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失われた少女20

时间: 2018-09-10    进入日语论坛
核心提示:20 不運な日 「一《いつ》旦《たん》、本部に戻《もど》るよ」 と、村上は言った。「本部長がカンカンだからな」 「申し訳《
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 20 不運な日
 
 
 「一《いつ》旦《たん》、本部に戻《もど》るよ」
 と、村上は言った。「本部長がカンカンだからな」
 「申し訳《わけ》ありません」
 と、巡《じゆん》査《さ》部長が恐《きよう》縮《しゆく》する。
 「仕方ないさ。ともかく、連《れん》絡《らく》を密《みつ》接《せつ》に取るようにしてくれ」
 「はい」
 村上はパトカーに乗り込《こ》んだ。
 「本部にやってくれ」
 と、巡査に声をかけ、座《ざ》席《せき》で目を閉《と》じる。
 胸《むね》の痛《いた》みが、消えない。——やはり、無《む》理《り》がきかない年《ねん》齢《れい》なのだ。
 パトカーが雪をかき分けるようにして、走り出す。
 交《こう》替《たい》してもらうかな、と村上は思った。しかし、首の骨《ほね》を折《お》って死んでいた酒井のことを思うと、そんなことを言ってはいられないという気になる。
 ——まずいことになった。
 応《おう》援《えん》に来ていた県《けん》警《けい》の刑《けい》事《じ》を、地元の署《しよ》の巡《じゆん》査《さ》が、誤《あやま》って撃《う》ってしまったのである。
 合図、その他で、連《れん》絡《らく》が不《ふ》徹《てつ》底《てい》だったのと、凶《きよう》悪《あく》犯《はん》を追うことに慣《な》れていないので、若《わか》い巡査が怯《おび》えていたせいでもあった。
 焦《あせ》りがあると、こんな有《あり》様《さま》だ、と村上は思った。
 焦るとろくなことはない。それは良く分っていた。
 しかし、のんびり構《かま》えて、犯《はん》人《にん》の次の凶《きよう》行《こう》を許《ゆる》せば、その責《せき》任《にん》は、現《げん》場《ば》のリーダーにかかって来るのだ。
 損《そん》な役回りだな、と村上は思った。
 幸い、撃たれた刑事の方も、腕《うで》に軽いけがをしただけで済《す》んだが、現場に何となく、ぎくしゃくした気分が残るのが、実は一番怖《こわ》いのである。
 村上は、いつしか眠《ねむ》り込《こ》んでいた。
 ——揺《ゆ》さぶられて、ハッと目を覚《さ》ましたが、同時に胸《むね》の鋭《するど》い痛《いた》みに、思わず呻《うめ》いた。
 「警部! どうしました?」
 部下の刑事が、心配そうに覗《のぞ》き込んでいる。
 「いや——大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》。神《しん》経《けい》痛《つう》だよ」
 村上は首を振《ふ》って、パトカーから降《お》りた。
 「小池さんという方から、さっきお電話がありました」
 と、刑事が言った。「すぐにあちらを発《た》つということでした。何か、面《おも》白《しろ》い事実をつかんだから、楽しみにしていてくれと——警部!」
 村上は、階《かい》段《だん》を上ろうとして、激《げき》痛《つう》に、そのままうずくまってしまった。
 立つこともできない。——警部、と呼《よ》ぶ部下の声が、少しずつ遠ざかって行く。
 ベルトコンベアに乗せられて、どこかへ運ばれて行くようだった。暗いトンネルの、奥《おく》へ、奥へと……。
 
 ついていないときは、ついていないものだ。
 雪に腰《こし》まで埋《うま》りながら、浜《はま》田《だ》巡《じゆん》査《さ》は、息を切らしていた。
 今日は非番で、風邪《かぜ》気《ぎ》味《み》だったので、久しぶりに布《ふ》団《とん》に入っていた。——まだ独《どく》身《しん》の二十五歳《さい》としては、恋《こい》人《びと》とのデートが一番の楽しみだが、今日はそれすら気が向かないほど、参っていた。
 そこへ、この騒《さわ》ぎである。呼び出されれば、いやとも言えない。仕方なしに出て来たが、まさか山《やま》狩《が》りとは思わなかった。
 どこかに出かけていれば良かった、と悔《くや》んだが、今さら遅《おそ》すぎる。
 仕方なしに、雪の林の中を歩き出したら、すぐ近くで発《はつ》砲《ぽう》があって仰《ぎよう》天《てん》した。間《ま》違《ちが》いだったわけだが、おかげで浜田たちまで、散々どやしつけられてしまった。
 こっちは休みに出て来てるというのに!
 浜田はブツブツ言いながら、立ち止って、一息入れていた。
 林の中を歩く内、少しずつ人も散って来るし、早い者、遅い者、色々あるので、いつしか、周囲には人の姿《すがた》がなくなってしまった。
 首をのばして前方を見ると、ポツン、ポツン、と黒い人《ひと》影《かげ》が動いている。
 「まあいいや。こっちはのんびり行くさ」
 と呟《つぶや》いて、また歩き出す。
 しかし、とんでもない奴《やつ》だなあ、と浜田は思った。
 トラックの運転手にしても警《けい》官《かん》にしても、少なくとも普《ふ》通《つう》の会社員などに比《くら》べれば、体も丈《じよう》夫《ぶ》だし、力もあるだろう。それを殺してしまった。——しかも一人は、投げつけられて死んだ。
 凄《すご》い力だ。そんな怪《かい》物《ぶつ》に出くわしたら、運が悪かったと思うしかない。
 できるだけ後からついて行くというのも、安全のための一つの手である。
 そうさ。死んじまったら、人生おしまいだものな。いくら、死んでから昇《しよう》進《しん》させてくれても、ちっともありがたくなんかない。
 安全第一だもんな。——浜田とて、もっと体調のいいときなら、もう少し、公《こう》僕《ぼく》らしい発想をしたのだろうが、ともかく、今は早く家へ帰って、布《ふ》団《とん》に潜《もぐ》り込《こ》みたかった。
 「ちょっと遅《おく》れすぎたかな」
 いささか気がひけて、浜田は足を早めながら、前方へ目をやった。——とたんに、足下の雪がゴッソリ抜《ぬ》け落ちて、二メートル近くも下に落ちてしまった。
 「ワッ!」
 と思わず声を上げる。
 が、ただ、雪の中にドサッと落ちただけで済《す》んだ。
 「ああ、びっくりした。畜《ちく》生《しよう》!」
 と、胸《むね》を撫《な》でおろす。
 なだらかな斜《しや》面《めん》に見えていたのが、実は岩があって、真っ直ぐに落ち込んでいたのだった。
 「やれやれ。——出られないじゃないか」
 雪の中で、あがいて、やっと起き上がる。腰《こし》の辺《あた》りまで、スッポリ埋《うも》れていた。這《は》い出すしかなさそうだ。
 近くに誰《だれ》もいなくて良かった、と浜田は思った。こんなざまを見られたら、笑《わら》いものにされる。
 しかし、浜田は間《ま》違《ちが》っていた。そばに誰かがいたということ。そして、その男は、浜田を笑いものなどにはしなかったということでは。
 ぐい、と肩《かた》をつかまれて、浜田は振《ふ》り返った。——男の顔があった。
 何だ、これは? どうしたんだ?
 浜田は戸《と》惑《まど》った。——岩の下が、空《くう》洞《どう》になっていて、そこに誰かがいたのだと分ったときには、浜田の首を、大きな手ががっしりと捉《とら》えていた。
 声を上げる間もなかった。——浜田の命は、男の両手で、簡《かん》単《たん》に握《にぎ》り潰《つぶ》されてしまった。
 ——確《たし》かに、ついていない日だったのである……。
 
 村上は目を開けた。
 白。——ともかく、白ばかりが目に入った。
 何だ、これは?
 「よく我《が》慢《まん》しましたよ、全く」
 という声がした。
 「肋《ろつ》骨《こつ》が折《お》れていたんですね?」
 どこかで聞いたことのある声。
 「相当痛《いた》んだと思うんですがね……」
 そうか。——ここは病院だったのだ。
 村上は思い出した。苦《く》痛《つう》で、気を失ったのだった。
 「やあ、気が付きましたか」
 顔を出したのは、小池だった。
 「小池さんか」
 「びっくりしましたよ。来るなり、村上さんが倒《たお》れたと聞かされて」
 「もう年齢《とし》ですな。頑《がん》張《ば》りがきかなくなってしまった」
 「何を言ってるんです! これだけ頑張るなんて、他の人にできることじゃありませんよ!」
 小池の力強い言い方に、村上の気分も、少し明るくなった。
 「まだ見付かりませんか」
 と、村上は訊《き》いた。
 「残念ながら、まだのようですよ。でも、村上さんはここで寝《ね》て、知らせが来るのを待ってりゃいいんです」
 「老兵はただ寝るだけ、ですな」
 と、村上は苦《く》笑《しよう》した。
 「一つ、おみやげを持って来ましたよ」
 小池は、椅子《いす》を引き寄《よ》せて、座《すわ》った。
 「ほう?」
 「柴田のことです」
 「ああ、ご主人の方が死んだとか——」
 「それだけじゃないんです」
 小池は、柴田徳子が、今度の、「雪男」の騒《さわ》ぎを聞いて、急にこっちへ向う気になったことを説明した。
 村上の目が輝《かがや》いた。
 「すると、この一《いつ》件《けん》と関《かかわ》りがありそうだというわけですね? それは面白い!」
 「でしょう? 夫《おつと》が死んで、まだ葬《そう》儀《ぎ》もしてないのに、こんな所へ来ているのです。よほどのことだと思いますよ」
 「おそらく——」
 と、村上は言った「行方《ゆくえ》不《ふ》明《めい》になった娘《むすめ》のことともつながるかもしれませんな」
 小池は、目を見開いた。
 「しかし、あの雪男が、どう関係すると——」
 「分りませんな」
 と、村上は首を振《ふ》った。「逮《たい》捕《ほ》してから、訊《き》いてみましょう」
 あっさり言うところが、村上らしい。
 この元気なら大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》だ、と小池は内心ホッとした。
 「そうだ。村上さん、奥《おく》さんには? 知らせてあるんですか?」
 「いや、とんでもない」
 と、村上は顔をしかめた。「こんなことを知らせたら、馬《ば》鹿《か》にされるに決《きま》ってますからね」
 小池は思わず笑《わら》い出してしまった。
 
 「——そろそろ夜だ」
 と、伊波は言った。
 ベッドでは、ウーンと伸《の》びをしながら、少女が起きたところである。
 「あの人は?」
 と、少女が訊《き》いた。「ご主人はもう着いたの?」
 「いや、まだのようだ」
 伊波は窓《まど》のカーテンを閉《し》めた。「気分はどう?」
 「別になんともないわ」
 「夕食はどうする?」
 少女は、ちょっと考えて、
 「部屋で食べたい。いけない?」
 と、伊波の顔を見る。
 「そりゃ構《かま》わないよ。出たくないのかい?」
 「あなたと二人で食べたいの。いつもの通りに」
 いつもの通りに、か。——伊波は微《ほほ》笑《え》んだ。
 「よし。じゃ、もう少ししたら、ルームサービスを頼《たの》もう」
 少女はTVを点《つ》けた。——子《こ》供《ども》向けのアニメの時間帯だった。
 「ねえ、何だか話をしてた、大男って、捕《つか》まったの?」
 「まだ捕まらないらしいぜ」
 「ふーん。このホテルを壊《こわ》しに来ないかなあ」
 「ゴジラじゃないんだぞ」
 と、伊波は笑《わら》った。
 ちょうどTVでは、何だか奇《き》妙《みよう》な格《かつ》好《こう》の怪《かい》獣《じゆう》が、ミニチュアの町を踏《ふ》み潰《つぶ》していた。
 「分んないわよ、あんな風に、やって来るかもしれない……」
 少女は、冗《じよう》談《だん》ともつかぬ口調で言った。
 そうだな、と伊波は思った。
 考えて見れば、この少女自身、伊波の生活へ乱《らん》入《にゆう》して来た「怪獣」みたいなものだ。
 まだ伊波の生活を破《は》壊《かい》してはいないが、しかし、そうしかねない、危《き》険《けん》な何かを、この少女は持っていた。
 電話が鳴る。伊波は手を伸《の》ばして、受《じゆ》話《わ》器《き》を取り上げた。
 
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