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魔女たちの長い眠り07

时间: 2018-08-27    进入日语论坛
核心提示:7 復《ふく》 讐《しゆう》「馬《ば》鹿《か》げてる」 と、宮《みや》田《た》信《のぶ》江《え》は言った。 ラブホテルの
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 7 復《ふく》 讐《しゆう》
 
「馬《ば》鹿《か》げてる……」
 と、宮《みや》田《た》信《のぶ》江《え》は言った。
 ラブホテルの一室。——本沢の話は、終ったわけではない。
 しかし、信江が、「馬鹿げてる」と言ったのは、本沢の、普《ふ》通《つう》に考えたら、およそ信じられないような話に対してではなかった。
 自分に対して、信江はそう言ったのである。なぜなら、信江は本沢の手足を縛《しば》っていたベルトをほどき、服を投げてやっていたからだった。
「ありがとう」
 本沢は、手の痺《しび》れが治ると、急いで服を着た。「——やっと生き返ったよ」
「あなた、やっぱり少しおかしいのかもしれないわ」
 と、信江は言った。
「じゃ、どうして自由にしたんだい?」
「少なくとも、あなた自身は、正直だと思うからよ。たとえ妄《もう》想《そう》でもね」
 信江は、ちょっと微《ほほ》笑《え》んだ。「——どう? 何だか湿《しめ》っぽくなったわ。アルコールでも入れながら、話をしない?」
 本沢は、ホッとしたように、
「そうしてくれると、僕《ぼく》もありがたいよ」
 と言った。
 信江は、電話で、ウィスキーを頼《たの》んだ。
「その杭《くい》やハンマーは片付けといた方がいいんじゃない? 変な趣《しゆ》味《み》のある客だと思われちゃ困《こま》るわ」
 信江の言葉に、本沢は苦笑して、
「そうだな。僕もまだあんまり評判を落したくないものな」
 と言った。
 それから、言われた通り、杭やハンマーをしまい込《こ》むと、ベッドに腰《こし》をおろした。
「君、彼《かの》女《じよ》に少し似たとこ、あるんだよ」
 と、本沢が言った。
「彼女って——秋世って子?」
「そう」
「私、血を吸《す》ったりしないわ」
「いや、どことなく、だけどね。だから、ためらってた。あの子のことが思い出されて……」
「その子は結局——」
「察しはつくだろうけど、もう生きてないよ」
「そう」
 信江は肯《うなず》いた。
「君ほど強い子じゃなかったけどね」
「失礼ね」
 信江は、本沢をにらんだ。
 ——ウィスキーが来た。二人は、高級とは言いかねるウィスキーを水割りにして飲み始めた。
「その子、どうして死んだの?」
「自殺した」
「まあ」
 本沢は、手の中で、ゆっくりグラスを揺《ゆ》らした。
「桐山のことは、兄弟同様に知っていた。あいつが、そんなことで嘘《うそ》をつく奴《やつ》じゃないってことも。——本当のことに違《ちが》いない。でも、分ってはいても、それを受け容《い》れるのは、大変だった」
「分るわ」
「桐山は、その前の晩、アパートに戻《もど》って、彼女の姿が見えないのを知ると、外へ捜《さが》しに出たんだ。そして、見付けて、後を尾《つ》けた……」
「じゃ、間《ま》違《ちが》いなく——」
「そう。桐山も悩《なや》んでいた。一晩中、外を歩き回って、苦しんでいたんだ。そして朝になってアパートに戻ってみると僕《ぼく》と彼女が一《いつ》緒《しよ》に寝《ね》ていた、というわけだ」
「その話を聞いて、あなた、どうしたの?」
「話し合ったよ、桐山と。——一体、どうしたもんか、と……」
 本沢は、ウィスキーを、ゆっくりと飲んだ。
 
「黙《だま》っていようか、とも思ったよ」
 と、桐山は言った。「でもな、彼女が、誰《だれ》か憎《にく》んでる相手を殺した、とかいうのならともかく、これはそうじゃない。何の関係もない少女を殺したんだ。しかも、まともな方法じゃない」
 本沢は、肯《うなず》いた。
「放っとくわけにはいかないな。——でも、どうする?」
「分らないよ、お前が決めろ」
「俺《おれ》が?」
「そうさ。彼女を愛してんだろ」
 本沢にも、桐山のその言葉は鋭く響《ひび》いた。
「彼女——精神異常か何かなのかな」
「そういうことになるかもな。そういう病院から脱《ぬ》け出して来たのかもしれない」
「じゃあ……彼女をそこへ戻《もど》してやるのが、本当かな」
「しかし、人を殺してるんだ。それに目をつぶるわけにはいかないぞ」
 本沢にも、それはよく分っていた。しかし、秋世を警察へ黙《だま》って引《ひ》き渡《わた》すのは、ためらわれた。
「自首させるか。そしたら、身《み》許《もと》も分って、色々な事情も分って来るだろう」
 と、桐山が言った。
「合理的だな」
 本沢は言った。——正直なところ、桐山の話のショックが、一時的にせよ、本沢を理性的にしていたのだ。
「じゃ、二人で、アパートに戻って、彼女に話をして——」
 桐山が、言葉を切った。
 ドアが開いたのだ。そこには、秋世が立っていた。赤いコートが、目にしみるようだった。
「——聞いてたのかい」
 と、桐山は言った。
「ええ」
 秋世は、肯《うなず》いた。「本沢さんの後を、ずっと尾《つ》けて来たの。ごめんなさい」
「ねえ君は本当に……?」
 本沢は、思わず、そう訊《き》かずにはいられなかった。
「桐山さんの言う通りよ」
 と、秋世は認めた。「でも——それは、私のせいじゃない。別に責任逃《のが》れをするんじゃないけど、その通りなの」
「どういう意味?」
「話すわ。でも……その前に……」
 秋世は、本沢と桐山を交《こう》互《ご》に見た。「私、何より申し訳ないのは、あなた方の仲を、もしかしたら——」
「その心配はいらないよ」
 と、桐山は言った。「僕は、本沢を親友だと思っている」
「——良かったわ」
 秋世は、やっと笑顔を見せた。「私がどうなっても、あなた方に変りがなければ、本当に嬉《うれ》しい」
「なぜあんなことを?」
 と、本沢は訊いた。
「どうしようもなかったのよ」
「というと」
「彼らのせいよ」
「誰《だれ》のことだい?」
「彼ら。——私が住んでいた町を、今、支配している連中よ」
「それはどういう人間たちなんだい?」
 秋世は、本沢を見て、言った。
「彼らは人間じゃないのよ」
「何だって?」
「吸《きゆう》血《けつ》鬼《き》なの。一《いつ》般《ぱん》的な言葉で言えば」
 本沢は、桐山と顔を見合わせた。
 吸血鬼。——そんな言葉が、秋世の口から出るとは、思ってもいなかったのだ……。
 本沢は、寒さすら感じなかった。
 暖《だん》房《ぼう》など入っていない部《へ》屋《や》で、不思議なことではあったが、事実、少しも寒さを感じなかったのである。
 しかし——それでいて、本沢の心の中は、凍《こお》りつくようだった。
 本当なのだろうか? 彼《かの》女《じよ》の故郷の町を、今、「吸血鬼たち」が支配している……。
 もちろん、まともな理性で聞けば、とても考えられない話である。この二十世紀に、しかも、いくら小さな田舎《 い な か》町《まち》といっても、日本のような、狭《せま》い国の中、TVもラジオも当然のことながら受信できるはずだ。
 そんな町で——しかし、何かが起ったのは確かなのだろう、と本沢は思った。秋世は嘘《うそ》をついていない。
 昨夜、本沢が秋世と寝《ね》たから、そう思うのではない。秋世の話し方は淡《たん》々《たん》として、少しも、本沢と桐山の二人を説得しようとか、信じ込《こ》ませようという意図を、感じさせなかったからである。
〈谷〉と呼ばれる、町から遠く外れた一角にひっそりと住んでいた「彼《かれ》ら」が、町の有力者の娘《むすめ》が殺された事件をきっかけに、町の住人たちと争い始め、結局、彼らの下に町が屈《くつ》服《ぷく》した……。
 そのいきさつを、秋世は、至って穏《おだ》やかに語った。
「——もちろん信じてほしいなんて言わないわ」
 と、秋世は続けた。「とても、まともに受け取れるような話じゃないんですものね」
「俺《おれ》は信じる」
 と、桐山が即《そく》座《ざ》に言った。
 本沢は、ふと、胸が熱くなるのを覚えた。こんないい奴《やつ》はいない。そうだとも!
「僕《ぼく》も信じるよ」
 本沢は肯《うなず》いて、言った。秋世が、ちょっと声を詰《つ》まらせて、
「ありがとう。——嬉《うれ》しいわ、私!」
 と、二人を交《こう》互《ご》に見た。「あなたたちのような、いい人たちを騙《だま》してたのが、恥《は》ずかしい」
「いや、そんなことはどうでもいいんだ」
 と、桐山が言った。「僕らは気にしてない。それで充《じゆう》分《ぶん》だろう?」
「ええ……」
「実際的に考えようじゃないか。君は人を殺した。それは事実だ」
「ええ。罪は償《つぐな》うわ」
 と、秋世は目を伏《ふ》せた。
「しかしね、動機を、どう説明する? 君が、今、僕らに話してくれたことを、警察で話したって、まず信じちゃくれないだろう」
「それはそうだろうな」
 と、本沢は肯いた。
「そうなると、君はただ、普《ふ》通《つう》の殺人犯として裁かれるか、精神病院送りになるだろうな。しかし、それじゃ何の解決にもならない」
「でも——」
 と秋世が言いかけるのを、桐山は止めて、
「まあ、しゃべらせてくれよ」
 と、軽い口調で言った。
 その言い方が、まるで学生同士、夏休みの旅行の計画でも立てているという感じで、その場の重苦しかった雰《ふん》囲《い》気《き》を、すっかり明るいものにしてしまった。
「君は、命令されてやって来た。だから、君が自首するだけじゃ、事の解決にはならないんだよ。命令した連中にまで、捜《そう》査《さ》の手が及《およ》ばないと。分るだろ?」
「うん、分る!」
 肯《うなず》く本沢も何となく元気が出て来た。
「今、君が自首して、警察へ話をしても、到《とう》底《てい》信じてはもらえないはずだ。だったら、信じないわけにいかないような証《しよう》拠《こ》をつかむんだ。そして、警察へ出頭する。それしか方法はないだろ?」
 桐山の論理は明快だった。「で、そのためには、どうするか、といえばだ——」
 桐山がハッとしたような表情になった。
「どうしたんだ?」
 本沢が訊《き》くと、桐山は真《しん》剣《けん》そのものの表情で、言った。
「お前たち二人、一《いつ》緒《しよ》に何か食ったんだろ? 俺《おれ》は朝から何も食べてないんだ! ともかくどこかで飯を食おう。総《すべ》てはそれからだ!」
 桐山が、高らかに、宣言する、という調子で言ったので、本沢は笑い出してしまった。桐山も一緒に笑った。そして——秋世の顔にも笑みが浮《う》かんで、ただ、その頬《ほお》を、涙《なみだ》が濡《ぬ》らしているのだった……。
 
「——連中に弱味はないのかな?」
 と、桐山がコーヒーを飲みながら言った。
 三人は、大学の近くのレストランに入っていた。レストランといったって、学生もよく利用する、至って大衆的な店である。
「それは私にも分らないわ」
 と、秋世は首を振《ふ》った。「私だって、彼らの仲間ではないんですもの……」
 ——秋世は、少しの間、黙《だま》り込《こ》んだ。それからゆっくりと二人の顔を見て、言った。
「明日まで待って。明日になったら、きっと分ってもらえると思うの」
 本沢と桐山は、ちょっと顔を見合わせた。本沢は、何となく不安になった。そうなる理由があったわけではないのだが。
「分ったよ」
 と、桐山は肯《うなず》いて言った。「でも、僕《ぼく》らのことは信じてくれよな。君をその連中から守るために、何だってする。——なあ?」
「ああ、もちろんだよ」
 本沢も、ためらわずに言った。
「嬉《うれ》しいわ。私は幸せ……」
 秋世は、もう涙《なみだ》を見せなかった。
 三人は、そのレストランを出た。桐山は、
「大学に用があるんだ」
 と、肩《かた》をすくめて見せ、「もうすぐ卒業だってことを、つい忘れそうだよ」
 と、おどけて見せた。
 桐山が行ってしまうと、本沢と秋世は、何となく黙《だま》り込《こ》んで、それから顔を見合わせた。
「——アパートに戻《もど》ろうか?」
 と、本沢が訊《き》くと、秋世は、ちょっと顔を伏《ふ》せがちにして、
「構わないの?」
 と訊いて来た。
「どこに行くっていうんだ?」
「そうね」
 秋世は、ちょっと笑った。
 この子が人を殺した。——もちろん、頭では分っていたし、信じてもいたのだが、何となく、どこか遠い世界での出来事のように、本沢には思えるのだった。
 二人は、アパートに戻った。
 部屋は、冷たかった。ストーブに火を入れても、そう簡単に、部屋中があたたまるわけではない。
「——寒いか?」
 膝《ひざ》を立ててかかえ込むようにしている秋世を、本沢は抱《だ》き寄せた。ごく自然に、二人の唇《くちびる》が出会った。
 まだ、外はやっと黄昏《 た そ が》れて来る時間だったが、二人は布《ふ》団《とん》を敷《し》いて、その中に潜《もぐ》り込んだ。ゆうべ通った道を辿《たど》るのは、むずかしくなかった。さらにその先まで……。
 二人は、数時間を、まるで数分のように過ごし、眠った。
 
「僕《ぼく》が目を覚ましたのは、もう夜も大分遅《おそ》くなってからだった」
 と、本沢は言った。
 酔《よ》った気配はなかった。聞いている宮田信江にしてもそうである。吸《きゆう》血《けつ》鬼《き》だの、殺人だのの話を——しかも大《おお》真《ま》面《じ》目《め》な話を聞いていては、少々のウィスキーぐらいで、酔えるはずがない。
「彼《かの》女《じよ》はいなかった。僕は起き出して、部屋の中を見回した。——もともと、大して広いアパートじゃないんだからね。彼女は外へ出て行ったらしかった。もう十時を過ぎていたんだが」
「見付かったの?」
 と、信江は訊《き》いた。
「表に出ると、救急車のサイレンが聞こえた。どんどん近づいて来る。僕は不安になって、じっと立って、待っていた」
 本沢は、軽く息をついて、「サイレンが停《とま》るのを待って、そこへ駆《か》けて行った。アパートから、ほんの数十メートルの所でね。人も少し集まっていた」
「彼《かの》女《じよ》——だったのね?」
「そう。秋世だった」
「自殺した、ってあなた——」
「自殺にしても、奇《き》妙《みよう》で、無残な死に方だったよ」
 と、本沢は首を振《ふ》った。「大きな家で、立派な柵《さく》がめぐらしてある。その柵が、二メートルほどの高さでね、先端が、矢《や》尻《じり》みたいな形で尖《とが》ってるんだ。もちろん装《そう》飾《しよく》としての意味もあってだけどね」
「それで、秋世って子は?」
「その柵の上に、引っかかるようにして、うつ伏《ぶ》せになって——柵の先《せん》端《たん》で胸を貫《つらぬ》かれて死んでいた」
 信江は、一《いつ》瞬《しゆん》 言葉を失った。
「自分で、そんなことを?」
「分らない。二メートルの高さだし、先が尖っていると言ったって、武器じゃないんだから、そう鋭《するど》いわけじゃなかったはずだ。でも——現実に、それは彼女を貫いて、背中から、飛び出していた。二本もね」
 信江は、ごくりと唾《つば》を飲《の》み込《こ》んだ。
「彼女は、白いネグリジェを着てた」
 と、本沢は言った。「アパートに来て、割合にすぐに買ったものだ。でも、僕《ぼく》や桐山を刺《し》激《げき》すると思ったのか、ほとんど着ないでしまい込んでいた」
「じゃ、それを出して身につけたのね」
「だと思うよ。でも——僕が見たとき、それも半分ぐらいは、血に染っていたけどね。実際、よく見ないと、白いネグリジェだとは分らないくらいだった……」
 本沢は目をキュッとつぶって、指で押《おさ》えた。
「ごめんよ。あのときのことを思い出すと……目の奥《おく》が焼けつくようなんだ」
 泣いているのだ。やっと開いた目は、赤くなっている。
「秋世の死体をおろすのは、大変だったよ。柵《さく》から外すだけでもね。たっぷり時間がかかった。——寒かったけど、僕は何も感じなかったな。じっと、立って見守っていた」
 本沢は、視線を宙に向けた。「一つだけ慰《なぐさ》められたのは……」
「何なの?」
「やっと下へおろされて、地面に横たえられたときの、彼女の表情が、とても穏《おだ》やかだったことだ。苦しんだ様子がなくて——ホッとしているようだった」
 本沢は、ちょっと微《ほほ》笑《え》んで、「灰にはならなかったんだ、なんて思ったのを、憶《おぼ》えてるよ。そのときは、ただポカンとしていて、悲しくもなかった。いつの間にか、桐山の奴《やつ》も来ていて……僕を促《うなが》して、アパートへ戻《もど》った。——僕らは、その夜、誓《ちか》ったんだ。秋世の言っていた、『彼ら』を抹《まつ》殺《さつ》してやろう、とね」
 信江は、黙《だま》って、本沢を見つめていた。
「——それで、僕と桐山は、別々に、あの町の人間を捜《さが》してるわけさ」
 本沢は、大きく息を吐《は》き出した。「でも、まだこの杭《くい》を本当に打ち込んだことはないんだ。いざとなると、怖《こわ》くてね」
「私が第一号だったわけ?」
「それもまずかったよ。君が好きだったからね。やっぱり手が鈍《にぶ》った……」
「鈍って良かったわ」
 信江は立ち上って、言った。「あなた殺人犯になるところよ。しかも見当違《ちが》いの相手を殺して」
「そうだな。——桐山の方も、しくじったんだ」
「誰《だれ》を殺そうとして?」
 そう言って、信江はハッとした。「じゃ、姉が言ってたのは——」
「そうなんだ。桐山は、君の姉さんを殺そうとした」
 本沢は、ふと不安げな表情になった。「そうか。すると姉さんも、あの連中とは関係ないのかもしれない」
「当り前よ! その桐山って人に言って。姉も私も、ほとんどあの町にいなかったんだから」
「すると——危いかもしれない」
 本沢が、呟《つぶや》くように言った。
「危いって? 姉が?」
「うん、いや、桐山のことじゃなくて、だ。君の姉さん、あの町へ向ってるらしいんだ。桐山がそう言って来た」
「お姉さんが……」
 信江は、呟《つぶや》くように、言った。
 急に、部屋が冷え冷えとして来るような気がした。
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