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南十字星06

时间: 2018-09-06    进入日语论坛
核心提示:6 出て来た女「いらっしゃいませ」 昼下り、多少眠気のさして来ていた奈々子は、客が入って来て、却《かえ》ってホッとした。
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 6 出て来た女
 
 
「いらっしゃいませ」
 昼下り、多少眠気のさして来ていた奈々子は、客が入って来て、却《かえ》ってホッとした。
 用もないのに頑張って起きているのは楽じゃないのである。
 入って来たのは、セーラー服の女学生だった。鞄《かばん》をドサッと一方の椅《い》子《す》に置くと、
「コーヒー」
 と、注文しながら椅子にかけた。
「はい」
 奈々子は、水を持って行ったが、
「灰皿ないの?」
 と、訊《き》かれて面食らった。
「あなた高校生でしょ」
「見りゃ分るでしょ」
「タバコなんか喫《す》っちゃだめよ」
「大きなお世話よ」
 と、肩をすくめて、「ま、いいか。ここんとこ、本数減らしてるからね」
 生意気なガキ! ムカッとして、カウンターの方へ戻《もど》って行くと、何を思ったか、マスターがカウンターの奥から灰皿を持って出て来た。
「マスター——」
「お客さんの注文には応じなきゃ」
「でも……」
 マスターは、その少女の前に灰皿を置いて、
「どうぞ」
「ありがと。でも、いいの。ちょうどタバコ切らしちゃったから」
「じゃ、さし上げますよ、一本」
 と、わざわざポケットから出して、「どうぞ」
 と、言っているので、奈々子は面食らってしまった。
「サンキュー」
 と、少女は一本取った。
 マスターはライターを出して、カチッと火を点けた。少女は一服喫《す》って、むせ返った。
「——喫ったことないのに、無理しないことだよ」
 と、マスターは笑って、少女の手からタバコを取って、灰皿に押し潰《つぶ》した。
 少女は水をガブガブ飲んで、息をつくと、
「子供をからかって!」
 と、マスターをにらんだが、マスターの方は相手にせずに、笑いながら、カウンターの奥へ戻って行った。
 少女の方も、しばらくふくれっつらをしていたが、やがて普通の笑顔になると、
「面白い店ね」
 と、言った。
「あれ?」
 奈々子は、目をみはった。「あなた——確か、ルミ……ルミ子さんでしょ」
「あ、憶《おぼ》えてたか」
 と、少女は楽しげに言った。
「その格《かつ》好《こう》だから、なかなか分んなかったわ」
「あなた野田さんとキスしてるのを見たから、ちょっと興味あってね」
 マスターがびっくりしたように奈々子を見た。
「違うんです、マスター! そんな——キスなんてものじゃないの。ただ、こう……口と口が、間違ってぶつかっただけ」
 奈々子の言いわけも、我ながらおかしかった。
 野田に夕食をおごってもらって、一週間ほどたっていた。
 ま、奈々子としても、心の片隅で、野田が店に電話して来ないかな、と期待しているところがあったのだが、一方では、美貴と野田の、「殺しっこ」に巻き込まれるのも迷惑だ、という気持もあった。
 しかし、まさか、このルミ子という子がやって来るとは、思ってもいなかったのだ。
「——はい、コーヒー」
 と、奈々子はコーヒーと伝票を置くと、「どうしてここが分ったの?」
「もち、野田さんから聞いたのよ」
「野田さんと、親しいの?」
「お姉さん目当てに、ずいぶんうちへ来てたから。一時は私の家庭教師だったこともあるのよ」
 と、ルミ子は言った。
「へえ。あの野田さんが、ね」
 イメージ、合わない!
「姉さんも、ここに来るんですってね」
「そう何度もみえてないわ。美貴さん、今、あなたたちと一緒に住んでないの?」
「結婚したもの」
「そりゃそうだけど、だって、ご主人は行方不明でしょ」
「一人で、マンションにいるわ。だって、ともかく、父と私から離れたくて、三枝さんと結婚したようなもんですもの。一人になっても、戻《もど》りたくないんでしょ」
「そう……」
 何だか、結構複雑なようだ。
「野田さんの方が好きだったな、私。三枝さんは、そりゃ人は良かったわよ。優しくってね。でも、何だか煮え切らないところがあって、好きじゃなかった」
 と、言ってから、ルミ子はコーヒーを少し飲んで、「ま、私の結婚相手じゃないからどうでもいいんだけどね」
 他に客もなく、マスターも出て来て、
「みんなでコーヒーブレーク、といこうじゃないか」
 と、カップを二つ、テーブルに置いて、コーヒーを注いだ。
「——何か話したいことがあって、ここへ来たんじゃないのかい?」
 マスターが訊《き》くと、ルミ子は、
「そうなんです」
 と、両手をきちんと揃《そろ》えて言った。
 こうして見ると、なかなか可《か》愛《わい》い。——どうして、みんな私より可愛いの? 奈々子は少々不満であった。
「野田さんも心配してます。で、こちらの奈々子さんって人に相談したら、って言われたんで」
「何を?」
「三枝さんが行方をくらました事件です」
「でも——私、別に探偵でもないし」
 という奈々子の抗議は無視され、
「話してごらん」
 と、マスターが促《うなが》した。
「姉さんが、三枝さんと結婚してハネムーンに発《た》った晩でした。うちへ女の人がやって来たんです」
「女の人って、どんな?」
「たぶん……二十七、八かな。かなり思い詰めてる様子で、三枝さんを姉さんが奪《うば》った、と言って、怒っていました」
「じゃ、三枝さんの恋人?」
「それも、妊《にん》娠《しん》してるんだって……。その人が、そう言っただけなのかもしれませんけども」
 奈々子は、マスターと思わず顔を見合わせた。
「だけど——どうして、その人、もっと早く言って来なかったのかしら」
「ええ、父がそれを言いました。その女の話では、三枝さん、何か月か海外に行くんで、連絡できない、と言っていた、ってことなんです」
「じゃ、その間に結婚しちゃったわけ」
「確かに、三枝さん、婚約してから、挙式をかなり急いでたんです。私、姉さんがつわりにでもなるとまずいんじゃない、なんて、からかってたんですけど」
「すると、その女の言うことも、かなり説得力があるね」
 と、マスターは肯いた。
「式の当日、たまたまその女の人が、三枝さんと姉の式から帰る、大学時代の友だちにばったり会って……。二人で一緒の時に、会ったことがあったらしいんです、その人に。で、初めて結婚したことを知って——」
「そりゃひどいわ」
 と、奈々子は思わず言った。
「その女の話だけだからね。総《すべ》て事実かどうか分らないが……」
「父は、ともかくもう娘と三枝は結婚したんだから、って突っぱねたんです。その女は、このままじゃ、絶対に済まさないから、って……。そして——」
 ルミ子は、少しためらってから、「ハネムーンの行先を聞いて来たらしくて、ドイツまで追いかけてって、仕返ししてやるから、って、そう言って帰って行ったんです」
「ドイツまで?」
 奈々子は唖《あ》然《ぜん》とした。「じゃ、もしかしたら、その女が本当に——」
「父は、いくら何でもそんなことまでしないさ、と言って、ともかく帰国したら、三枝さんとじっくり話して、もしあの女のことが事実なら、きちんとけりをつけさせる、と言ってました」
「それはそうだろうね」
 と、マスターは言った。
「美貴さんは、その女のことを、知ってるの?」
 と、奈々子は訊《き》いた。
「いいえ。だって——帰った時はもう、三枝さんがいなくなって、悲しみのどん底だし……。とても、そんなこと、言えた雰《ふん》囲《い》気《き》じゃなくて」
「そりゃそうね」
「その女のこと、調べさせるにしても、名前も何も分らなかったんです。父は、その内また何か言って来るかもしれない、って……。三枝さんが姿を消したのと、その女が関係あるって証拠もないわけですから」
「で、その女から、何か言って来たの?」
「いいえ、一向に。そしたら……」
 ルミ子は、鞄《かばん》を開けると、中から新聞の切抜きを取り出した。「これ、見て下さい」
 大きな記事ではなかった。〈ハンブルクの日本人死体の身《み》許《もと》分る〉とあって、女性の写真が出ている。
「その写真、はっきりしませんけど、でも見た瞬間に、あの女だ、と思ったんです」
 と、ルミ子は言った。
「この女性が? だって——この人、死んでるんでしょ?」
「ええ、殺されたらしいんです」
 と、ルミ子は言った。
 奈々子は、改めて、その記事に見入ったのだった……。
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