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霧の夜にご用心17

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:ついて来る女 「心配かけてごめんなさい」 妙子は、やっと落ち着いた様子で言った。 ろくに食べていなかったらしく、手近な食
(单词翻译:双击或拖选)
 ついて来る女
 
 「——心配かけてごめんなさい」
 妙子は、やっと落ち着いた様子で言った。
 ろくに食べていなかったらしく、手近な食堂に入ったら、旨《うま》くもないカレーライスを二皿《さら》ペロリと平らげてしまった。
 「どうしたんだい、一体?」
 と私は訊《き》いた。「警《けい》察《さつ》でも、君を捜してるんだよ」
 「ええ、明日でも出向いて行って説明するわ」
 「何があったのか、話してくれよ」
 「私にだって良く分らないのよ」
 と、妙子は言った。「三〇四号室で、あなたが戻《もど》って来るのを待ってる内に、ウトウトしちゃったのね。——誰《だれ》かが入り込んで来たのよ。いきなり毛布をスポッとかぶせられて、どこかを殴《なぐ》られたら、アッサリ気を失って……」
 「相手が誰だか分らなかったの?」
 「全然。ハッとしたときにはもう毛布の中で」
 「それから?」
 「その後は、気が付いたら、あの店の中。もっと奥《おく》に、倉庫みたいな所があるのね。外へ出入りできる隠《かく》し戸もあるみたいなんだけど、そこに縛《しば》られて、転がされてたわけ。——しばらく放っておかれて、マリファナか何かのタバコを無理に喫《す》わされたり……。あんまり効《き》き目がないもんだから、直接注射してやると言って……。そこへあなたが来てくれたのよ」
 「間《かん》一髪《ぱつ》だったね」
 「命の恩人だわ、平田さんは」
 と、妙子が言った。
 私は、何だかくすぐったい気持になって、
 「——そうだ。お母さんが心配してるよ。連《れん》絡《らく》してあげたら?」
 「あ、そうだ! 十円玉を貸してくれる?」
 妙子は、自分の服に初めて気が付いた様子で、「——まあ、ずいぶん野《や》暮《ぼ》ったい格好してたのねえ」
 と呑《のん》気《き》なことを言った。
 怖《こわ》いもの知らずというのか……。私はつい笑《わら》い出さずにはいられなかった。
 「しかし、どうして君を裸《はだか》にして行ったんだろうね」
 と私が言うと、妙子は肩をすくめて、
 「どこかへ売り飛ばすつもりだったのかしらね」
 と気楽に言った。
 妙子を家まで送るべく、表に出てタクシーを停《と》めた。
 「さあ、乗って」
 と、妙子を乗せ、つづいて乗り込む。
 すると、どこにいたのか、もう一人、女が私の後から乗り込んで来た。
 「おい、何だ、君は?」
 と見て、「あ、さっきの——」
 あの店で私を誘《さそ》って来た若い女である。
 「一万円落としたから、拾って届けてやろうと思ったのよ」
 と女は言って、さっき私が投げてやった札《さつ》を取り出した。
 「それは君にやったんだ」
 「何もしないでもらえないわ」
 「ともかく降りろよ」
 「いやよ」
 「どうする気だ?」
 「私、さっきあなたを見ててしびれちゃったんだ。カッコ良かったよ!」
 「そいつはどうも。さあ、降りて」
 「いや! あんたについて行くんだ!」
 「何だって?」
 運転手がうんざりした顔で、
 「どこへ行くんですか?」
 と言った。
 妙子が家の場所を告げると、タクシーは走り出した。
 私は、妙子とその女、二人に挟《はさ》まれて座《すわ》っていた。——到《とう》底《てい》、「両手に花」なんて気分ではなかった。
 
 朝、いつもの時間に目が覚める。
 一人暮《ぐら》しは、何とも疲《つか》れるものだ。しかし、疲れるからといって、習慣を一度崩《くず》してしまうと、もう歯止めが効かなくなる。
 辛《つら》くとも、同じ時間に起き、顔を洗《あら》い、コーヒーを淹《い》れて——。この日課を守ることが、一人でいて、惨《みじ》めさを感じない唯《ゆい》一《いつ》の方法なのである。
 この日も、手順通りに一日はスタートした。少し手早くやったせいか、出かける前に、五分ほど時間が空《あ》いた。
 新聞を広げようとして、ふとあの女のことを思い出した。タクシーに無理に乗り込んで来て、結局このアパートの前までくっついて来たのである。
 「帰れ」
 と言っても、
 「帰らない!」
 と頑《がん》張《ば》る。
 こっちも根負けして、勝手にしろ、と言って部《へ》屋《や》へ入ってしまった……。
 そのまま朝になったわけだが、あの女、どうしただろうか。——私は立ち上がって窓のほうへ行って外を見た。
 別に女の姿《すがた》は見えない。諦《あきら》めて帰ったのだろう、とホッとした。
 さて、少し早いが、出かけようか、と伸《の》びをして、ネクタイを手に取った。
 外へ出て鍵《かぎ》をかけ、アパートを出ると、駅へ向って足早に——。
 「おはよう!」
 振《ふ》り向いて驚《おどろ》いた。昨日の女である。
 「何してるんだ?」
 と私は訊いた。
 「歩いてるのよ。歩いちゃいけないの?」
 「構わんさ。しかし、一《いつ》緒《しよ》に歩かないでくれないか」
 「あら、たまたま同じ駅に行くってだけじゃないの」
 と、澄《す》ました顔をしている。
 「いいか、君と遊んでるヒマはないんだ!」
 「誰も遊んでくれなんて、言ってやしないわよ」
 なるほど、それはその通りだ。私は肩をすくめて、勝手に足を早めた。
 おかげで一本早い電車に間に合い、会社に着く前に、早朝のモーニング・サービスをやっている喫《きつ》茶《さ》店で一息入れることができた。
 こんな時間でも、朝食抜きで家を出て来ているサラリーマンたちが、ここで朝食のトーストをかじっている。
 私は、窓《まど》際《ぎわ》の席に座って、のんびりとコーヒーをすすった。外をせかせかと走って行くサラリーマンたちは、たぶんまだ会社まで距《きよ》離《り》があるのだろう。——何となく、余《よ》裕《ゆう》がある感じで、いい気分である。
 トントン、とガラスを叩《たた》く音に顔を上げて、ギョッとした。——あの女が窓の外にニコニコ笑っている。
 「——何のつもりだ?」
 金を払《はら》って外へ出ると、私は、女にかみつきそうな調子で言った。
 「歩いてたら、たまたま見かけてね……」
 「そんなことがあるもんか! 一体何が狙《ねら》いだ?」
 「別に。ただ、何となくあんたに魅《ひ》かれたのよ」
 「迷《めい》惑《わく》だよ」
 「別に構わない、私」
 これでは話にならない。
 「——ねえ、早く会社に行ったら?」
 しまった! ギリギリだ! 私は、
 「もうついて来るなよ!」
 と怒《ど》鳴《な》っておいて、会社に向って駆《か》け出した。
 
 昼休みになって、私は席から立ち上がった。——午前中は、みんな専《もつぱ》ら大場妙子の話でもちきりだった。
 今日は妙子は休んでいる。警察で色々話をしたり、あの、閉じ込められていた店も、手入れを受けることになるだろう。
 もっとも、店の人間はとっくに夜《よ》逃《に》げしているに違《ちが》いないが。
 昼食を外で食べようと、ビルを出た私は、目の前にあの女が立っているのを見て、ため息をついた。
 「——ねえ君」
 「あら、また会ったわね」
 しゃあしゃあとして笑っている。
 ——何となく格《かつ》好《こう》が薄《うす》汚《よご》れているが、まだ若《わか》く、よく見ればなかなかチャーミングな個性のある顔立ちをしている。
 「よし、じゃ昼飯でも食べるか?」
 彼女はキャア、と声を上げて手を打った。
 「良かった! 飢《う》え死にしそうだったんだ!」
 私は苦《く》笑《しよう》した。
 「それならもう少し待つんだったな。何を食べる?」
 「何でもいいよ」
 正《まさ》に——何でもいい感じだった。
 その女、入ったソバ屋で、カツ丼《どん》と天丼をきれいに平らげ、かつ、ざるそば一つを、さして苦にするでもなく、お腹《なか》におさめて、
 「ああ、生き返った」
 と言った。
 「君の名前は?」
 「めぐみ。メグってみんな呼《よ》ぶよ」
 「ゆうべは表に立ってたのか」
 「うん。でも、立って寝《ね》られるんだ。馬みたいでしょ」
 「家へ帰らないのか?」
 「家なんてないよ。ありゃ、あんな所でゴロゴロしてない」
 なるほど、それはその通りかもしれない。
 「君は、覚せい剤《ざい》か何かやってるのか?」
 「たまにね。面白くないことがあったとき。それにお金ないと手に入んないしね」
 「そんなことやってると体がボロボロになっちまうぞ」
 「まだ中毒してないからね」
 「しかし、金がほしくて僕《ぼく》に声をかけたんだろう」
 「うん、お腹が空《す》いてたんだもの」
 私はつい笑ってしまった。これなら、充《じゆう》分《ぶん》に立ち直れそうだ。
 めぐみ——メグと名乗ったその女は、確かに、ああいう中毒患《かん》者《じや》とは違って、生気のある目をしていた。
 「ねえ、あんた何者なの?」
 ソバ屋を出て、近くのパーラーに入ると、メグは、胸《むね》やけしそうなチョコレートパフェを平然と食べながら、そう訊いた。
 「僕はただのサラリーマンだよ」
 と、私は言った。
 「そんなことないよ!」
 「どうして?」
 「だって……あのナイフの扱《あつか》い方なんて、ベテランじゃないの」
 「向うが意気地なしなのさ」
 「あの女の人、恋《こい》人《びと》なの?」
 「え? ああ……そんなところかな」
 「ふーん。ね、どんな事情なの? 話してくれない?」
 「聞いてどうするんだ?」
 「あんたのことなら、何でも聞きたいんだもん」
 私は戸《と》惑《まど》った。——そのメグという娘《むすめ》、明らかに、私に対して恋心を抱《いだ》いているのだ。
 その目つきは、疑《うたが》いようもなかった。
 何となく憎《にく》めない女ではある。しかし、とてもじゃないが、今の私に、そんな色恋を語る余裕は、とてもないのだ。
 「なあ、いいかい……」
 と、私は言った。
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