日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

消えた男の日記10

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:10 空からの音「どうかしたんですか」 と、入江は、署長の水島の顔を見るなり、言った。「や、どうも」 と、水島は渋い顔で、
(单词翻译:双击或拖选)
 10 空からの音
 
「どうかしたんですか」
 と、入江は、署長の水島の顔を見るなり、言った。
「や、どうも」
 と、水島は渋い顔で、「ちょっと面倒なことになりましてね」
 いつもの通り、朝十時に署へ出向いて行った入江だが、中がいやにざわついているのである。
「実は——この間、首を吊《つ》って死んだ、花田あやという女なんですが」
 と、水島は言った。
「ああ、郵便局の手伝いに来ていたとかいう……」
「そうです。——まあ、一人住いだし、寂しさがつのって自殺したとしても、不思議じゃない。今日、葬式なんですがね」
「その花田あやが、どうかしたんですか?」
「誰か、県警へ電話した者がいるらしいんです。それは自殺じゃない。殺されたんだとね」
「ほう」
「で、朝早くから、県警のお偉方に呼び出されましてね。一応、検死の手続きを取れ、と……。問題はない、と言ったんですが」
 と、水島はふくれている。
「まあ、上の方の人は、言うだけだから、楽なもんですよ」
 と、入江は肯いた。
「全くです!」
 と、水島はため息をついて、「お寺さんにも、迷惑をかけてしまって……。そういうことを、さっぱり分ってくれない」
 文句を言ってから、水島は、いささか照れた様子で、
「いや、すみません。入江さんに文句を言っても仕方ないのに」
 と、頭をかいた。
「いやいや。よく分りますよ。すると、当然、現場の証拠保全の問題も出て来ますね」
「そうなんです。朝からそれで、てんてこまいでしてね。申し訳ありませんが、今日は——」
「ああ、分りました。いや、警官には、何といっても、現場を踏ませるのが一番ですからな」
「しかし、吹田なんか、入江さんにすっかり参ってますよ」
「あの若いのですか? なかなかよく働いてますな」
「有望です。昔と違って、骨惜しみせずに仕事に打ち込む者は少なくなりましたよ」
 と、水島は自分で肯いて、「——では、失礼して、県警の相手をしなくてはならんもので」
「どうぞ。気にせんで下さい」
 と、入江は言って、行きかけた水島へ、「誰が県警に電話したか、分ったんですか?」
 と、声をかけた。
 水島は振り向くと、
「分ってるんですよ、敦《あつ》子《こ》のやつですよ」
「敦子?」
「ほら、郵便局で働いてる若い子です」
「ああ、あの娘ですか」
「生意気なんです。ろくに何も分らんくせに……。局長に言っときましたから、クビでしょうな」
 ——水島が行ってしまうと、入江は、署から外へ出た。
 大分、町にも慣れて来た。
 町の人たちも、入江や大内、柴田依子を見ると、ニッコリ笑って会釈するようになっている。
 入江が、盗まれた現金書留の入った袋の隠し場所を言い当てた、という話を、あの吹田が大げさにしゃべって回ったせいもあるのだ。入江はすっかり、「名探偵」にまつり上げられてしまっていた。
 もちろん、あの事件そのものは、至ってすっきりしない。例の花田あやとかいう女の自殺にしても、そうだ。
 旅館へ戻る前に、入江は郵便局の方へと歩いて行った。すると——郵便局から、勢いよく出て来たのは、水島の言っていた、「敦子のやつ」だ。
「——やあ、君」
 と、声をかけると、今にも爆発しそうなほど、不機嫌な顔をしていた娘は、
「何ですか!」
 と、かみつきそうな声を出した。
「おい、そうおっかない声を出すなよ」
「あ——。入江さん、でしたっけ」
「うん。どうしたんだい?」
 その娘は、息をついて、
「クビになったんです」
 と、言った。
 どうやら、水島の言った通りになったらしい。
「そりゃ気の毒に。——何かあったのかね?」
「私が、守秘義務を守らなかった、って」
「それは、もしかして、我々のせいかな」
「いいえ」
 と、娘は首を振った。「誰だかの所へ届いた手紙が開封されてた、と言うんです。私が中を読んだ、って苦情が来てるって」
 それは明らかに言いがかりだろう。
「私、そんなこと、絶対にしません!」
 と、娘はむくれている。
「ま、その内、分ってくれるよ」
 と、入江は慰めて、「どうだい、我々の旅館へ来ないか。お茶でも飲んで、少し気分を直したら?」
「ええ……」
 と、娘は入江を見て、「でも——」
「何だい?」
「私、年上の人って、あんまり好《この》みじゃないんです」
 入江は、こんな小さな町の娘も、都会並みになってるなと痛感したのだった。
 
「——さ、お菓子でも」
 と、柴田依子が、お茶とお菓子を娘に出した。「敦子さん、っていうの?」
「はい。木下敦子です」
 と、娘はペコンと頭を下げた。
「ま、君がクビになったのは、そういうわけだよ」
 と、入江が言った。「しかし、君、県警へ電話したのかい?」
「いいえ。まさか! 大体、県警って、何番にかけりゃいいんですか?」
 と、敦子が菓子を頬《ほお》ばる。
「でも、検死があるって、いいことじゃないでしょうか」
 と、依子が言った。
「そうだ。少しでも怪しい点は残さないようにしないとね」
「おばさん、殺されたのかなあ」
 と、敦子は、眉《まゆ》を寄せて、「でも、人に恨まれるような人じゃなかったんですよ」
「恨まれなくても殺されることはあるよ。ある人にとってまずいことを知ってしまった、とかね」
「そうですね。——じゃ、あの泥棒と、何か関係が?」
「あり得るね。泥棒の、すぐ次の日、っていうのも妙だよ」
 襖《ふすま》が開いて、大内が入って来た。
「あれ。警部、今日の講義は?」
「中止だ。——おい、木下敦子君だ」
「やあ、郵便局の」
「元、です」
「え?」
 依子が、入江の腕をつついて、
「係長。ちょっとお話が」
 と言った。
「うん」
 入江と依子は、隣の部屋へ移った。
「——咲江さんから連絡があったんです」
「そうか。何か分ったのか?」
「それどころか、命を狙《ねら》われたそうです」
「何だと?」
 入江が、青くなった。「それで——」
「無事です、ご安心下さい」
「そうか……」
 入江は、息をついた。「詳しく話してくれよ」
 ——依子が、咲江から聞いた話を、入江にくり返すと、
「——すると、何か? その松本って奴《やつ》と、キスした? 何て奴だ! その男を暴行未遂で逮捕してやる!」
「係長。もう咲江さんは二十一ですよ」
「まだ子供だ」
「しっかりしてますよ、咲江さんは」
 と依子は苦笑して、「それより、あの日記帳の中身、気になりますね」
「全くだ。あんな物、咲江の所へ送るんじゃなかったな」
 と、入江は渋い顔で言った。
「問題は、東京にいる誰かが、私たちのことを知っただろう、ってことです」
 と、依子は言った。
「うむ」
「咲江さんが危い目にあった、ってことは、私たち、それに、あの笠矢祥子って子も、同じように危いかもしれない、ということですわ」
「俺たちは、まあ用心すればすむが……」
「あの子に警告する必要がありますね」
 入江は肯《うなず》いて、
「いい機会だ。三人で、その娘の家へ行ってみよう。今日は水島署長も忙しい」
「結構ですね」
 と、依子は肯いた。「——大内さんも、一緒に?」
「もちろんだ」
「でも、あの木下敦子と、楽しくやってるようですし」
「何だと?」
 入江は目を丸くした。
 
「あの子、なかなかしっかりしてますよ、ねえ、警部」
 と、大内が言った。
「そうか?」
 入江は、依子の目にはっきり分ることが、どうして俺《おれ》には分らないのか、と首をかしげていた。
「——こりゃ凄《すご》い」
 と、大内が言った。
 地蔵の谷へ、三人は入って来た。
 両側の斜面から、何百という地蔵が、三人を見下ろしている。
「ね、なかなか壮観でしょ」
 と、依子が言った。
「何だか、じっと見張られてるみたいで、いやだね」
 と、大内は言った。
「おい」
 と、入江は言った。「尾《つ》けられてないか?」
「大丈夫です。気を付けてますよ」
 大内が肯く。
 そこはプロである、尾けられていれば、必ず気付いている。
「足下に気を付けて下さい」
 と、依子が言った。
「あの娘、家にいるのか?」
「昨日、今日と見てませんから。——たぶん、いると思います」
「しっ」
 と、大内が言った。
「どうしたの?」
「音が……」
 大内は足を止め、耳を澄ました。
 かすかに、唸《うな》りのような音が、遠く空のかなたから、近付いて来る。
「ヘリコプターだ」
 と、大内が言った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%