日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

忙しい花嫁24

时间: 2018-08-19    进入日语论坛
核心提示:最後のジャンプ 「田村さんが死んだ?」 有賀が目を丸《まる》くした。 「ええ」 亜由美は、肯《うなず》いた。「刺《さ》さ
(单词翻译:双击或拖选)
 最後のジャンプ
 
 「田村さんが死んだ?」
 有賀が目を丸《まる》くした。
 「ええ……」
 亜由美は、肯《うなず》いた。「刺《さ》されたの。淑子さんに」
 田村の死は、まだ公表されていなかった。
 ——次の日の、午後。
 二人は、桜井みどりが殺された、歴史部の部室にいた。ドン・ファンが、床《ゆか》でのんびりと寝《ね》そべっている。
 亜由美が事《じ》情《じよう》を説明すると、
 「あの田村さんが——」
 有賀は呆《ぼう》然《ぜん》とした様子で、首を振《ふ》った。
 「でも、事《じ》件《けん》は終ってないのよ」
 「まだ?」
 「そうよ。だって、桜井さんが殺されたのは、田村さんが犯《はん》人《にん》じゃないのははっきりしてるわ。その間、田村さんはドイツにいたんですもの」
 「こっそり帰ってたとか——」
 「そんなこと簡《かん》単《たん》に調べられちゃうわ。だって、田村さんがかなり衰《すい》弱《じやく》して帰って来たのは事実よ。淑子さんに殺されかけたと見せるために、わざわざ血をつけた上《うわ》衣《ぎ》を捨てておいて、飲まず食わずで日を過《す》ごしたのよ」
 「じゃ、その間、こっちで動いていた奴《やつ》がいるのか」
 「そう。そもそもの計画を立てた人間がね」
 と亜由美は肯《うなず》いた。
 「誰《だれ》なんだ、一体?」
 「考えてみれば、分るはずよ」
 亜由美は、ドン・ファンの頭を撫《な》でた。「桜井さんが、あのとき、ここで待っていることを知って、犯人は私を偽《にせ》電《でん》話《わ》でおびき出したのよ。その間、ほんのわずかの時間しかなかった」
 「そうだね」
 「じゃ、なぜ犯《はん》人《にん》は、桜井さんがここで私を待っていることを知っていたのか?——私は誰《だれ》にも言わなかったし、桜井さんだって、そんなことを人にしゃべるとは思えないわ。そうなると、犯人は、私と桜井さんの話を、あ《ヽ》の《ヽ》場《ヽ》で《ヽ》、聞いていたことになるわ」
 「それじゃ、つまり、犯人は——」
 「あ《ヽ》な《ヽ》た《ヽ》よ《ヽ》、有《ヽ》賀《ヽ》君《ヽ》」
 と、亜由美は言った。
 
 有賀は声を上げて笑《わら》った。
 「おい、びっくりさせるなよ!」
 「本気よ、私」
 「考えてもみろよ! 君が、お母さんが事《じ》故《こ》に遭《あ》ったという電話を聞いたときは、僕は一《いつ》緒《しよ》に講《こう》義《ぎ》に出てたんだぜ」
 「そう。でも私は眠《ヽ》っ《ヽ》て《ヽ》た《ヽ》わ《ヽ》。そして、電話には、直《ちよく》接《せつ》出たわけじゃないのよ。事《じ》務《む》の人から伝言を聞いただけだったわ」
 「しかし——」
 「待って。あなたは、コーヒーを持って、戻《もど》って来た。私と桜井さんは、それまで武居さんの話をしていた。そして、桜井さんは、『あの男には近付かない方がいいわよ』と言ったわ。——私は当然、桜井さんが武居さんのことを言ったんだと思ったわ。でも、実《じつ》際《さい》は、あなたのことを言ってたのよ。ちょうどあなたが戻って来るところだったから、それ以上、彼女は言わなかった。そしてここで私を待っているから、と言ったのよ。あなたは、それを耳にしてしまった……」
 有賀は平然として、話を聞いていた。
 「桜井さんは、ゴシップにかけては、誰よりも詳《くわ》しかったわ。そして、田村さんと、淑子さんの結《けつ》婚《こん》についても、あれこれ訊《き》いて回ったんだわ。その内に、どうも、あの結《けつ》婚《こん》はおかしいと思い始めた。そして陰《かげ》にあなたがいたことも、耳にしていたのね。桜井さんが色々調べ回っていることを、あなたも知っていた。だから、桜井さんが私と会う約束をしているのを聞いて、何とかしなきゃいけない、と思った。——講《こう》義《ぎ》中、私が眠《ねむ》っているのを見て、あなたは教室を出て行き、赤電話で事《じ》務《む》所《しよ》へかけて、急いで戻《もど》って来たのよ。私が目を覚ましたときは、あなたは、ちゃんとそばに座《すわ》っていたというわけね」
 有賀は顎《あご》を撫《な》でながら、
 「しかし、僕《ぼく》は、桜井君を殺せなかったぜ。そうだろう。君と神田君に見られずに殺すことはできない」
 「そこなのよ」
 亜由美は立ち上って窓《まど》を開けた。「——桜井さんは、窓《ヽ》に《ヽ》向《ヽ》か《ヽ》っ《ヽ》て《ヽ》立っていたわ」
 「だから?」
 「そこをよく考えるべきだったのよ。犯《はん》人《にん》は窓《ヽ》か《ヽ》ら《ヽ》来たんだっていうことをね」
 「空中を飛んで?」
 と、有賀は笑《わら》った。
 「屋上からロープを伝ってよ」
 と亜由美は言った。「あなたは、桜井さんを殺す決心をして、ここへ上って来ようとした。ところが、社会科学部のドアが開いていて、目につかずにはここへやって来られない。あなたは一か八かで、山登りの経《けい》験《けん》を生かしてみることにしたのよ。屋上からロープをこの窓のわきに垂《た》らし、ナイフを口にくわえて降《お》りて来る。そして、窓を叩《たた》く。——桜井さんは、何かと思ってやって来て、窓を開け、外を覗《のぞ》く。そこを一《ひと》突《つ》き!——窓は、ガタンと落ちれば、ロックされたような状《じよう》態《たい》になる。後は、そのまま下へ降りて、ロープを下から外す。そんなことはお手のものでしょう」
 「君の想《そう》像《ぞう》力《りよく》には、敬《けい》意《い》を払《はら》うよ」
 と、有賀は肩《かた》をすくめた。
 「もう諦《あきら》めて。屋上にちゃんとロープの跡《あと》も見付かったし、それに、あなたが田村さんをたきつけていたことは、田村さんの恋《こい》人《びと》も証《しよう》言《げん》してるわ」
 有賀はいつものとぼけた表《ひよう》情《じよう》で、
 「やれやれ、君にそこまで信用がないとはなあ」
 と言った。「例のハンバーガーの店へトラックをどうやって突《つ》っ込《こ》ませたのか、君の推《すい》理《り》を聞きたいね」
 「あれは純《じゆん》然《ぜん》たる事《じ》故《こ》だったのよ。ブレーキが完全にかかっていなかったのね。でも、あなたにとっては、幸いな事故だったわ。武居さんが狙《ねら》われているようにも見えるし、自分には絶《ぜつ》対《たい》のアリバイがある」
 「なるほど。それで筋《すじ》は通るわけか」
 「田村さんは死んだけど、あなたは自首してほしいわ」
 「どうして?」
 「友だちだと思うからよ」
 「そいつはどうも」
 と、有賀は窓《まど》辺《べ》に立った。「——警《けい》察《さつ》が待ってるのかい?」
 「この外でね。でも、あなたが進んで警察へ行くのなら、一人で行かせてくれるわ」
 「そのまま逃《に》げたら?」
 「無《む》理《り》よ」
 「でもね、君の言うことには証《しよう》拠《こ》がないぜ」
 「調べれば、いくらでも出て来るわ。あの服を作らせたこともそうよ。あなたの顔を憶《おぼ》えていた店員がいるわ」
 「そうか」
 と、有賀は笑《わら》った。「あんまりやり過《す》ぎるもんじゃないな」
 「有賀君……」
 「田村さんが、財《ざい》産《さん》を継《つ》いで、その上で巧《うま》くいけば増口の後を継いで社長になれるかと思ったんだがな。そうすりゃ、遊んで暮《くら》せる。——僕《ぼく》は楽《たの》しく生きるのが好きだからね」
 「そのために人を殺しても?」
 「一度やりゃ、簡《かん》単《たん》さ」
 「あなたが言ったこと——あの別《べつ》荘《そう》で、淑子さんがあなたの所へやって来たというのは嘘《うそ》ね」
 「うん。逆《ぎやく》なんだ。僕が彼女《かのじよ》の所へ行った」
 「どうして?」
 「もちろん追い返される。でもね、そんなことがありゃ、翌《よく》日《じつ》顔を合わせたくないだろう。だから、僕らが起き出さない内に出かけると思ったんだ。巧《うま》く行ったよ」
 神岡が、淑子の部屋から出て来たのは、次の日のことを指《し》示《じ》していただけなのだろう。
 「それに、君に、彼女が偽《にせ》物《もの》だという印象を植えつけようとも思ってね」
 「あの服は——」
 「まずかったよ。新しい服と取り替《か》えたのはいいけど、前の服を持って遠くまで行くのが大変だと思って、近くへ埋《う》めちゃったんだ。それをそのワン公が見てた。あの林の中を探《さが》しているとき、君は、そのすぐそばにいたんだ。茂《しげ》みで音がしたろ? そいつだったのさ。僕は、誰《だれ》かに殴《なぐ》られたふりをして、そのワン公を追《お》っ払《ぱら》った。しかし、あの邦代って子に見付かるとはね」
 「もう一つ教えて」
 「何だい?」
 「あのシェークスピアの絵葉書は? 何の意味なの?」
 「あれか」
 と有賀は愉《ゆ》快《かい》そうに言った。「田村さんへ言っておいたんだ。何か意味ありげな葉書を寄《よ》こしておいてくれってね。田村さんのアリバイにもなるし、ともかく、彼《かれ》が生きているかどうか分らない、中《ちゆう》途《と》半《はん》端《ぱ》な気分に、淑子さんを置いておく必要があった。
 田村さんが、たまたま〈シェークスピア〉劇《げき》の劇場であの絵葉書を買ったんだよ。しかし、シェークスピアは正体の分らないところのある作家だからね。あれにはふさわしかったかもしれないね」
 有賀は窓《まど》枠《わく》にヒョイと腰《こし》をかけた。
 「どうするの?」
 と亜由美は言った。
 「逮《たい》捕《ほ》されて監《かん》獄《ごく》行きなんていやだね」
 と、有賀は言った。「僕《ぼく》は楽《たの》しく生きる主義だ」
 不意に、有賀の姿《すがた》が消えた。
 「有賀君!」
 亜由美は窓《まど》辺《べ》に駆《か》け寄《よ》った。——有賀が、大の字になって倒《たお》れているのが、見下ろせた。
 「有賀君……」
 クゥーンと、ドン・ファンも窓から首を出して、低く鳴いた。
 ドアが開いて、殿永が入って来た。
 「殿永さん……」
 殿永は窓から下を見て、
 「証《しよう》拠《こ》はほとんどなかったんです。しかし……」
 と、呟《つぶや》くように言った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%