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魔女たちのたそがれ02

时间: 2018-08-27    进入日语论坛
核心提示:1 依《より》 子《こ》「依子!」 と、叫《さけ》んで、津田はベッドで飛《と》び起《お》きた。「何よ、びっくりするじゃな
(单词翻译:双击或拖选)
 1 依《より》 子《こ》
 
「依子!」
 と、叫《さけ》んで、津田はベッドで飛《と》び起《お》きた。
「何よ、びっくりするじゃない!」
 同じべッドの中で、ウトウトしかけていた珠江が、仰《ぎよう》天《てん》して目を見《み》開《ひら》きながら、あわてて毛《もう》布《ふ》を裸《はだか》の胸《むね》に引《ひ》っ張《ぱ》り上げた。
「いや——ごめん」
 津田は、頭をかきながら、言って、それから手を伸《の》ばし、部《へ》屋《や》の明りを点《つ》けた。
 ここは、津田と珠江がよく使うホテルで、妙《みよう》な仕《し》掛《かけ》だの、ビデオだのはないが、なかなか落ちつける所である。
 ベッドだけは、特《とく》大《だい》、というところで、いくら二人して転《ころ》げ回《まわ》っても、まず落ちる心《しん》配《ぱい》はない。
 もう十二時を回っている。むろん夜中である。——ホテルへ入るのが十時になってしまったので、仕《し》方《かた》のない時間だった。
 何しろ、朝からの忙《いそが》しさは、五時を過《す》ぎてもまだ続《つづ》き、結《けつ》局《きよく》、ほとんどの社員が、九時近くまで残《ざん》業《ぎよう》するはめになった。
 そうなれば、帰りには、疲《ひ》労《ろう》回《かい》復《ふく》に一《いつ》杯《ぱい》、ということになる。その後、津田と珠江は、わざわざ、また疲《つか》れに来たわけである。
「こんなときに他《ほか》の女の名前を呼ぶなんて、失《しつ》礼《れい》よ」
 と、珠江は少々おかんむりだ。
「そうじゃないんだ。やっと思い付《つ》いたんだよ」
「何を? 依子って誰《だれ》よ?」
「中《なか》込《ごめ》依子。——僕《ぼく》の幼《おさな》なじみだよ。中学高校とずっと一《いつ》緒《しよ》でね」
「へえ。初《はつ》耳《みみ》だわ、そんな名前」
「もう、ずいぶん会ってない。年《ねん》賀《が》状《じよう》ぐらいは来てるけどね。——最《さい》後《ご》に会ったのは、たぶん、もう四、五年前じゃないかな」
「何をしてるの?」
「小学校の教《きよう》師《し》だよ。——どこか、山の中の小さな町の小学校に行った、とか聞いたな」
「その人を、どうして急に思い出したの?」
「今日の電話さ」
 珠江は、ちょっとキョトンとしていたが、
「ああ、あのときの? お昼休みの——」
 と、思い出したらしく、肯《うなず》いた。
「うん。あの声。どこかで聞いたことがあると思ってたけど、どうしても思い出せない。——それが今、急にパッと分ったんだ」
「どうしてあっちは名前を言わなかったの?」
 ふと、津田の顔から、表《ひよう》 情《じよう》が消《き》えた。
「助《たす》けて……殺《ころ》される」
 あの声は、そう言ったのだ。
「何だかおかしいわよ」
 と、珠江は言って、欠伸《 あ く び》をした。「私、眠《ねむ》いわ」
「うん」
 と、答えてから、「——何て言った?」
「おやすみなさい、って言ったのよ」
 珠江は、呆《あき》れたように言って、そのまま、すぐに寝《ね》入《い》ってしまった。
 津田は、ぼんやりと、天《てん》井《じよう》を見上げていた。——一《いつ》向《こう》に眠《ねむ》くならない。
 依子。——二つ、年下だから、今、二十六歳《さい》のはずだ。
 教《きよう》師《し》生《せい》活《かつ》四年。もう、大分、「先生」らしくなって来たのではないか。
 依子が教師になったというのは、「いかにも」という感じで、少しも意《い》外《がい》ではなかった。つまり、昔《むかし》から、津田と違《ちが》って依子は、真《ま》面《じ》目《め》な女の子だったのだ。
 といって、ガリ勉《べん》型《がた》というのとは、ちょっと違う。
 それほど、頭が切れるというタイプではなかったし、クラスでの成《せい》績《せき》は五、六番目だった。
 しかし、ともかく努《ど》力《りよく》家《か》だった。何でも一《いつ》生《しよう》懸《けん》命《めい》 に取り組んだのである。器《き》用《よう》でもなく、運《うん》動《どう》神《しん》経《けい》だって、お世《せ》辞《じ》にも、いいとは言えなかったが、それでも必《ひつ》死《し》に何にでも取り組んで、結《けつ》局《きよく》、やってのけるのだった。
 その点、津田はなまじ器用で、大して努力しなくても、たいていのことはこなせたから、却《かえ》って、伸《の》びなかった。
 依子の粘《ねば》り強さには、津田も脱《だつ》帽《ぼう》の他《ほか》はなかった。
「私は教《きよう》師《し》に向いてると思うんだ」
 高校に入るとき、依子は津田にそう言ったものだ。
「だって、頭も良くないし、駆《か》け足《あし》も遅《おそ》いし、手先は無器用だし。——一番だめな子の気持が、よく分るのよ」
 なるほどそうかもしれない、と津田は思った。
「ま、頑《がん》張《ば》れよ」
 先《せん》輩《ぱい》顔《がお》をして、津田は言ったものだ。「俺《おれ》はエリートビジネスマンか、外《がい》交《こう》官《かん》になって、世界中を飛《と》び回るんだ」
「津田君、なれるわ、きっと」
 と、依子は笑《え》顔《がお》で言った。「頭いいんだものね。外交官にでもなったら、ヨーロッパに招《しよう》待《たい》して。遊《あそ》びに行く」
「ああ、いいとも。何なら女《によう》房《ぼう》にしてやるぞ!」
「やあだ!」
 依子は、顔を真《まつ》赤《か》にして、恥《は》ずかしそうに笑《わら》ったものだ……。
「依子……」
 津田は呟《つぶや》いた。
 珠江が、何かムニャムニャと呟いて、寝《ね》返《がえ》りを打《う》った。
 ——結《けつ》局《きよく》、頭の良くない依子が、ちゃんと教《きよう》師《し》になり、津田の方は……。
 そして、いつしか依子は、遠く離《はな》れ、忘《わす》れられてしまった。いや、依子の方は時々、手紙やハガキをくれていたが、津田は返《へん》事《じ》も出さなかった。
 それでも、きちんと年《ねん》賀《が》状《じよう》は来ている。
 取《と》ってあるだろうか? いや——たぶん、捨《す》てちまったろう。
 依子がどこの小学校にいるのか、まるで記《き》憶《おく》がないのである。
 だが——小学校の教《きよう》師《し》をしている依子が、なぜ津田の所《ところ》へ電話して来たのか。そして、
「助《たす》けて……殺《ころ》される」
 と言ったのか。
 あれは、本当に依子の声だろうか?
 津田は、もしかしたら、全《まつた》く別《べつ》の女の声かもしれない、と思おうとしたが、それはうまくいかなかった。——思い当った瞬《しゆん》間《かん》、依子の声に違《ちが》いない、と確《かく》信《しん》していたのである。
 依子が助けを求《もと》めている。
 津田は、いても立ってもいられない気《き》持《もち》になった。——あれは、どう考えても、冗《じよう》談《だん》や遊《あそ》びではない。
 依子に、そんな冗談を言う理《り》由《ゆう》がない。
 つまり、依子は本当に、「殺《ころ》され」かかっているのだろう。
 それなのに、俺《おれ》はこんな所《ところ》で……。
 津田は、ベッドから出ると、急《いそ》いでシャワーを浴《あ》び、服《ふく》を着《き》た。珠江は、軽《かる》く、いびきすら立てながら、眠《ねむ》っている。
 起《おこ》すこともあるまい。——津田は、ホテルを出ると、タクシーを拾《ひろ》って、アパートに戻《もど》った。
 
「中込依子。——ええ、そうです。四年前に卒《そつ》業《ぎよう》しているはずです」
 翌《よく》日《じつ》、津田は休みを取《と》った。
 課《か》長《ちよう》は文《もん》句《く》を言いたげだったが、構《かま》わず電話を切ってしまった。かけなくてはならない所《ところ》があったのだ。
 アパートに帰って、あちこち引っかき回してみたが、依子の年《ねん》賀《が》状《じよう》は見当らず、彼女の母親の所《ところ》の電話番《ばん》号《ごう》も、どこにもメモしていなかった。父親は、依子が高校のときに亡《な》くなっていた。
 そうなると、どこでどう調《しら》べればいいか。——考えたあげく、依子の卒《そつ》業《ぎよう》した大《だい》学《がく》で、同《どう》窓《そう》会《かい》名《めい》簿《ぼ》を調《しら》べてもらうことにしたのである。
「——あ、どうも。——自《じ》宅《たく》の住《じゆう》所《しよ》と電話は?——分りました。それから、今、教《きよう》師《し》をやってると思うんですが、どこの小学校か、分りますか?」
 この質《しつ》問《もん》はむだだった。——依子は同窓会に連《れん》絡《らく》していなかったらしい。
 ともかく、母親の住《す》む所が分った。
 津田は、訪《たず》ねてみることにした。電話で、
「津田です」
 と言っても、分ってくれないかもしれないと思ったからだ。
 津田は、中古のカローラを走らせ、住所を頼《たよ》りに、依子の母を訪ねて行った。
 地《ち》図《ず》で大方の見当をつけ、その近くまで行って、交番で訊《き》く。
 捜《さが》し当てるのに、ちょっと手間取《ど》ったのは、古びた二階建《だて》の家で、どうやら、上を誰《だれ》かに貸《か》しているらしかったからだ。
 表《ひよう》札《さつ》が二つ出ていて、〈中込〉の方が、薄《うす》くかすれて、目につかなかったのである。
 津田も、依子の家に遊《あそ》びに行ったことはあったが、それはまだ父親が健《けん》在《ざい》なころで、家もここではなかったのだ。
「——ごめん下さい」
 と、玄《げん》関《かん》を入って、声をかける。
 しかし、母親が出て来たら、何と言おうか。依子さんが、「殺される」と電話して来たんですが、と言うのは……。
 しかし、今ごろ何の用で、突《とつ》然《ぜん》やって来たのかと、妙《みよう》に思われるだろう。
 考えが決《きま》らない内《うち》に、当の母親が出て来た。——めっきり老《ふ》けたな、と津田は思ったが、しかし、いかにも依子に似《に》て、しっかりした、上《じよう》品《ひん》な女《じよ》性《せい》だった。
「あの——」
 と津田が言いかけたのを遮《さえぎ》って、
「津田さん!」
 と、目を見《み》張《は》った。
「憶《おぼ》えていて下さったんですね」
「もちろんですとも。——本当にいいところへ来て下さって」
「え?」
「お上り下さい。ともかく——」
 促《うなが》されて、津田は、上り込《こ》んだ。
「依子さんは……」
 と、津田は、座《すわ》りながら、曖《あい》昧《まい》な言い方をした。
「地方の、小さな山の中の小学校に行っておりますの。津田さん——」
 と、母親は早口に言って、膝《ひざ》を進《すす》めた。「あの子、何か、危《あぶ》ない目に遭《あ》っているようなんです」
「え?」
 津田は、目を見《み》開《ひら》いた。「それは、どういうことなんです?」
「よくは、分りません」
 と、依子の母親は首を振《ふ》った。「でも、このところ、何通か、手紙が来ていて、ともかく、その小さな町で、何か恐《おそ》ろしいことが起《おこ》っているようなんです」
「恐ろしいこと……」
 津田はくり返《かえ》した。「どんなことなんです?」
「詳《くわ》しいことは、何も書いて寄《よ》こさないんです。それに——」
 と、母親は首を振《ふ》って、「電話をしても、何だか、そばで誰《だれ》かが聞いてでもいるように、とてもよそよそしい話し方なんです」
「それは変《へん》ですね」
「津田さん。あの子の所《ところ》へ行ってみて下さいませんか」
「僕《ぼく》がですか?」
「他《ほか》に、お願《ねが》いできる人はいないのです。——急《いそ》がないと、とんでもないことになるかも……」
「とんでもないこと?」
「昨日《 き の う》、あの子の働《はたら》いている小学校へ電話をしたのです」
と母親は言った。「中込依子をお願《ねが》いします、と言ったのです。ところが——」
 津田は、得《え》体《たい》の知れない重《おも》苦《くる》しさで、息《いき》苦《ぐる》しいほどだった。
「ところが——」
 と、母親は言った。「向《むこ》うの人が言ったのです。『そんな先生は、おりません』と」
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