日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

天使よ盗むなかれ13

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:13 むき出しの弁明 何だか、今日はよく落っこちる日だよ。 畑健吾は、ウトウトしながら考えていた。 一度は枝《えだ》が折れ
(单词翻译:双击或拖选)
 13 むき出しの弁明
 
 
 何だか、今日はよく落っこちる日だよ。
 畑健吾は、ウトウトしながら考えていた。
 ——一度は枝《えだ》が折れて落っこちて、もう一度は……。
 あれは夢だったのかなあ、目の前に、女の裸《はだか》が——。あんな夢を見るようじゃ、俺《おれ》も困ったもんだ。
 しかし——いやに体中が痛い。
 雨が降って来て……。そう、全身、ずぶ濡《ぬ》れになってしまった。
 中へ入ろうにも、あの変な犬はいるし、窓も鍵《かぎ》がかかっている。仕方なしに、雨樋《あまどい》を伝って、二階のひさしの下へと這《は》いずり込《こ》んだのだが——。
 ともかく、濡れた体でやたらと寒かったのだ。明りの点《つ》いた窓の方へ、狭《せま》い幅《はば》の出張りを伝って、何とか中へ入れないか、と、苦労していると、パッといきなりカーテンが開いて、女が——あれは細川加津子だった。
 そして着ていたものの前が開いて、その下は裸で……。あんなに詳《くわ》しい夢なんか見るものだろうか?
 そして——そう、俺は落っこちた。
 夢? 夢なんかじゃない!
 健吾は目を開けた。
「あ、生きてました」
 と、女の声がした。
「そう。足の裏をくすぐってみたら?」
 やめてくれ!——健吾はブルブルッと頭を振《ふ》った。
「残念。気絶してる間に、少しいたずらしてやれば良かったわ」
 と、言って、覗《のぞ》きこんだのは、マリだった……。
「僕《ぼく》は……」
「刑事《けいじ》さん」
 と、加津子が健吾の方へやって来て、言った。「女の部屋を覗くのも、お仕事の内なんですの?」
「い、いや、それは誤解です。ここは——」
「二階です」
 と、マリが言った。
 少しして、加津子が吹《ふ》き出した……。
「——ともかく、マリちゃんと二人で、ここへ運んで来るのは大変だったんですから」
 と、加津子は言った。
「いや、何とも申し訳ありません。雨に降られて、隠《かく》れる場所もなくなって」
 と、言って……。「あれ?」
 やっと気が付いた。——今、自分がいるのは、加津子の寝室《しんしつ》だ。そしてベッドに寝《ね》かされている。
「僕の……服は?」
 と、健吾は恐《おそ》る恐る訊《き》いた。
「濡れた挙句《あげく》に泥《どろ》だらけですよ。そんなもの着せたまま、そこへ寝かせるわけにいきませんわ」
 と、加津子は言った。
「これは——あなたのベッド?」
「ええ」
 毛布を肩《かた》までかけているが……。どうも、それ以外に、身につけているもの[#「もの」に傍点]の感触《かんしよく》がない。
「服を——脱《ぬ》がしてくれたんですか?」
「風邪《かぜ》引いて肺炎《はいえん》で死なれても、後味が悪いですから」
 と、マリが言った。
「どうも……。でも……パンツまで?」
「脱がしたのは、加津子さんです」
 と、マリが赤くなって言った。「私、そっぽを向いてましたから」
「お気がねなく」
 と、加津子は言った。「この年齢になると、男の裸なんて、見慣れてますわ」
「はあ……」
 健吾は、何とも情ない顔で、「濡れててもいいですから、僕の服を……」
「今、洗濯《せんたく》してます」
 と、マリが言った。「明日の朝までには乾《かわ》かしときます」
「その前に——」
 と、加津子が言った。「どうしてあんな所に隠《かく》れていたのか、それを説明して下さい」
「それは——雨が降って——」
「理由じゃなくて、目的[#「目的」に傍点]です。なぜ、見張ってたんです?」
「あの——それは仕事上の秘密で……」
「じゃ、あなたが私の寝室《しんしつ》を覗《のぞ》いた、と届け出ますよ」
「や、やめて下さい!」
 健吾は青くなった。
「じゃ、話して下さいな」
「分りました」
 健吾は、ため息をついた。
 そして、〈夜の紳士《しんし》〉が、明日ここへ忍《しの》び込《こ》むだろうと予想していること、マリが共犯らしいので、ずっと見張っていたことを、しゃべってしまった。
「——この子を共犯だなんて!」
 と、加津子は腹を立てて、「雨の中へ放り出しましょうか」
「あ、あの——できることなら、雨の中は遠慮《えんりよ》したいと思います」
 と、健吾は言った。
「でもね、疑われたのは、私じゃなくて、この子ですから。——マリちゃん、どうする、この人?」
「さあ……」
 と、マリは首をかしげた。「私、人を責めるのって、好きじゃないんです」
 天使なのだから、まあ当然のことである。
「聞きました? この子のことを、まだ共犯者だと思いますか」
「いや——その——」
 ともかく健吾は、丸裸《まるはだか》なので、何とも言葉が出て来ない。
「人間って、よく嘘《うそ》をつきますからね」
 と、マリは言った。「すぐには信じられなくても仕方ないと思います」
 健吾は、面食らって、マリのことを見ていた。——加津子は、肩《かた》をすくめて、
「マリちゃんがそう言うのなら……。明日、服が乾《かわ》いたら、ここを出て行って下さい」
「はあ」
「行きましょ」
 と、加津子は、マリを促《うなが》した。
「あの——」
 と、健吾は焦《あせ》って、「このままここに?」
「風邪《かぜ》引くでしょ、そのままじゃ」
 と、マリが言った。「お風呂《ふろ》がそこですから」
「バスルームがついてるから、ここへ運んだんですよ」
 と、加津子が言った。「出てますから、ゆっくりあったまって。バスローブを着てらっしゃい。寝《ね》る所は用意します」
「ど、どうも……。すみません」
 と、健吾は礼を言った。
 廊下《ろうか》へ出て、マリは、
「ご迷惑《めいわく》かけて、すみません」
 と、詫《わ》びた。
「いいのよ。退屈《たいくつ》しのぎで、面白いわ」
 と、加津子は言った。
「後で、シーツを換《か》えます」
「いいわ。寝る所はいくつもあるから」
 加津子の言う通り、来客用の部屋がいくつもあるので、その一つで寝ればすむわけである。
「じゃ……」
「もう寝て。明日、あなたは早いでしょ」
「すみません」
 マリは、ピョコンと頭を下げて、「おやすみなさい」
 と、歩いて行く。
「——マリちゃん」
 と、加津子は、呼んだ。
「はい」
「あなた……お母さんのこと、何か思い出した?」
 マリは、ちょっと当惑《とうわく》した様子だったが、
「いいえ、全然」
 と、首を振《ふ》った。
「そう。——おやすみなさい」
 加津子は、マリの姿が、階段を下りて、見えなくなるまで、見送っていた。
 
 ——長風呂といっても、これは特別だった。
 マリを見張りだして、初めての風呂だ。
 事情の複雑なことは、健吾もよく分っていたが、しかし、豪華《ごうか》なバスルームで、ゆったりと風呂に入る気持良さは、事情と無関係である。
 すっかりのんびりと湯につかって、一時間近くも入って、のぼせてしまった。
 大きな鏡の前で、ちゃんとドライヤーも用意してあるので、髪《かみ》を乾《かわ》かし、息をついた。
 バスローブ……。これか。
 裸《はだか》の上に、ローブを着る。——さっきは、これの紐《ひも》が外れて前がハラリと——。
 健吾は頭を振《ふ》った。
 しかし、あの女の話を真に受けるわけではないが、マリという娘、確かに変っている。父の勘《かん》を、信じないわけじゃない。だが、泥棒《どろぼう》の手引きをする娘《むすめ》には、とても見えない……。
 こんなことを言ったら、また親父《おやじ》に、
「甘《あま》い!」
 と、怒鳴《どな》られそうだが。
 バスルームを出ると、加津子が、ソファに腰《こし》をかけていた。こちらは、シルクのガウン。
 たぶん、僕《ぼく》の背広よりずっと高いだろうな、と健吾は思った。
「ずいぶん長かったのね」
「すみません。久しぶりで」
 と、健吾は恐縮《きようしゆく》して、「あの——ちゃんと洗っときました、浴槽《よくそう》」
「ご苦労様」
 と、加津子は微笑《ほほえ》んだ。
「それで——その——」
「ともかく、おかけなさい。顔がゆでダコみたい」
「はあ」
 確かに、頭がクラクラした、「失礼して……」
 健吾は、ベッドの上にドサッと引っくり返った。
「あなた、畑さん、っておっしゃるのね? もう一人の刑事《けいじ》さんの……」
「息子です」
「そう」
 加津子は肯《うなず》いた。「そうかな、とも思ったけど、あんまり似てないから」
「父とは似てないんです」
 と、健吾は言った。「同じ仕事はしてますが……」
「お父さんは、名刑事?」
「ええ。そりゃもう。——何度も表彰《ひようしよう》されてます」
「あなたは?」
「僕《ぼく》ですか」
 健吾は苦笑して、「へまばっかりで、ここへ来る前も、謹慎中《きんしんちゆう》でした」
「まあ」
 加津子は笑った。「あなた、そのお仕事には向いていないような気がするわ」
「そう言わないで下さい。やっと少しやる気が出て来たのに」
 加津子は、立ち止って、ゆっくりと、ベッドの方へ歩いて来た。
「犯人を見付けて、捕《つか》まえるのが、楽しいの?」
「そりゃまあ……。仕事ですから」
「そうは思えないわね」
「どうしてです?」
「あなた、そういうタイプじゃないみたい。犯人が見付かると、悲しくなるんじゃないの?」
 健吾は、ちょっと加津子から目をそらした。
「——私には関係ないことだけど」
 と、加津子はベッドに腰をかけた。「刑事になりたかったの?」
 健吾は、しばらく天井《てんじよう》を見上げていたが、やがて、軽く首を振《ふ》って、
「いいえ。——でも、父は、ともかく僕を刑事にしたかったんです」
「あなたの気持を無視して?」
「でも、そんなものでしょう、親って」
「そうかしら」
 加津子は、少し強い口調になって、「子供が、元気で成長しただけでも、幸せなんじゃないのかしら」
 と、言った。
 健吾は、ベッドに起き上った。
 少し、間があって、健吾は、咳払《せきばら》いすると、
「あの——僕の寝《ね》る部屋……。何なら、ソファでもどこでもいいですけど」
 と、言った。
「いいのよ」
 加津子は、健吾を見た。「そのまま、ここに寝て」
「でも……。ここはあなたのベッドでしょ。こんな立派なベッドじゃ、眠《ねむ》れませんよ」
「構わないのよ」
 加津子は立ち上った。「私も寝るから」
 健吾は、加津子がガウンを脱《ぬ》ぐのを、呆気《あつけ》に取られて見ていた。
「あの——」
「恋人《こいびと》は?」
「います……」
「心配しないで」
 加津子は、健吾の顔に、ゆっくりと顔を寄せて行った。「一晩だけの秘密。——誰《だれ》にも分らないわ」
「でも——」
 健吾の口を、加津子の唇《くちびる》がふさいだ。
 それきり、健吾は抵抗《ていこう》(?)しなかったのである……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%