日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

南十字星15

时间: 2018-09-06    进入日语论坛
核心提示:15 ディスコの男「あなたは天才だって言ってるわ」 と、ルミ子がハンスの言葉を通訳した。「いえいえ」 と、奈々子はしきりに
(单词翻译:双击或拖选)
 15 ディスコの男
 
 
「あなたは天才だって言ってるわ」
 と、ルミ子がハンスの言葉を通訳した。
「いえいえ」
 と、奈々子はしきりに照れている。
 ——ともかく、せっかくフランクフルトへ来たんだし、というので、呑《のん》気《き》すぎるような気もしたが、「ゲーテの家」というやつへやって来た。
 ゲーテったって、奈々子も名前ぐらいは知ってるが、今どき、「ウェルテル」だの「ファウスト」だの読む若者は、少なくなってしまった。
 奈々子も、ご多分に洩《も》れず、
「ゲーテってのは偉い文豪だった」というだけの感想を持って、「ゲーテの家」を出たのである。
「これから、ちょっと会いたい人がいるの」
 と、美貴は言った。「主人の会社の出張所があるのよ。そこの所長さんに。——奈々子さん、町の見物でもなさるのなら……」
「まさか」
「でも——」
「私、あなたのお父様に頼まれてるんですから。いくら怠け者でも、頼まれたことは、ちゃんとやります」
「ありがとう」
 と、美貴は微《ほほ》笑《え》んだ。「じゃ、ホテルへ戻《もど》りましょう。そろそろ所長さんがみえてるはずだわ」
 一同は、歩いて五、六分のホテルへ戻った。
 ロビーは、もちろん広いことも広いが、落ちついた居間、という雰《ふん》囲《い》気《き》で、日本のホテルのロビーみたいに、待ち合せの人で溢《あふ》れてるなんてことはない。
 小柄で、丸々と太った日本人の男性がソファから立ち上った。
「これは三枝君の奥さん」
「どうも、お忙しいのに、すみません」
 と、美貴は頭を下げた。
 ——しかし、その出張所の所長(といっても部下は現地の女性が一人いるだけらしい)から、新しい情報は入らなかった。
「一応、ここの警察の知り合いを通して、昨日もミュンヘンへ連絡して問合せてもらったのですがね」
 と、所長は言った。「目新しい情報はないようです」
 ま、着いた初日に、次から次へと何か分れば、こんな楽なことはない。
 その点では、あの白髪の男のことが引っかかって来ただけでも、何もないよりはましだろう。
 美貴が、話を切り上げようとした時、
「ね、お姉さん」
 と、ルミ子が言った。「あのおじいさんのこと、訊《き》いてみれば」
「そうね。所長さん、実は……」
 美貴が、例の白髪の男のことを、説明して、「こっちへ何度も来ている、と本人は言っていたようですけど、何か、心当りはありませんか」
 と、言った。
「さてね——」
 太った所長は、ハンカチで額の汗を拭《ふ》いて、「日本人は多いですからね、この町は」
「そうでしょうね。——無理なことをうかがって、すみません」
「いやいや」
 と、所長は立ち上った。
 ——奈々子は、あの白髪の初老の男のことを思い出していた。
 あの空港での歩き方。いやに若々しかったわ。
 アンカレッジでは、あんな風ではなかった。
 奈々子も気分が良くなかったから、はっきり憶《おぼ》えているわけではないが、もっと「老人らしい」歩き方だったような気がする。
 もしそうなら、あれはわざとそうして歩いていた、ということになる。
 つまり、もっと若い男なのかもしれない。
 前にもそんな印象を持ったが、奈々子は、はっきり、確信を持ったのだった……。
 
 あれやこれやで、すぐドイツ第一日目は夜になり、奈々子たちは、ホテルのダイニングルームで食事を取った。
 量の多いこともあって、何だか一日中食べてばっかりいるようだ、と奈々子は思った。もちろん、それがいやだってわけじゃないのだが。
 少々堅苦しいレストランか、と思ったが、そんなこともなく、至って気さくなマネージャーらしい男性がニコニコしながら、
「イラッシャイマセ」
 なんてやって、笑わせてくれる。
「——でも何ですね」
 と、奈々子は、部屋のキーを取り出して、「こういう由《ゆい》緒《しよ》あるホテルにしちゃ、ちょっとがっかり」
「本当ね。ヨーロッパの古いホテルは、キーも、古い、こったものが多いんだけど。時代ってものね」
 キーといっても、鍵《かぎ》じゃない。磁気カードなのだ。これをスリットへ差し込むと、鍵が開く。
 何だか味気ないのである。
 食事をしながら、ルミ子とハンスが、何やらヒソヒソ話している。
「——お姉さん」
 と、ルミ子が言った。
「なあに?」
「夜、ハンスと出かけていい?」
「どこに行くの?」
「ディスコ」
「まあ。——大丈夫?」
「平気よ。安全な所を知ってるから、ハンスなら」
「あんまり遅くならないのよ」
「へへ、やった!」
 と、ルミ子、ハンスをつついている。
 それからルミ子は、奈々子の方を見て、
「奈々子さん、ご一緒にどう?」
「私? やめとくわ」
「どうして?」
「だって、仕事が——」
「いいじゃない。じゃ、お姉さんも一緒なら?」
「ルミ子ったら」
 と、美貴が苦笑する。「奈々子さん、私なら構いませんから、行ってらしたら?」
「いえ、そんなわけにはいきません」
 大体、奈々子は、ディスコとかいうものがあまり得意でない。
「それに、まだ体調万全じゃないし」
「そんだけ食って?」
 と、森田が言った。
「うるさいわね。あんた、どこへ出かけるの?」
「俺は——ちょっと散歩だ」
 と、そっぽを向く。
「怪しげな所へ行くんじゃないの?」
「馬鹿言うな!」
 と、むきになったところを見ると、満更、その気もないではないらしい。
 ハンスが何か言った。ルミ子が訳して、
「ポルノショップみたいな所へ行くのなら、よほどよく知っている人と一緒でないと危いんですって」
「誰もそんなこと言ってない!」
 と、森田が目をむいた。
「よっぽど、そういうとこへ行きそうに見えんのよ」
 と、奈々子は面白がって言った。
「まさか——」
 と、美貴が、ふと呟《つぶや》くように言った。
「え?」
「いえ……。ここへ着いた次の日の夜、主人が夕食の後、出かけたの」
「どこへ?」
「分らないわ。何も言わなかった。『ちょっと出て来る』、とだけ言って……。まさか、そんな所へ行ったんじゃ……」
「ハネムーンで? まさか」
 と、ルミ子が言った。
「そうね。ただ……」
「何なの?」
「戻って来た時、あの人の上衣に、かすかに香水の匂《にお》いがしたの。今、思い出したわ」
 奈々子とルミ子は顔を見合せた。
 もしかするとそれは、殺された若村麻衣子と会っていたのかも……。
 いや、それはおかしい。そんなに早く、若村麻衣子が、二人に追いつけるはずがない。
「お姉さん」
 と、ルミ子が言った。「気晴しにディスコでワーッとやろうよ!」
「ワーッ!」
 と、ハンスがおどけた。
 みんな一斉に大笑いした。
 ディスコってのは、どこも同じようなもんね、と奈々子は思った。
 騒々しくて、人が多くて、空気が悪くて……。
 でも、静かで閑散としたディスコなんて、却《かえ》って気味が悪いかもしれない。
 ともかく——奈々子は踊らなかったが、全員揃《そろ》ってディスコへやって来ていたのである。
 ハンスが連れて来ただけあって、至って明るく、陽気な店で、日本人の観光客も、結構目につく。
 ハンスとルミ子は疲れも知らずに、踊っていた。
「——元気ねえ」
 と、テーブルで、アップルジュースを飲みながら、奈々子は感心した。
「奈々子さんだって若いのに」
 と、美貴が言った。
「いいえ。——私はご存知の通り、盆踊り専門」
 美貴が笑った。
 奈々子は、店の中を見回した。
 もちろん、ほとんどはドイツ人だろう。体の大きいこと……。奈々子たちなんか、「お子様」に見えるに違いない。
 ふと——奈々子は、一人の金髪の男に目を止めた。
 まさか……。見間違いかもしれない。
 でも、もしかして……。
 その、長身の金髪の男は、空港で、あの初老の紳士のバッグを引ったくった男とよく似ていたのだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%