日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

忘れられた花嫁20

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:20 明子の危《き》機《き》 「お嬢《じよう》さん」 と、声をかけて来たのは、一向にヤクザ風でもない、ごく普《ふ》通《つう
(单词翻译:双击或拖选)
 20 明子の危《き》機《き》
 
 「お嬢《じよう》さん」
 と、声をかけて来たのは、一向にヤクザ風でもない、ごく普《ふ》通《つう》の中年の主《しゆ》婦《ふ》だった。
 「私ですか?」
 と、明子は顔を上げた。
 A大学の裏《うら》門《もん》に近い、スナック。
 まだ昼前なので、ガラ空きである。
 「そう。——ちょっとお話があるの」
 明子は、困《こま》ったな、と思った。
 例の「アルバイト」の口をかけて来る人間に、見られようとして、ここ三日間、A大学の近くの店をうろついているのだが、一向に声もかからない。
 たまにかかれば、こんな、どこかのおかみさんタイプの女《じよ》性《せい》。
 きっと、生命保《ほ》険《けん》の話でもする気じゃないのかしら。
 いいとも言わない内に、その主婦は、明子の向いの席に座っていた。
 「あなたここの大学生なの?」
 「ええ」
 と、明子は肯《うなず》いた。
 「大学に行かないの?」
 「面白くないんだもの」
 と、明子は、ちょっとワルぶって見せた。
 「何をしてるわけ?」
 「何をしようかって考えてるの」
 「そうなの。でも、お金、あるの?」
 「少しならね」
 と明子は肩《かた》をすくめて見せた。
 「お金、ほしい?」
 「もちろんよ」
 これは、ちょっと怪《あや》しいな、と明子は思った。
 「いいアルバイトがあるの。どう? やらない?」
 「封《ふう》筒《とう》貼《は》り? あて名書き?」
 主《しゆ》婦《ふ》は笑《わら》って、
 「そんなんじゃ、一か月かかって、やっと何千円かよ」
 「アルバイトなんて、大体そんなもんじゃないの」
 「一時間で二万円。どう?」
 明子は、目をパチクリさせて、主《しゆ》婦《ふ》の顔を眺《なが》めた。
 この主婦が、売春のあっせん?——まさか!
 「どういうバイト?」
 と、明子は聞いた。
 「楽しいわよ。面白くてためになって、お金になるわ」
 明子は、フフ、と笑《わら》って、
 「じゃ、決ってるわね」
 と、言った。
 「そう。そ《ヽ》う《ヽ》い《ヽ》う《ヽ》バイトよ」
 と、主婦は微《ほほ》笑《え》んだ。
 「どうやって、相手と会うの?」
 「待って。その前に、言っとくけど、三万円の約《やく》束《そく》なの。その内、一万円をこっちへ納《おさ》める」
 「いいわ。もっとチップをもらったら?」
 「それはあなたのものよ」
 「へえ。——でも、何だか心配だな」
 「今は危《あぶな》い時期?」
 話が生々しくなって来て、明子はエヘンと咳《せき》払《ばら》いした。
 「そうじゃないけど——変な相手じゃいやだしさ。こう——まともじゃないのは」
 「その点は大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》。うちのお客は、上等だし、お金もあるわ。それに年《ねん》齢《れい》の行ってる人が多いから、上手よ」
 「そう?」
 「それに、若《わか》いのみたいに、ただやればいいってのと違《ちが》って、ムードがあるわ。絶《ぜつ》対《たい》に、楽しめるわ」
 明子は、迷《まよ》っているふ《ヽ》り《ヽ》をして、
 「でも、一つ心配なのよ」
 と言った。
 「なあに?」
 「暴《ぼう》力《りよく》団《だん》とかさ、そんなののヒモつきだと、あとで怖《こわ》いじゃないの」
 「その点は大丈夫」
 「でも、おばさんだって、責《せき》任《にん》者《しや》じゃないんでしょ?」
 「私は外交員よ」
 保《ほ》険《けん》だね、まるで。
 「上の人に会わせてよ。そしたら安心できるから」
 「それは、まず腕《うで》を見てから」
 「腕?」
 「そう。お客が満足して、また会いたい、って言うようなら、合格よ」
 明子は、ゴクリとツバを飲み込《こ》んだ。——こうなると、やめるわけにもいかなくなってしまう。
 「いいわ」
 と明子は言った。「じゃ、これが試験ってわけね」
 「じゃ、商談成立ね」
 と主《しゆ》婦《ふ》は、肯《うなず》いて、「待ってて」
 店の赤電話の方へ歩いて行くと、どこやらへ電話をしている。
 呆《あき》れたもんだわ、と明子は思った。
 あんな普《ふ》通《つう》の主婦が、こんな仕事をしているんだ!
 「はい。——じゃ、すぐにそこへ。——はい、それじゃ」
 主婦は急ぎ足で戻《もど》って来た。
 「良かったわ、ちょうど今、お客がいるの」
 「え?」
 「案内するわ。行きましょ」
 と促《うなが》される。
 明子は迷《まよ》ったが、ここで、いやだと言い出せば、もう声はかかるまい。
 何とかなるさ! 明子は椅《い》子《す》をずらして立ち上った。
 
 連れて行かれたのは、ちょっと小ぎれいなマンションの一階にある喫《きつ》茶《さ》店《てん》。
 主《しゆ》婦《ふ》は店に入って、中を見回すと、週《しゆう》刊《かん》誌《し》を開いている中年の男の方へ歩いて行った。
 「お待たせして」
 「君が?」
 と中年男が目を丸《まる》くした。
 「違《ちが》いますよ」
 と主婦は笑《わら》って、「入口に立ってる子です」
 と、明子の方へ目をやった。
 「いかがです?」
 「——うん、なかなかいい」
 と、中年男は肯《うなず》いた。「結《けつ》構《こう》だね」
 こっちはコケコッコーだわ。明子は、仏《ぶつ》頂《ちよう》面《づら》で立っていた。
 「じゃあ……」
 と主婦は明子の方へやって来ると、「一時間したら、ここに来て待ってるわ」
 と言って、ポンと肩《かた》を叩《たた》いた。
 「しっかりね」
 「どうも——」
 成り行きとはいえ、少々困《こま》った事《じ》態《たい》であった。
 中年男は、見たところ、そういやな男でもない。
 まずは上級のサラリーマンである。
 「出ようか」
 と、席を立ってやって来る。
 「はあ」
 どうしようか?
 明子が割《わり》合《あい》のんびりしているのも、いざとなれば、合《あい》気《き》道《どう》がある、と思っているからである。
 ともかく、まず、どこへ行くのかを確《たし》かめよう、と思った。
 それから、例の「相《あい》棒《ぼう》」の手がかりがつかめるかもしれない。
 ところが、その中年氏は、外へ出ずにそのままマンションのホールへと入って行ったのだ。
 「どこに行くの?」
 と、明子は訊《き》いた。
 「何だ知らんのか?」
 「ええ」
 「じゃ、本当に初めてなんだな」
 と、中年氏はニヤリと笑《わら》った。
 「このマンションの中に部《へ》屋《や》があるのさ」
 「ここに?」
 これは有力な手がかりだ、と思った。
 マンションであるからには、その部屋の持主がいるはずだからだ。
 よし、後で調べてみよう。
 エレベーターで四階に上る。
 「——四〇二号室だよ」
 と、中年氏が廊《ろう》下《か》を歩きながら言った。
 静かだった。どの部屋にも、人がいないのかしらと思うほどである。
 「ここだ」
 中年氏が鍵《かぎ》を出して、ドアを開ける。「この鍵が三万円とはね。——まあ、入って」
 明子は、上り込《こ》んだ。
 ごく普《ふ》通《つう》の、2LDKぐらいのマンションである。
 「ここがいつも?」
 と、明子は訊《き》いた。
 「ああ。他にもいくつか部屋があるんだ」
 「このマンションの中に?」
 「あちこちさ。——さあ、時間がない」
 いきなり後ろから抱《だ》きしめられて、明子はあわてて身をよじった。
 「あ、あの——ちょっと——いくら何でもムードが——」
 「なるほど」
 と中年氏はすぐに手をほどいて、
 「じゃ、アルコールをちょっとやろうか」
 「そ、そうね……」
 明子はホッと息をついた。
 どの辺でやっつけるかな。——もう少し聞き出してから。
 このおっさん、何度かここを利用しているらしい。
 「——さあ、カクテルだ。甘《あま》いからね」
 とグラスを二つ持って来た。
 アルコールなら、明子は少々のことではへばらない。
 「じゃ、乾《かん》杯《ぱい》だ」
 「ええ。——乾杯」
 と、明子はグッとグラスをあけた。
 頭がクラクラした。足がもつれる。
 手から、グラスが落ちた。立っていられない。
 「私——どうして——」
 明子は、床《ゆか》に座り込《こ》んでしまった。
 「薬に慣《な》れてないね」
 と、中年氏が楽しげに言った。「よく効《き》いたな」
 「薬ですって?」
 「そう。薬で動けなくなったところで楽しむのが好《す》きでね。——シャワーを浴びて来よう。その間に、君は身動きできなくなる」
 口《くち》笛《ぶえ》を吹《ふ》きながら、中年氏がドアの一つの向うへ消える。
 明子は這《は》って出口の方へ進もうとしたが、一メートルと行かずに、手足がしびれて、動けなくなってしまった。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%