日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

失われた少女07

时间: 2018-09-10    进入日语论坛
核心提示:7 過《か》 去《こ》 「誰《だれ》が来たって?」 警《けい》視《し》庁《ちよう》捜《そう》査《さ》一課の警部、小池は、
(单词翻译:双击或拖选)
 7 過《か》 去《こ》
 
 
 「誰《だれ》が来たって?」
 警《けい》視《し》庁《ちよう》捜《そう》査《さ》一課の警部、小池は、面《めん》倒《どう》くさそうに顔を上げた。
 「村上という名で——何だか、小《こ》柄《がら》で、チンチクリンな感じの男です」
 若《わか》い刑《けい》事《じ》が、至《いた》って正直な印象を述《の》べた。
 「村上?」
 小池はちょっと考えて、「まさか……」
 と呟《つぶや》いた。
 「しかし、小柄でチンチクリンか。少し禿《は》げているか?」
 「いえ、大分禿げてます」
 と、訂《てい》正《せい》して、「忙《いそが》しいから、と断《ことわ》りましょうか?」
 「いや、待て。行ってみる。——廊《ろう》下《か》にいるんだな?」
 「部屋に通すほどのこともない、と思ったので」
 「そうかもしれんな」
 小池はニヤリと笑《わら》った。「おい、一時間ほど戻《もど》らんかもしれんぞ」
 「はあ?」
 キョトンとしている部下を後に、小池は廊下に出て周囲を見回した。
 「やあ、小池さん」
 ドアのすぐわきに、村上が立っていた。
 「やっぱりあんたですか!」
 小池は、村上の手を握《にぎ》りしめた。
 人一倍大《おお》柄《がら》な小池と、小柄な村上では、まるで大人《おとな》と子《こ》供《ども》のようだった。
 「久しぶりですな」
 と、小池は、ポンと村上の肩《かた》を叩《たた》いた。
 村上が、危《あや》うくよろけそうになる。
 「——忙《いそが》しいところを申《もう》し訳《わけ》ない」
 「いや、村上さんのためなら、凶《きよう》悪《あく》犯《はん》だって待たせときますよ」
 と、小池は豪《ごう》快《かい》に笑《わら》った。「ちょっと、どこか静かな所へ行きましょう」
 「いいですな。——実をいうと昼飯を食べ損《そこ》なって」
 「何だ、そいつはいかん。近くに旨《うま》いうなぎ屋がある。行きましょう」
 村上は、ちょっと考えて、
 「ランチはありますか?」
 と訊《き》いた。
 ——そのうなぎの店で、うな重《じゆう》を一つ平らげると、村上は、やっと、一息ついた。
 「電話一本もらえば、迎《むか》えに行ったんですよ」
 と、小池はお茶をすすりながら言った。
 「いや、それは悪いですからね」
 と、村上は言って、「——お茶を下さい」
 店の女の子に声をかけた。
 「もう五、六年前になりますね」
 と、小池は言った。
 ある殺人事《じ》件《けん》に関連して、村上の力を借りたことがあったのだ。このパッとしない、小《こ》柄《がら》な体《たい》躯《く》に、恐《おそ》ろしい力が秘《ひ》められていることを、小池はそのとき、学んでいたのである。
 「七年前ですよ」
 と、村上は言った。
 「もう、そんなになるかなあ。——お互《たが》い、年齢《とし》を取るはずだ」
 と、小池は笑《わら》った。
 「頭が薄《うす》くなって、風邪《かぜ》をひきやすくなりました」
 と、村上は真《ま》面《じ》目《め》くさった顔で言った。
 「ところで、どうして東京へ?——仕事ですか」
 と、小池が訊《き》いた。
 「ええ。まあね。ちょっと教えていただきたいことがあって」
 「私《わたし》が村上さんに? そいつは光栄だな。何の件《けん》です?」
 「実は、四年前のことですが、伊《い》波《ば》伸《しん》二《じ》という作家の妻《つま》が殺されたでしょう」
 「あの件ですか」
 と、小池は、ちょっと目を見開いた。「よく憶《おぼ》えてますよ。——残念ながら、迷《めい》宮《きゆう》入《い》りになったが」
 「その件を、小池さんが担《たん》当《とう》されたとか——」
 「ええ、そうでした」
 「はっきり言って、伊波がクロという確《かく》率《りつ》はどのくらいありました?」
 「そうですねえ」
 と、小池は考え込《こ》んだ。「何と言っていいのか……」
 「もちろん、これは公式にうかがっているわけじゃありませんよ」
 「それは分っています。私が難《むずか》しいと言うのは——当時、伊波が不《ふ》起《き》訴《そ》処《しよ》分《ぶん》になった段《だん》階《かい》では、九十九パーセント、いや百パーセント、伊波が犯《はん》人《にん》に違《ちが》いない、と信じていましたよ」
 「それは当然でしょうな」
 「しかし、今となっては……」
 「今は?」
 ——小池は、しばらく黙《だま》っていたが、やがて、腕《うで》時《ど》計《けい》を見ると、
 「今夜は私の家へ泊《とま》って下さい」
 と言い出した。
 「いや、どこか安いホテルを取りますよ」
 「ゆっくり話をするには、私の家が一番ですから」
 と、小池は言い張《は》って、村上に承《しよう》知《ち》させてしまった。
 「——申《もう》し訳《わけ》ありませんね」
 「いや、とんでもない。明日は戻《もど》られるんでしょう? 列車の手配は任《まか》せて下さい」
 「そんなことは——」
 「駅まで送りますよ。——ともかく、大事なお客様だ」
 小池はそう言って、ニヤリと笑《わら》った。
 「分りました。お言葉に甘《あま》えましょう」
 と、村上は肯《うなず》いた。
 二人は外へ出た。
 「——今日は早く帰れると思います。どこか他へ回られる所があれば」
 「ええ。二、三、人に会う用事もありましてね」
 と、村上は言った。「警《けい》視《し》庁《ちよう》へまた顔を出しますよ」
 「六時ごろに来て下されば、もう手が空いていると思います」
 「そうしましょう」
 と、村上は肯いた。「ところで、お宅《たく》は——確《たし》か、前にお会いしたとき、奥《おく》様《さま》を亡《な》くされたばかりでしたね」
 「ええ」
 と、小池は肯いた。「最近、再《さい》婚《こん》しましてね」
 「ほう。それはおめでとうございました」
 「いやいや」
 小池は、柄《がら》にもなく、ちょっと照れている様子だった。
 「——では、私はここから地下鉄に乗りますから」
 村上はそう言ってから、「女《によう》房《ぼう》に言われて来たんですが、六《ろつ》本《ぽん》木《ぎ》の何とかいうケーキ屋のクッキーを買って来い、と。どの辺ですかね?」
 と訊《き》いた。
 
 「——さあ、どうぞお上り下さい」
 と言われて、村上はちょっとためらってしまった。
 「さあさあ、上って上って」
 と、小池にせかされるようにして、上り込《こ》む。
 「女房の律《りつ》子《こ》です」
 と、小池が紹《しよう》介《かい》したのは、まだ二十代——せいぜい三十になるかならずの、若《わか》々《わか》しい美人だった。
 「どうも。村上です」
 と、頭を下げる。「律子さん、とおっしゃるんですか?」
 「はい」
 その若《わか》妻《づま》と小池が、ちょっと目を交わした。
 「さすがは村上さんだ」
 と小池は言った。「お気付きですな。律子の旧《きゆう》姓《せい》は和田というのです」
 「すると——」
 「そうですよ」
 と小池が肯《うなず》く。「律子は、伊波伸二の、問題の愛人だったのです」
 ——村上は、律子の手料理に、舌《した》つづみを打った。
 「いや、大したもんだ! 小池さん、いい奥《おく》さんをもらわれましたな」
 「そう言って下さると嬉《うれ》しいですな」
 「こんなに料理の上手《うま》い女《じよ》性《せい》なら、伊波の愛人でなく、祖《そ》母《ぼ》だって結《けつ》婚《こん》したいくらいですよ!」
 村上の言葉に、小池も律子も大《おお》笑《わら》いした。村上は、巧《たく》みに、固くるしくならずに話を始めるきっかけを作ったのだった。
 「——じゃ、あの人は、今、そんな所に引っ込んでいるんですの?」
 と、律子は話を聞いて目をパチクリさせている。
 「意外ですか」
 「いえ。——でも、都会の暮《くら》しに慣《な》れた人ですもの。そんな所じゃ、不便でしょうに……」
 「すると村上さん」
 と、小池が言った。「その謎《なぞ》の血《けつ》痕《こん》の一《いつ》件《けん》が、伊波と関係あり、とみておられるんですね?」
 「いや、そうじゃないのです」
 村上はあわてて手を振《ふ》った。「おそらく、関係ないでしょう。しかし、調べている内に、妙《みよう》なことが分って来ましてね」
 「といいますと?」
 「今、お話しした通り、伊波の様子を、監《かん》視《し》させていたんです。といっても、地元の警《けい》察《さつ》では、張《は》り込《こ》みをするような人手はありませんから、どうしてもちょくちょく見回る、というくらいなんですが」
 「何かやったんですか」
 「女がいるんですよ」
 「まあ」
 と、律子は言った。「それなら別に不思議でも何でも——」
 「それはそうです。しかし、その女が、まるで外へ出て来ない、というのは、妙じゃありませんか」
 「顔を出さないんですか」
 「全く、です。ためしに、伊波が出かけたときを狙《ねら》って電話してみたのですが、電話にも出ない」
 「どんな女ですの?」
 と、律子は訊《き》いた。
 「分りません。見たことがないのです」
 「じゃ、どうして女がいる、とお分りになりましたの?」
 「伊波が町へ買物に出たのです」
 と、村上は言った。「ちょうど、酒井という若《わか》い巡《じゆん》査《さ》がいまして、非番だったのですが、伊波のことを見《み》張《は》っていたわけです」
 「で、尾《び》行《こう》した、と——」
 「伊波はいつも一番近い町のスーパーで買物をします。まあ、当然のことでしょうけどね……。あ、奥さん、申《もう》し訳《わけ》ありませんがお茶を——」
 「はい。失礼しました」
 「いや、お茶までおいしいような気がしますよ」
 と、村上はため息をついて、「うちの古《ふる》女《によう》房《ぼう》などは、淹《い》れるお茶まで出がらしで……。いや、失礼」
 律子がクスクス笑《わら》っている。
 「ところが、その日は、伊波が、わざわざ三十キロもある隣《となり》の町へ出かけて行ったのです」
 と、村上は続けた。「そこで、酒井は、伊波が何の買物をするか、見ていたのです」
 「何でしたの?」
 「何だか、やけに汗《あせ》をかきながら、女の店員にメモを渡《わた》して、これだけの物をくれ、と言ったそうです。——女店員が両手にワンサとかかえて来たのは——女物の衣類だったんです」
 「衣類、といいますと……」
 「下着からブラウス、それにパジャマまで、全部です。加えて、ローションだのシャンプー、生理用品まで買って行ったのですよ」
 「じゃ、本当に女《じよ》性《せい》がいるんですね」
 と、律子は肯《うなず》いた。「もうこりたと思ってたのに!」
 「しかし、なぜ女が自分でそれを買いに出なかったのかな?」
 と、小池は言った。「隣の町なら、別に構《かま》わんと思いますがね」
 「そこなんですよ」
 と、村上は言った。「伊波としては、恋《こい》人《びと》がいることを隠《かく》しておく必要はないと思うのです。伊波に今、恋人ができても、誰《だれ》も文《もん》句《く》はいいません。それなのに——」
 「なぜ女は出て来ないのか」
 「その通りです」
 小池は、ちょっと顎《あご》を撫《な》でて、
 「で、四年前の事《じ》件《けん》と、何か関連があるかもしれん、と思われたんですね?」
 「そうなんです」
 「分ったわ」
 と、律子が言った。「村上さんは、その女が四年前の恋人——つまり、私《わたし》かもしれない、と思われたんですね」
 「いや、これは鋭《するど》い!」
 村上は、ポンと禿《は》げた頭を叩《たた》いた。
 「なるほど。それなら、顔を隠《かく》すのも、分らないでもない……」
 「ああまですることはないでしょうがね。——しかし、ともかくそのカンは見事、大《おお》外《はず》れ!——ですな」
 と、村上は笑《わら》った。
 「でも、妙《みよう》な話ですのね」
 律子は、食事の後《あと》片《かた》付《づ》けをしながら言った。
 「——もし、あの女が、昔《むかし》の恋人でなかったら、ぜひ、昔の恋人に、会って話して行こうと思っていたんです」
 と、村上は言った。
 「私に何か?」
 「つまり——いや、今、こうやってお会いすると、質《しつ》問《もん》しても仕方ない、と思うんですがね」
 「どうぞ、何なりと」
 律子は、村上の前に座《すわ》った。
 「いや、つまり——あのとき、伊波のアリバイを証《しよう》言《げん》したのは、あなた一人でしたね」
 「そうです」
 「あれは、総《すべ》て事実だったんですか」
 律子は、静かに肯《うなず》いた。
 「はい。あの人は奥《おく》さんを裏《うら》切《ぎ》ってはいたかもしれませんが、殺してはいません」
 「すると、完全なアリバイがあったわけですね?」
 「完《かん》璧《ぺき》です」
 「途《と》中《ちゆう》抜《ぬ》け出して、とか——」
 「トイレに立った五分間ぐらいですわ。でも、その間に奥さんを殺すには、超《ちよう》音《おん》速《そく》ジェットにでも乗っていかなくては、とても不《ふ》可《か》能《のう》です」
 「なるほど」
 村上は肯いた。「いや、よく分りました。——してみると、結《けつ》論《ろん》は一つだ」
 「といいますと?」
 「いや、伊波の所に女がいる、それは確《たし》かです。しかし、伊波には、女を隠《かく》す必要はない……」
 「つまり……」
 「女の方に隠れる必要がある、ということです」
 と、村上は言った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%