそ》いんだもの、昼《ひる》寝《ね》してたのよ」
 「こんな夕方に?」
 「疲《つか》れたから横になってたの、その椅《い》子《す》並《なら》べて。そしたら、いつの間にか眠《ねむ》っちゃってたわけ」
 「呑《のん》気《き》ねえ。——ま、遅《おく》れたのは悪い。で、何の話なの?」
 「あ、そうだった。忘《わす》れてたわ」
 大体が太目、大《おお》柄《がら》な聡子である。見かけ通りに大らかで呑気なのだ。
 「桜井さんが殺されたときのことで、何か気が付いたって言ったじゃない」
 「それくらい憶《おぼ》えてるわよ!——あのね、この前色々話したでしょ、ここから廊《ろう》下《か》を見てれば誰《だれ》もあの部屋へ入れなかったはずだって」
 「うん」
 「それに絶《ぜつ》対《たい》間《ま》違《ちが》いないと思うの。だから、桜井さんは、私たちが行く直前に殺されたんじゃないかと思うのね」
 「直前って言っても、私たち、階《かい》段《だん》で会って、そのまま上って行ったのよ」
 「だからさ、犯《はん》人《にん》が私たちの中にいるとしたら? それしか考えられないじゃない!」
 「……私たち?」
 亜由美はポカンとして、「つまり——私と聡子のこと?」
 「いやあね、どうして私が桜井さん殺さなきゃなんないの?」
 「じゃ、誰《だれ》のこと、『私たち』って?」
 「この部屋にいた連中よ。社会科学部のメンバー」
 亜由美は目をパチクリさせた。
 「聡子! 大《だい》胆《たん》なこと言うわねえ」
 「論《ろん》理《り》的《てき》帰《き》結《けつ》よ」
 と、言い慣《な》れない言葉に舌《した》をもつれさせながら、
 「つまり、ここにいた連中には、桜井さんが誰《だれ》かを待ってることが分ってたはずでしょ。それを見て、桜井さんがあなたと会ったらまずいと思ったかもしれない」
 「でも、どうやって殺すの?」
 と、亜由美が言った。「誰も席を立たなかったって、あなた言ったじゃないの」
 「そうよ。だけど、帰《ヽ》り《ヽ》際《ヽ》にならできるんじゃない?」
 「帰り際《ぎわ》——」
 「ね、みんなゾロゾロとここを出る。階《かい》段《だん》を降《お》りて行くでしょ。そのとき、わざと少し遅《おく》れて部屋を出て、歴史部の部屋まで走り、桜井さんを刺《さ》して、また階段へと駆《か》け戻《もど》る。みんなノロノロ降りてるもの。追いつけると思うわ」
 亜由美はしばらく考え込《こ》んだ。——確《たし》かに、かなり離《はな》れ技《わざ》ではあるが、不《ふ》可《か》能《のう》ではなさそうだ。
 「どうかしら?」
 と、聡子は目を輝《かがや》かせている。
 殺《さつ》人《じん》事《じ》件《けん》が楽《たの》しくて仕方ない、などと言っては叱《しか》られそうだが、何しろ好《こう》奇《き》心《しん》の強い年代なのである。
 「一つ、やってみようか?」
 と、聡子が言った。
 「そうね」
 亜由美は肯《うなず》いた。「じゃ、私の方が身軽だから、犯《はん》人《にん》の役をやってみる」
 「何よ、私がよっぽど重たいみたいじゃないの」
 と、聡子はちょっとむくれて、「ま、軽《ヽ》い《ヽ》とは言いませんけどね」
 「文《もん》句《く》言わないで。ね?——じゃ、あなたが先に出る。私はその後。あなたが階《かい》段《だん》を降《お》り始めたら、走るわ」
 「OK。おしゃべりしながらだから、かなりゆっくりよ」
 「じゃ、いい?——出て」
 聡子がヨッコラショという感じで廊《ろう》下《か》へ出て、階段を降り始める。亜由美は一気に歴史部の部屋へと走った。ドアを開け、衝《つい》立《たて》を回って、桜井みどりの立っていた窓《まど》際《ぎわ》に行き、すぐに引き返した。廊下へ出て、階段へと走る。
 聡子はもう二階に着いていた。
 「——だめだ。こんなに早くできないわよ」
 息を弾《はず》ませながら、亜由美は言った。
 「そうかなあ。亜由美、動作が鈍《にぶ》いんじゃない?」
 「失礼ね! だって、考えてみなさいよ、桜井さんを刺《さ》して、そのまますぐ戻《もど》ってこれる?」
 「待って!」
 と聡子は言った。「ね、亜由美と会ったの、この辺だっけ?」
 「ええと——私は二階から三階へ上りかけてたわ」
 「そうよ! そしてここでちょっと立ち話して、あなたが上りかけた」
 「それを聡子が呼《よ》び止めて追いかけて来たわ」
 「それなら時間はあったかもしれないわよ。私たち、しゃべりながら三階へ上ったでしょ。入れかわりに降りて来る人がいても、気が付かなかったんじゃない?」
 「気が付いたわよ、きっと」
 「でも、社会科学部の人なら、降りて来て当り前だもの」
 「じゃ……聡子憶《おぼ》えてる?」
 「分んないわ」
 と聡子は首を振《ふ》った。「でも一人だけ、誰《だれ》かが遅《おく》れて来たのよ。きっとそうだわ」
 亜由美は考え込《こ》んだ。確《たし》かに、聡子の言う通りかもしれない。それ以外に可《か》能《のう》性《せい》はないだろうか?
 「——でも、聡子が言う通りだとすると、犯人が社会科学部の人間だってことよ」  「それらしき人、いるの?」
 「さあ、分んないけど、別に犯《はん》人《にん》になっていけないってこともないでしょ」
 「聡子も凄《すご》いこと言うわね、割《わり》と」
 亜由美は苦笑した。「もし本当だったら、大変じゃないの」
 「でも他に考えられないじゃないの」
 「ウーン」
 亜由美は考え込んだ。「——で、これからどうするの?」
 聡子は肩《かた》をすくめた。
 「そこまで考えてないわ」
 「じゃ、こうしましょう。まだ、今、この考えを警《けい》察《さつ》へ話すのは早すぎるって気がするの」
 「そうね」
 「あのとき、一《いつ》緒《しよ》にいた人たち——社会科学部のメンバーの名前、書いてみてくれる?」
 「いいわよ。それをどうするの?」
 「さあ、どうしようかしら。ともかく、私に任《まか》せて。何か考えるから」
 「了《りよう》解《かい》」
 聡子は社会科学部の部屋に戻《もど》ると、メモ用紙に、名前と学年を書きつけた。
 「——これで誰《だれ》も落ちてないと思うわ」
 「じゃ、もらっとくわ。聡子、帰らないの?」
 「私、ちょっとやらなきゃいけないことがあるの。明日までに会合の資《し》料《りよう》作んないと」
 「じゃ、先に帰るわよ」
 「どうぞ」
 「——ほら、ドン・ファン、行くわよ」
 と、亜由美が呼《よ》びかけると、床《ゆか》に寝《ね》そべっていたドン・ファンが、大きな欠伸《あくび》をしながら、立ち上った。
 「ねえ、これが助手で大丈夫なの?」
 と、聡子が笑《わら》いながら言った。
 亜由美がドン・ファンを連れて行くと、聡子もつられたのか、大欠伸をした。
 「やあだ……」
 と、呟《つぶや》いて、「さて、やっちまわないと……」
 と、雑《ざつ》然《ぜん》としている机《つくえ》に向った。
 「この資料の……こことここ……。これはコピーを付ける、と。この次には……これが来るのか?」
 階《かい》段《だん》を、亜由美の足音が遠ざかって行く。ドアが、少し開いたままになっていた。
 聡子はあまり器用な方ではない。せっせと切《き》り貼《ば》りしているのだが、巧《うま》く切れなかったり、貼ったのが歪《ゆが》んだり、なかなか巧くできないのである。
 「苛《いら》々《いら》しちゃうな、もう!」
 と、グチった。
 ドアがキーッと鳴った。ちょうど、微《び》妙《みよう》な貼《は》りつけ作業中だった聡子は、振《ふ》り向かずに、
 「亜由美なの?」
 と訊《き》いた。
 返事はなかった。ドアが閉《し》まった。聡子が振り向くと同時に、明りが消えて、部屋の中は、真っ暗になった。
 「誰《だれ》?……誰なのよ?」
 聡子は声をかけた。「いたずらするの、やめてよ。——ねえ、誰なの?」
 ゴトン、と音がした。椅《い》子《す》が動いた音だ。そして、引きずるような足音が近付いて来る。
 聡子は、全身から血が失われていくような気がした。——誰《だれ》かが襲《おそ》おうとしている。
 落ち着いて、落ち着いて。
 一対一なんだからね。聡子は、机《つくえ》の上を手で探《さぐ》った。ハサミが触《ふ》れる。聡子はそれを握《にぎ》りしめた。
 コトン、とまた何かにぶつかった音。相手は、少しずつ近付いて来ている。
 逃《に》げなきゃ、と思った。このままここにいては、やられてしまう。
 こっちも見えないが、向うだって見えないはずだ。——そうだ、部屋の中の様子なら、こっちの方が詳《くわ》しい。
 聡子は、そっと横へ動いた。テーブルにぶつかるはずだ。——よし、これだ。
 これを引っくり返せば、かなり凄《すご》い音がする。向うも混《こん》乱《らん》するはずだ。
 ドアは真正面のはずである。左手の壁《かべ》に沿《そ》って行けば、着ける。
 聡子はテーブルの端《はし》に手をかけた。
 
 亜由美は、すっかり暗くなった大学の構《こう》内《ない》を歩いていた。
 「早くおいで、ドン・ファン」
 と振《ふ》り向く。
 何しろ、ドン・ファンがいつにも増《ま》して、のんびりペースでやって来るのである。
 「何やってるの?」
 ドン・ファンは、じっと立ち止って、今出て来た棟《むね》の方を振《ふ》り向いている。
 「——どうしたの?」
 と、亜由美が戻《もど》って行くと、やおらドン・ファンが今来た方へと走り出した。亜由美はびっくりして、
 「こら! ドン・ファン!」
 と駆《か》け出した。「どこに行くのよ!——待ちなさい!」
 あの犬、聡子のスカートの中が忘《わす》れられないのかしら、と思った。
 「待って!——ドン・ファン!」
 いかに短足のドン・ファンでも、本気になって駆けると、かなり早い。亜由美はフウフウ息を切らして、足を緩《ゆる》めると、
 「勝手にしなさい!」
 と怒《ど》鳴《な》る。
 ドン・ファンが、クラブの棟《とう》の前に着くと、振《ふ》り向いて、ワンワンと吠《ほ》え立てた。
 「何なのよ?」
 と、歩いて来て、亜由美は言った。「何か忘れもの?」
 そのとき、ドシン、と何かが倒《たお》れる音がして、
 「キャーッ!」
 と悲鳴が響《ひび》き渡《わた》った。
 「聡子だわ! おいで!」
 亜由美も夢《む》中《ちゆう》で階《かい》段《だん》を駆け上った。もちろんドン・ファンも続いたが、とても亜由美と一《いつ》緒《しよ》には上れない。
 「聡子!——聡子!」
 亜由美が社会科学部のドアを開けると、廊《ろう》下《か》の光が射《さ》し込《こ》んで、聡子が、ひっくり返った机《つくえ》や椅《い》子《す》の間に倒れているのが目に入った。
 「聡子——」
 と足を踏《ふ》み入れたとたん、亜由美は後頭部を一《いち》撃《げき》されて、そのまま闇《やみ》の中へ放り出されてしまった。
  ——何やら、冷たいタオルで顔をこすられているような感じがして、亜由美は目を開いた。目の前にドン・ファンの顔がある。
 「——あんたがなめてたの?」
 と言いながら、体を起こそうとすると、頭がズキッと痛《いた》んで、あ、と顔をしかめる。
 どうなったんだろう? ここは?
 周囲は暗かった。そして廊《ろう》下《か》の光が洩《も》れて来る。
 そうだ。ここは社会科学部の部室で……聡子が……。
 「聡子!」
 亜由美は、痛む頭をかかえつつ、立ち上ると、ドアの方へよろけながら歩いて行き、明りをつけた。
 聡子が、床《ゆか》に倒《たお》れている。駆《か》け寄《よ》ると、額から血が一《ひと》筋《すじ》、顎《あご》へ流れ落ちていた。
 「聡子! しっかりして!」
 亜由美が抱《だ》き起こすと、聡子はウーン、と呻《うめ》いた。
 「生きてるんだわ! 良かった!」
 亜由美もかなりあわてていた。
 「ドン・ファン、早く救《きゆう》急《きゆう》車《しや》を呼《よ》んで!」
 と叫《さけ》んでいたのである。
 「——そうなの。私もちょっとけがしてね」
 と、電話で亜由美が言うと、母親の方は、
 「あら、入院?」
 と訊《き》き返して来た。
 「ううん、そんな大けがじゃない。簡《かん》単《たん》に手当すればいいみたい」
 「じゃ、今夜、帰るのね?」
 「分んないわ。聡子の具合次第。もうしばらくは病院にいる」
 「分ったわ。今夜、出かけようと思ってたから。そういうことなら、しばらく帰らないわね。じゃ、お友達に家へ来ていただきましょ」
 呑《のん》気《き》なことを言っている母親にムッとして、
 「娘《むすめ》がけがしたんだから、少し心配しなさいよ」
 と文句を言った。
 「だって、けがは顔じゃないんだろ? それなら、お見合いには差《さ》し支《つか》えないから」
 ——母の発想にはついて行けない。
 亜由美が電話を切って、聡子の病室の方へ戻《もど》って行くと、見たことのある男が、医者としゃべっていた。
 「殿永さん!」
 「やあ、災《さい》難《なん》でしたね」
 殿永部《ぶ》長《ちよう》刑《けい》事《じ》は、いつもと変らぬ微《び》笑《しよう》を浮《う》かべている。
 「よく分りましたね!」
 「あの大学でまた事《じ》件《けん》、というのが耳に入ったんです。けがしたとか?」
 「殴《なぐ》られたんです、頭を」
 「災難でしたねえ」
 「私より聡子の方が心配です」
 「ああ、今、医者と話しました。命に別《べつ》状《じよう》はないそうですよ」
 「よかったわ!」
 亜由美は胸《むね》を撫《な》でおろした。
 「強く頭を打ってるそうですが、レントゲンの結《けつ》果《か》、ひびも入っていないということです。他にも特《とく》に後《こう》遺《い》症《しよう》は出ないだろうという話でしたよ」
 「聡子、石頭だから。良かったわ、でも」
 「一体何があったんです?」
 と、殿永が訊《き》いた。
 亜由美は、ちょっと迷《まよ》ったが、しかし、誰《だれ》かが聡子を襲《おそ》ったことは間《ま》違《ちが》いないのだ。特に、亜由美が社会科学部の部室を出てすぐにそれが起っている。
 つまり聡子を襲った人間は、亜由美と聡子の話を聞いていたのだろう。そして聡子が一人になったとき、襲いかかった……。
 それは、聡子の言った推《すい》理《り》が正しいということではないだろうか。——断《だん》言《げん》できないまでも、少なくともその可《か》能《のう》性《せい》はある。
 「実は、私たち、桜井さんが殺された事件について、ちょっと考えがあって——」  殿永は興《きよう》味《み》を示《しめ》した。
 亜由美は、聡子の説明を、そのまま殿永を相手にくり返した。
 「——もちろん、いずれにしても、かなりギリギリの離《はな》れ技《わざ》なんですけど、でもやってみるとできないこともないみたいなんです」
 「しかし、危《あぶ》ないですねえ」
 と殿永は苦《く》笑《しよう》しながら言った。「あなた方も、まあ軽いけがだから良かったようなものの、これが命でも落としたら、私が責《せき》任《にん》を感じますからね。何かやろうと思ったら、ぜひ私に知らせて下さい」
 「はあ……」
 そう言われると、亜由美としても、一言もない。しかも、実《じつ》際《さい》には、もっと危《あぶ》ないことをやっているのだから。
 「その、社会科学部のメンバーのメモはお持ちですか?」
 「ええ。——これです」
 殿永はメモを受け取ると、
 「預《あず》かっておきましょう」
 とポケットへ入れて、「ああ、田村さんという方が、見付かったそうですね」
 「ええ、そうらしいです。良かったわ、本当に」
 「三、四日の内には帰国するでしょう。となれば、今度の事《じ》件《けん》の真相も、明らかになるかもしれません」
 「そうですね。そうなってくれるとありがたいんだけど……」
 と、亜由美は、独《ひと》り言のように呟《つぶや》いた。
 「お宅《たく》までパトカーで送らせましょうか?」
 と殿永が言った。
 「あ——いえ、私、もう少し聡子のそばについています」
 「意《い》識《しき》が戻《もど》ったら、事《じ》情《じよう》を訊《き》きに来ます」
 「はい。あ、そうだわ。あの——」
 「何ですか?」
 「犬を一《いつ》匹《ぴき》、家へ連れてっていただけません?」
 殿永が目を丸《まる》くした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%