日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

殺人はそよ風のように11

时间: 2018-09-06    进入日语论坛
核心提示:10 わき腹にナイフ 「変だわ」 夏美は受話器を置いた。 永原の自《じ》宅《たく》の近くで、もう一度電話してみたのだが、今
(单词翻译:双击或拖选)
 10 わき腹にナイフ
 
 「——変だわ」
 夏美は受話器を置いた。
 永原の自《じ》宅《たく》の近くで、もう一度電話してみたのだが、今度はさっぱり出て来ないのである。
 「行ってみる?」
 と、克彦が言った。「いなきゃいないで、帰って来りゃいいし」
 「お兄さんったら。もし、向こうで警察でも待ってたら、どうするのよ」
 と千絵がにらんで、「でも——それなら、当然電話に出るか」
 「自分で言って、自分で否定してりゃ、世話ないや」
 と、克彦がからかった。
 「ともかく時間が……」
 と、夏美は言った。「朱子さんと一時に待ち合わせたのに、もう十五分しかないわ」
 「だから、行ってみようよ」
 と、克彦が言った。
 「ねえ、私が、その朱子さんって人のほうに行ってあげる」
 と、千絵が言った。
 「え? でも——」
 「大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》よ。ちょっと遅《おく》れて来るって伝えれば、待っててくれるでしょう。そうでないと、場合が場合だから、来ないのかと思って、帰っちゃうかもしれない」
 「じゃ、申し訳ないけど、お願いできる?」
 「任《まか》しといて。行けば、分かるでしょ」
 夏美から場所を聞いて、千絵は、足早に駆《か》け出して行った。
 「じゃ、行ってみましょうか」
 と、夏美は言った。
 「うん」
 歩き出して、克彦は、「その奥《おく》さんが何か知ってる、と思ってんだね?」
 と訊《き》いた。
 「たぶん……。奥さんといっても、実際は永原さんの秘書みたいなものだったの」
 「秘書?」
 「そう。浜子さんというんだけど、面《おも》白《しろ》い人なのよ。——私、デビュー前、少しの間だったけど、あの家にお世話になったことがあるの」
 「なるほど。ご主人が殺されて、がっくりしてるところに訪《たず》ねて行くってのも、何だか悪いみたいだね」
 「そうね。でも——」
 と、夏美は首をかしげた。「でも普《ふ》通《つう》の夫《ふう》婦《ふ》ほどには、ね」
 「普通の、って?」
 「あの二人、法律上だけの夫婦なの」
 「法律上だけ……?」
 克彦が、キョトンとしている。
 「永原さんは、男だけの恋人しか持てなかった人。浜子さんは逆《ぎやく》に女だけの恋人しか持てない人なんだもの」
 「そ、それじゃ——」
 克彦は、赤くなって、どきまぎした。
 「照れないで。こういうこと、この世界じゃ珍《めずら》しくないのよ。永原さんたちは、だから、お互《たが》いに、便《べん》宜《ぎ》的《てき》に夫婦になってただけなの」
 「へえ」
 克彦は首を振《ふ》った。「やっぱり、ちょっと変った世界だねえ」
 「そう」
 夏美は、ちょっと笑って、「あんまり深入りすると、夢《ゆめ》も希望もなくなるわよ」
 と言った。
 「どの家だい?」
 「ええと——あの角を曲がったところよ。確か、曲がってすぐだったと思うわ」
 「待った!」
 克彦が、夏美の腕《うで》をつかんだ。「見ろよ」
 角から、警官が出て来た。歩いて来るのではなく、その辺をぶらついている感じだった。
 「警官ね」
 「何だか、おかしいと思わない?」
 克彦と夏美は、顔を見合わせた。
 「まさか——」
 夏美の口から、言《こと》葉《ば》が勝手に出て来た。「まさか、奥《おく》さんまで——」
 「君はここにいて。ちょっと僕《ぼく》、様子を見て来る」
 克彦も、やっと少し探《たん》偵《てい》気分になって来た。
 何気なく歩いて行って、角を曲がる。
 「分からねえのか、この野郎!」
 いきなり罵《ば》声《せい》が飛んで来て、克彦はギョッとした。——が、見れば、何のことはない、要するに、軽自動車とオートバイが接《せつ》触《しよく》して、ドライバー同士が大喧《げん》嘩《か》をしているのだ。
 オートバイのほうは革《かわ》ジャンパーの若者、自動車のほうは、どこかの商店の親父《おやじ》さんというところだ。
 「まあ、少し二人とも頭を冷やして——」
 と、警官が困ったように言った。
 「冗《じよう》談《だん》じゃねえよ! こっちは商売道具なんだ、傷《きず》つけられちゃ、たまったもんじゃーねえ!」
 「何だ、そんなボロ車! もともと傷だらけじゃないか」
 「何だと、てめえ——」
 と、つかみかかる。
 「やめろってば! おい!」
 ——克彦は、待っていた夏美の所へ戻《もど》って、事情を説明した。
 「よかった! まさか、とは思ったけど……」
 と、夏美が胸を撫《な》でおろす。「じゃ、行きましょう」
 二人が角を曲がって歩いて行くと、例の二人は、まだ怒《ど》鳴《な》り合っていた。
 「この家だわ」
 ごく当たり前の——というか、むしろ最近ではあまり見ない、日本的な古い木造の家である。
 もちろん、近年は木造のほうが豪《ごう》華《か》ということになっているが、これはそんな家ではない。ただ、古ぼけているだけだ。
 格《こう》子《し》戸《ど》の玄《げん》関《かん》へ入ると、
 「ごめん下さい」
 と、夏美は声をかけた。
 「はあい」
 すぐに返事があって、出て来たのは、かなり太った、呑《のん》気《き》そうな女性。黒いスーツが、やけに窮《きゆう》屈《くつ》そうだった。
 「まあ、夏美さん! 見《み》違《ちが》えちゃったわ。そういう格《かつ》好《こう》してると、分からないわね」
 「すみません、お電話したんですけど、お出にならないので、来ちゃいました」
 「ああ、ごめんなさい。私、買物を忘れちゃって、外へ出てたの。さあ、上がって」
 と、言って、克彦に気付き、「あら、この子は?」
 「彼《かの》女《じよ》のファンの一人です」
 と、克彦は、至って謙《けん》虚《きよ》な言い方をした。
 「ちょっと事情があって、助けていただいてるんです」
 「まあ、そうなの。私、またどこかのニューアイドルかと思ったわ。さあ、どうぞ」
 克彦は、この一言で永原浜子のことがすっかり気に入ってしまった!
 「大変でしたね、永原さんのこと」
 と、畳《たたみ》の部《へ》屋《や》にカーペットを敷《し》いた居間に落ちつくと、夏美が言った。
 「あなたはよく知ってるでしょ。特別に、悲しいってことはないはずなんだけど……。でも——いい人だったからね。可哀《かわい》そうだとは思うわ」
 と、浜子は、お茶を出しながら言った。
 「お葬《そう》式《しき》はいつ——?」
 「まだ警察が遺体を返してくれないの。たぶん、二、三日かかるんじゃない? 検死解《かい》剖《ぼう》ってやつがあるわけだから」
 夏美は肯《うなず》いて、
 「たぶん——私はお葬《そう》式《しき》に出られないと思います。すみません」
 「いいのよ。気にしないで。それより、あなた自身が大変でしょ」
 「私、命を狙《ねら》われてるんです」
 「何ですって?」
 と、浜子が、ただでさえ大きな目を、もっと見開いた。
 夏美が、病院での出来事を説明して、
 「——ですから、こんな風に逃《に》げ回ってるんです」
 と言った。「本当なら、警察へ行って、正直に話をするべきでしょうけど、きっと信じてくれないと思うんです。あんな風に姿を消してしまったし——」
 「そうよ、やめなさい、警察なんて」
 と、浜子が顔をしかめた。「はっきりは言わないけど、あんたを疑ってるのよ」
 「そうでしょうね」
 「刑《けい》事《じ》がね、何度も来たのよ」
 と、浜子はもっと渋《しぶ》い顔になった。「何だか——倉——倉倉とかいう——」
 「クラクラ?」
 と、克彦が思わず訊《き》き返したとき、玄《げん》関《かん》の戸がガラガラと開く音がして、
 「失礼! 奥《おく》さん、おいでですか! 門《かど》倉《くら》刑事ですが」
 と、ちょっと間のびした声が飛び込《こ》んで来た。
 
 ここじゃないのかな? 千絵はキョロキョロと周囲を見回した。
 代々木公園の一角。——あまり人の通ることのない場所である。
 夏美から、詳《くわ》しく場所は聞いて来たつもりだった。相手は、若い女性一人。
 すぐ分かると思っていたのだが……。
 向こうが、何かの都合で遅《おく》れているのかもしれない。少し待ってみよう。
 千絵は、コンクリートの花《か》壇《だん》の端《はし》に、チョコンと腰《こし》をおろした。
 「——いよいよ謎《なぞ》ね」
 女は怖《こわ》いというか、冷静というか、千絵のほうは、兄と違《ちが》って夏美にイカレてるわけではないので、割合に客観的に事態を眺《なが》められる。
 もちろん、千絵とて、星沢夏美を助けたいとは思っている。しかし、一方では、全面的に彼《かの》女《じよ》の話を信じる気にはなれないのである。
 病院での出来事は事実だろう。特に、屋《おく》上《じよう》で殺されかけたことも。
 しかし、それで、夏美が病院を出て来てしまったというところが、どうも引っかかるのである。
 人間、そういう時には、冷静な判断ができないのかもしれないが、しかし、自分が疑われる、と思う前に、死体を見付けたりしたら、大声で助けを求めるのが普《ふ》通《つう》じゃないかしら?
 しかし、夏美はそうしなかった。そして、病院を脱《ぬ》け出した。——なぜ?
 今、警察は、夏美を指名手配してはいない。一応重要参考人にでもするのが当然のような気もするが、なぜか、それもしていないのである。
 つまり、本《ヽ》当《ヽ》に《ヽ》夏美が疑われているとは限らないのだ。
 でも、夏美は疑われていると思っているらしい。——本当に?
 だとすれば、それは何か理由あってのことだ。つまり、夏美に、永原を殺す動機がある、ということである。
 だからこそ、夏美は、警察へ行かずに、自分で犯人を見付けたいのではないか。
 ——もう一つ、夏美が病院を出て来たのは、殺人の容《よう》疑《ぎ》をかけられるからでなく、何か他《ほか》の理由があったため、とも考えられる。
 何かは分からない。しかし、何か、外でやっておきたいことがあったのではないか。
 千絵には、もちろん他にも色々と妙《みよう》に思われることがある。その辺《へん》は、克彦など、もうきれいさっぱり忘れてしまっている。
 第一は、あの、克彦の録《と》って来たテープの歌声である。
 あれが本当に、夏美の声だとしたら、なぜ夏美は歌が巧《うま》いのを隠《かく》して、わざと下手《へた》に歌って聞かせているのか。
 そして、あのオペラのアリアらしい歌の意味は?
 それから、夏美が手首を切って、自殺を図《はか》ったこと。
 本気ではあったろう。しかし、実際には、ああして、克彦たちと元気に歩き回っているのだ。
 考えようによっては、あれは狂《きよう》言《げん》だったのかとも、思えて来る。
 「そこまで言っちゃ、気の毒《どく》かな」
 と、千絵は呟《つぶや》いた。
 でも、推理は非情なのだ。その可能性は否定できない。狂言なら、その理由が何だったのか、という問題は残るが……。
 ともかく——これは、一見して単純に見える事件だが、何か裏があるはずだ。見かけ通りの事件でないことだけは、確かである……。
 誰《だれ》かが歩いて来た。
 来たのかな? 顔を上げると、人違《ちが》いだった。ともかく、男だったのだから、大内朱子のはずがない。
 四十がらみの、ちょっとガラの悪い感じの男だった。
 千絵は目をそらした。男が足を止める。
 千絵は男を見た。
 「何ですか?」
 「星沢夏美……」
 「え?」
 千絵がちょっと面《めん》食《く》らって、「じゃ、あなた、大内朱子さんの——?」
 「やっぱりそうか」
 男は肯《うなず》いて、「さすがに可愛《かわい》いや」
 「え?」
 千絵は目をパチクリさせた。
 「一《いつ》緒《しよ》に来てもらうぜ」
 と、男が言った。
 「私、人と待ち合わせてるんです」
 「こっちにも待ってる人がいてね」
 と、男は言った。
 ナイフが、千絵のわき腹《ばら》へ、ぐいと突《つ》きつけられた。
 「分かったわ」
 と、千絵は、さすがに青くなって言った。
 まだ、生まれて一度も手術というものを受けたことがないのだ。しかも、こんな素《しろ》人《うと》(?)にお腹《なか》を切られちゃかなわない!
 千絵は、男に促《うなが》されて、歩き出した。
 
 「——あの、刑《けい》事《じ》さん」
 と、永原浜子が、門倉刑事にお茶を出しながら言った。「夏美さんを犯人だと思ってるんですか?」
 門倉は、ちょっと心外という面《おも》持《も》ちで、
 「いつ、私がそんなことを言いました?」
 と訊《き》き返した。
 「いえ——ただ——何となくそう思ったんですの。だって、こんなに度《たび》々《たび》おいでになって、夏美さんのことを、あれこれお訊きになるんですもの」
 「これは単に、聞き込《こ》みの一部に過ぎませんよ」
 「そうですか」
 浜子は、自分も腰《こし》をおろして、「じゃ、今日はどういうことで?」
 「お断りしておきますが——」
 と、門倉は改《あらた》まって、「警察は、決して単なる勘《かん》で、こいつが犯人だろうという見《み》込《こ》みをつけて、捜《そう》査《さ》しているのではありません」
 「はあ……」
 「中には、そういう者がいるのは事実です。しかし、少なくとも、この私は違《ちが》います」
 門倉は、なぜか胸を張って堂々と(?)言った。そして、手帳を開くと、
 「星沢夏美の好きな食べ物は?」
 と、言った。
 奥《おく》の部《へ》屋《や》で話を聞いていた克彦と、当の夏美は、思わず顔を見合わせた。
 「何だい、あの刑《けい》事《じ》?」
 と、克彦が訊《き》いた。「あんなこと訊いて、事件と何か関係あるのかなあ」
 「シッ! 大きな声出さないで。——分からないわよ、刑事なんて、何を考えてるんだか」
 ——門倉は、浜子が、
 「スパゲッティ、ラーメン、ザルソバ……。そうね、大《だい》体《たい》め《ヽ》ん《ヽ》類が好きでしたよ」
 と言うのを、せっせと手帳に書き取っていた。
 「ラーメンは、ただのラーメンですか? 塩ラーメン、みそラーメン、チャーシューメンなど色々ありますが」
 「その都度、あれこれ……。でも、そんなことが何か役に立つんですの?」
 「事件解決の鍵《かぎ》はどこにあるか分からないんですよ」
 「はあ。でも——」
 「甘《あま》いものと辛《から》いものでは、どっちが好きでしたか?」
 門倉は真《ま》面《じ》目《め》に質問を続けた。
 「さあ……。あんまり太らない体質のようでしたけど、でも、やっぱり若い子ですから、甘いものも食べてたようです」
 「和《わ》菓《が》子《し》とケーキでは?」
 「どっちかといえばケーキでしょうか」
 浜子は、もはや諦《あきら》め顔である。
 「なるほど」
 と、門倉は手帳へ、きちんと書きつけ、「では次に着るものについてですが——」
 「刑《けい》事《じ》さん」
 と、浜子は言った。「下着の色までお訊《き》きになりたいんでしたら、私より、付《つき》人《びと》の大内さんにお訊きになったほうがいいと思いますよ」
 「なるほど」
 と、門倉は肯《うなず》いて、「しかし、証《しよう》言《げん》は複数で、というのが原則です。——で、彼女の下着の色は?」
 ——答える前に、浜子は長々とため息をついた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%