日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

死体は眠らない30

时间: 2018-09-14    进入日语论坛
核心提示:30 そして寝《しん》室《しつ》にて 「妙な話だね」 僕は首をかしげた。 「そうね。油断ならないわ」 「そうだ」 と肯いて
(单词翻译:双击或拖选)
 30 そして寝《しん》室《しつ》にて……
 
 「妙な話だね」
 僕は首をかしげた。
 「そうね。——油断ならないわ」
 「そうだ」
 と肯いてから、「どうして?」
 と訊く。
 「相手は馬鹿じゃないわ。だから、あえて、こっちの手の中へやって来るっていうのは、何《ヽ》か《ヽ》目的があるのよ」
 祐子は言った。
 ここは再び僕の寝室。——といって、妙な誤解は無用である。
 いくら僕でも、真昼間から、祐子とベッドへ入るようなはしたない真似《まね》は——たまにしかしない。
 ともかく、今は彼女と現状の分《ぶん》析《せき》に取りかかっていたのである。
 「しかし、たとえば向うが、人質をかかえているから平気だと思って来るんだとしたら……」
 「そんなことありえないわ。だって、もし逮《たい》捕《ほ》されなくても、顔を見られるし、それに、尾《び》行《こう》される危険だってあるわけでしょう?」
 「それはそうだね」
 「そんな危険を、好んで冒《おか》すのは、まともじゃないわ。——何か考えがあるのよ」
 「吉野の奴にでも訊いてみるか」
 と、僕はベッドにゴロリと横になった。
 突然、祐子は僕の上にかぶさって来ると、キスしてくれた。
 あわてて抱きしめようとしたときには、もう祐子は立ち上っている。
 「一体どうしたの?」
 僕は起き上って訊いた。
 「あなたの一言で分ったのよ」
 「へえ」
 僕はさっぱり分らない。
 「吉野さんよ! あの人が、金を盗むつもりなんだわ。でも、みんなは、外から来る者しか、用心していない」
 「なるほど」
 と僕は指を鳴らした。
 「ね? だから、向うも、そんな風に、わざと、こっちを挑《ちよう》発《はつ》するようなことを言っているのよ」
 「吉野の奴、ふざけたことをやるな、全く!」
 と言って、「——あれ? ところでお金の入ったバッグは?」
 「私が、ちゃんと金庫へしまったわ」
 「そうか。良かった! もう盗《ぬす》まれたかと思ったよ」
 「大丈夫よ」
 祐子は笑って、僕にキスした。「ここは一つ、この機会を利用しましょうよ」
 「利用? どういう風に?」
 「これまでは、いつも向うに出しぬかれて来たわ。でも今度は、こっちがあっちの手を読んでるのよ」
 「ふむ」
 よく分らないが、ともかく分ったような顔で肯く。
 「だから、金庫を見張るの。——吉野さんが、やって来たところを押《おさ》えるのよ」
 「そして——どうする?」
 「それは話し合いね。こっちもあっちの弱味を握《にぎ》ってるけど、こっちもあんまり強い立場じゃないわ」
 「それはそうだ」
 「だから、吉野さんが、一体何を狙《ねら》っているのか。そして、仲間は一体誰なのか。白状させるのよ。——その結果では、お互い、少しずつ損をしても仕方ないわ」
 「なるほど」
 彼女の話は、何となく良く分った(?)。
 ともかく、差し当りの問題は、どうやって金庫を見張るかということだった。
 金庫は、この寝室の棚《たな》の中にある。
 「吉野の奴、いつ頃《ごろ》、ここへ来るつもりかな」
 「さあ。ともかく、みんなの注意を、何かにそらすと思うわ。その間に、ここへやって来るつもりよ」
 「ふーん。注意をそらす、か……」
 「どうやるつもりか、それは分らないけどね——」
 と、祐子は言った。
 「君にも分らないことがあると分ると、安心するよ」
 「あら、それは皮肉?」
 と、祐子が、可愛い目で僕をにらんだ。
 「悪いことを言ったかな」
 「言ったわ」
 「じゃ、謝るよ」
 「お詫《わ》びにキスして」
 こういうお詫びなら、いくらでもしたい、と思った……。
 
 「犯人は、どういう風にやって来るか、分りません」
 添田は、少し異常なほど張り切っている様子だ。
 「じゃ、どうするんです?」
 と僕は一応訊いてやった。
 ともかく、誰かがそう訊かないと、怒り出しそうな様子なのだ。
 「ともかく、総《すべ》ての人間を疑え、ですよ」
 と、添田はニヤリと笑った。「任せて下さい」
 この男に任せると、ろくなことにはならない。それはよく分っているのだが、これでも一応刑事だから、好きなようにさせておく他はないのである。
 「じゃ、非常線でも張って——」
 と僕が言いかけると、添田は急にむつかしい顔になって、
 「それは極秘事《じ》項《こう》です!」
 と言った。
 大した極秘じゃないことぐらい分り切っているのだが。——それよりも、僕と祐子の作戦の方が、よほど極秘を要する。
 「さて、それでは——」
 と添田は、部下の刑事たちを集めると、僕の方へ、
 「民間人は出て下さい」
 と手を振った。
 これには頭へ来た。自分をよほどのVIPだと思っているらしい。
 大体、ここは僕の家だぞ!
 僕は仕方なく、台所へ行った。
 「あら、どうしたの?」
 祐子が、相変らず、優雅に立ち働いている。
 「いや、君に会いたくなってね」
 と僕は言った。「久しぶりじゃないか」
 「さっき上でキスしたばっかりよ」
 「もう十五分もたってる」
 と、彼女の腰《こし》に手を回すと、
 「だめよ、今は」
 と、身をよじる。
 その動きが、また色っぽくて可愛いのである。
 「ね、ともかく、そろそろ金庫の方に気を付けないと」
 「ああ、分ってるよ。じゃ、僕は上に行ってるからね」
 「そうね。じゃ、私も後から行くわ」
 「早く来てくれよ」
 と、台所を出ようとする。
 「待って。——おやつにケーキを作ったの。食べていく?」
 「そうかい? じゃ、一つ……」
 「遠《えん》慮《りよ》しないで。そこに紅茶もあるわ」
 「それじゃ、もらうよ」
 「私、刑事さんたちへ出して来るわ」
 「あんな奴らに食わせることないよ」
 「落ち着いて。大人になるのよ」
 大人になる、か。——そうだ。いや、全くだ。本当に事実だ。
 何を言ってるのか、自分でも分らなくなって来た。
 しかし、僕には多少頼《たよ》りないところがある。それは否定できない。
 この事件をきっかけに、大きく人間的成長をとげたが、それでも、まだ不充分なところはある。
 そうだ。——祐子を妻にしようとするからには、それにふさわしい男でなくてはならない。
 僕はケーキをじっと見つめ、紅茶のカップをじっと見つめた。——そして食べた。
 だが、急いで食べ、かつ飲んだ。あっという間に、おやつは終った。
 そうだ。早く金庫の所へ行っていなくては。——もし、みんなが祐子のケーキに気を取られている間に吉野が金庫へ手を出していたら。
 こうしちゃいられない!
 僕は、あわてて台所を飛び出したのである。——チラッと途《と》中《ちゆう》で居間を覗《のぞ》くと、祐子のケーキを、添田たちが奪い合っている、醜《みにく》い光景が目に入った。
 何が民間人は外へ、だ。美女は別、というつもりなのか。
 僕は二階の寝室へ上った。
 どこへ隠れていようか?——しかし、その問題には、それほど長く悩《なや》まずに済んだ。
 ともかく、戸《と》棚《だな》が沢山あるのだ。その一つを適当に開けて、中へ入る。
 誰か入って来れば音で分るだろう。
 ケーキのせいか、少々眠《ねむ》くなって来る。しかし、今、ここで眠るわけにはいかない。頑張らなくては!
 僕は、頭を振って、必死で眠《ねむ》気《け》と闘っていた。
 そこへ——誰かが入って来たのだ!
 少し眠気もさめて、僕は耳を澄《す》ました。
 「——まだ来てないかな」
 吉野の声だ!
 僕はゾクゾクして来た。見ろ! みごとにひっかかったぞ。
 「じゃ、僕もどこかへ隠れよう」
 どうやら、吉野は一人ではないらしい。
 そうでないと、やたら大きな独り言ということになってしまう。
 「その棚あたりかな。——でも大丈夫かなあ、本当に?」
 吉野の奴、誰と話をしているんだろう?
 「じゃ、そこにいるよ。でも——」
 と吉野は、ためらっているようで、「何だか落ち着かないよ。一応、戸棚全部、調べた方がいいんじゃないか?」
 僕はギョッとした。しかし、もう一人の方が首を振ったらしい。
 「そうかなあ。でももし、どこかにいたら……」
 もう一人が笑《ヽ》っ《ヽ》た《ヽ》。
 「笑った」ということは、声を出した、ということだ。
 そして当然、その声は僕の耳に入って来た。だが——僕の耳がその声を受け付けてから、その声が脳《のう》へ達するまで、しばし時間がかかった。
 まるで役所並みののろさだが、それも仕方ない。
 その声は、紛《まぎ》れもなく、祐子のものだったからだ。
 「大丈夫よ」
 祐子の声が言った。「あの人はまだ台所でケーキを食べてるわ。ともかく、意《い》地《じ》汚《きたな》い人なんだから」
 「金持なのに」
 「そんなものよ」
 と祐子は言った。「あの人といると疲れちゃう。——さ、入って。私、もう少しあの人を下へ引きとめておくから」
 「じゃ、合図してくれるんだね」
 「もちろんよ」
 祐子は、そう言って、「私が信用できないの?」
 ——この後、「祐子の声の女」と、吉野はキスをしたらしかった。
 「——さ、早く入って。いよいよ大《おお》詰《づ》めですからね」
 「ああ。うまくやるよ」
 「私たちの未来がかかってるのよ」
 祐子は、チュッとまたキスをして、戸棚へ吉野を押し込んだらしい。出て行く物音がした。
 そして、寝室は静かになった……。
 あれは祐子だったのか? 本当に?
 そして、「あの人」と言っていたのは——僕のことか?
 僕は戸棚の中で、眠いのも忘れて、ボンヤリと突っ立っていた……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%