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消えた男の日記13

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:13 逃 亡 医師が、病室から出て来る。 大内は、パッと立ち上った。いつの間にか眠り込んで大内にもたれていた入江が、横に倒
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 13 逃 亡
 
 医師が、病室から出て来る。
 大内は、パッと立ち上った。いつの間にか眠り込んで大内にもたれていた入江が、横に倒れそうになって、あわてて起き上った。
「や、どうも」
 と、中年の太った医師は肯いて見せた。
「どうも夜遅くに申し訳ありません」
 と、大内が言った。
「いや、全く」
 と、入江も立ち上って、「どうですか、具合は?」
「まあ、詳しいことはもっと検査してみないと、何とも言えませんが」
 と、医師は言った。「目そのものには異常は認められないので、たぶんショックによるものでしょう。一時的なものだと思いますよ」
「そうですか」
 入江はホッとした。——これで依子が失明することにでもなったら、何とも気が重いからだ。
「まあ、ゆっくり静養させることです」
「どうも……。あの、今夜はここでお世話になっても——」
「構いませんよ。どうせ病室は空いてる。ついでに入院していきますか、みんなで」
 面白い医師だった。
「先を急ぎますんで。明朝、出発したいと思います。我々はこの待合室で夜明かししますので」
「ご自由に。お茶くらいでしたら、宿直室でさし上げますよ」
「ありがとうございます」
 ——医師が行ってしまうと、入江と大内は顔を見合わせた。
「やれやれ、重荷が下りた気分だ」
「全くですね」
 と、大内は言った。「東京へ行ったら、精密な検査を」
「うん。そうしよう」
 入江は欠伸《あくび》をした。
「警部、休んで下さい。僕は彼女のそばについてます」
「例の娘《こ》は?」
「車で寝てます。後で様子を見て来ますよ」
「そうか。——今、十一時か」
 入江は腕時計を見て、「俺《おれ》が先に柴田君についてるよ。お前は、車で少し眠って来い」
「しかし——」
「俺は途中で代る。その方が楽だ」
「分りました。じゃ、一時ごろに」
「それじゃ、お前が眠れん。二時で充分だ」
「了解しました」
 大内は肯いて、病院の夜間出入口の方へ歩いて行った。
 入江は、そっと病室へ入った。
 二人部屋だが、片方は空いているので、依子一人がベッドで寝ている。そっと椅《い》子《す》を寄せて腰をおろすと、
「——係長ですか」
 と、依子が言った。
「何だ、起きてたのか」
 と、入江は言った。「どうして俺だと分った?」
「足音が重そうで」
「おいおい」
 と、入江は笑った。「何てことないそうだ。良かったな。眠れよ」
「ええ……。すみません。ご厄介をかけてしまって」
「何を言っとる」
「どうぞ、おやすみになって下さい。私は大丈夫ですから」
「病人は、素直に言うことを聞くもんだ」
 入江は、依子の手を両手で挟んで、「いつも君は損な役回りだったな」
「どうしたんですか。係長?」
「いや……。すまんと思ってるんだ、君や大内には」
「大内さんは?」
「車だ。あの子とな」
「そうですか。——いい子ですね、敦子さんって」
「現代っ子だ。俺にゃ分らん」
 と、入江は肩をすくめた。
 咲江のことだって、分っているかどうか……。
 いや、分ろうともせず、そんな時間も作らなかったのではなかったか。
 咲江……。大丈夫なのか。もうすぐ俺もそっちへ行くぞ。
 入江は、椅子に座り直して、腕を組んだ。
 
 そっとドアを閉めたつもりだったが、やっぱり敦子は目を開けて、
「どうしたの?」
 と訊《き》いた。
「すまん。目を覚ましちまったな」
 と、大内は言った。
「いいの」
 敦子は首を振って、「少し眠れば。——若いんだから」
 大内はちょっと笑って、
「君の寝顔を見たかったのさ」
 と、言った。
「あら。——依子さんは?」
「うん。時間が立てば、元に戻るだろうって」
「良かった」
 敦子は一杯にリクライニングを倒した助手席で、息をついた。「すてきな人なのに。どうして大内さん、プロポーズしなかったの?」
「ええ?——さあね、あんまり親しくなり過ぎたのかな。家族みたいなもんさ」
「そうか。でも、良かった。おかげで、私とキスできるんだものね」
「全くだ」
 大内は、敦子の額にキスして、「眠ったら?」
「あなたは?」
「二時に、入江さんと交替さ」
「じゃ、三時間ぐらいある」
「うん」
「眠る?」
「君が眠るなら」
「眠らなかったら?」
「そうだなあ……。おしゃべりでもするかい?」
「どっちもいやよ」
「しかし……こんな狭い車の中で……」
「キスするだけなら、できるでしょ」
 敦子は、大内の頭をかかえるようにして、引き寄せた。——大内も遠慮はせずに、敦子の胸もとへ手を入れた。
「すてき……」
 と、敦子が囁《ささや》いた。「このまま——」
 突然、車の中の無線から、
「入江さん!」
 という声が飛び出して来て、二人はびっくりして飛び上がった。
「何?」
「無線だ。——何事だろう?」
 大内はマイクを取った。
「入江さん! いませんか?」
「大内です」
 とマイクで答える。
「良かった。吹田です」
 入江に心服していた、若い巡査である。
「やあ、どうしたんだい?」
「実は——」
 吹田が少し声を低くした。「よく事情は分りませんが、署長が、どこかへ連絡するのを聞いてしまったんです」
「連絡? どんな?」
「それが、あなた方が何やらまずいものを見たらしい、と。何とか始末した方が、と言っていたんです」
「そうか」
「この近辺の町へ連絡して、捜しています。見付けますよ、きっと。気を付けて下さい」
「分った。ありがとう」
「いえ。——入江さんが、悪いことなんかして、追われるはずがないです」
「嬉《うれ》しいよ、信じてくれて。しかし君の身も危くなる。用心して。いいね」
「はい。どうかご無事で」
 連絡は切れた。
「——どうするの?」
 と、敦子は起き上った。
「出発するしかない。待ってろ」
 大内は、車を出ると、病院へと駆けて行った。
 
「——参ったな」
 と、松本は言った。
 ソファで、いびきをかいているのは、ルミである。
「これじゃ、帰りそうもないや」
「いいじゃないの。——助けてもらったのに、文句言っちゃいけないわ」
 と、咲江は言った。「ともかく、あなたもここへ泊まんなきゃね」
「そうだな。後のことは明日、考えようか……」
 松本は欠伸《あくび》をした。
「どこで寝る?」
「うん?——どこでもいいよ。僕は廊下でも台所でも寝られる」
「私のベッドでも?」
 松本は、咲江の肩に手をかけると、
「ねえ……」
「無理しないで」
 と、咲江は言った。
「別に僕は——」
「あのルミって人と寝たんでしょ?」
 松本がギョッとすると、咲江は笑って、
「いくら私がうぶでも分るわよ。あんな時間に石けんの匂《にお》いをプンプンさせて、髪も濡れてたし」
「そうか……。でも、仕方なかったんだ。助けてくれたのは確かだし——」
「いいわよ。あの人、ちょっと変ってるけどいい人だわ」
「僕が好きなのは君だ」
「分ってるけど……。私と寝たら、もうあの人とは寝ないでね」
「もちろんさ」
「じゃ、キスして」
 咲江は目を閉じた……。
 二人は寝室へ入り、ドアを閉めた。
「私、さっきシャワーを浴びたわ」
 と、咲江は言った。「あなたはちゃんと、お風呂へ入ったのね」
「そういうことだ」
「まだ私のこと抱いてくれる元気はある?」
 咲江はベッドにそっと腰をおろした。
「あるとも」
 松本は、並んで腰をおろすと、咲江の肩を抱いた。——二人はそのままベッドの上に倒れ込んだ。
 電話が鳴り出して、二人ははね起きた。
 ベッドのそばの電話を、咲江は急いで取った。
「もしもし。——あ、京子?」
「咲江、どう、そっち?」
「うん、快適よ」
「ならいいけど。さっきさ、警察の人が来たわ。あんたと松本君のこと、訊《き》いてったわよ」
「松本君のことも?」
「うん。何かやらかしたらしいわ」
「ぬれぎぬなのよ。例の日記帳のことで」
「知ってたの?——そうか、そこにいるんだ、あいつ」
「あいつ、って……。まあね」
「もしかして、ラブシーンの最中?」
「まだこれから」
「ハハ、お邪魔しましたね」
「京子ったら……。何て答えたの?」
「居場所の心当り、って言われたから、大学の図書館にでも行ってんじゃないですか、って言っといた。でも、何だか深刻な状況じゃない?」
「うん。何か手を打たないと、どんどんこっちが不利になっていくみたい」
「明日、そっちに行くからさ。相談しようよ。ね?」
「ええ。ただ、気を付けてね。尾行とか」
「任せて。真面目に大学へ出てから、抜け出すわ」
「それじゃ、何か食べるもの、買って来てくれる?」
「いいわよ。それと、あんまり早く行かない方が良さそうね」
 咲江は、チラッと松本を見て、
「そうね」
 と、言った。
「それと、咲江」
「うん?」
「ちゃんと、できないように気を付けるのよ」
「はいはい」
 咲江は笑って、電話を切った。「——明り、消してね」
「うん」
 松本が明りを消しに立って行く。咲江は、軽く息をつくと、セーターを脱いで、軽く頭を振った。
 明りが消えて、電話ももう鳴らなかった……。
 
「——この道のはずです」
 と、大内は言った。
「夜明けまでに、何とか国道へ出たいな」
 と、入江は言った。「車も多いし、目立たない」
「大丈夫ですよ」
 大内が肯《うなず》く。「まだ時間はあります」
「だといいが」
 入江が呟《つぶや》くように言った。
 車は山道を走っていた。曲りくねっているが、大内の腕は一流だ。運転に不安はなかった。
 後部座席では、依子と敦子が、毛布を掛けて眠っていた。
「一時半か」
 と、入江は時計を見た。「しかし、分らんな。何があったんだ? あの笠矢という男と娘は、何を知ってたんだ?」
「きっと、あの日記帳ですね、鍵《かぎ》は」
「父親は殺されたんだろう。——あの娘がどうなったか、気になる」
「あの爆発の時、家の中にいたら、おしまいですよ」
「うむ……。しかし、なぜ娘まで消す必要があったのかな」
「我々もですね」
「そうだ。あの水島って署長、裏でどこかとつながっているんだ。たぶん、〈永井かね子〉って女と」
「東京へ行かないと、糸口は見付からないようですね」
「うん。ともかく、咲江のことも心配だ。今どこでどうしてるのかもな」
「ボーイフレンドが——」
「ますます心配だ」
 と、入江は言って、「——おい、何か赤い灯が見えたぞ」
「どこにですか」
「前方の、上の方だ」
「上? 山の中ですよ」
「ああ、分ってるが……。気のせいかな」
 と、入江は首を振った。
 そして、車が大きくカーブを切る。入江は窓を下ろした。——聞こえる。
「ヘリコプターだ!」
 爆音が聞こえた。車の上に、迫って来ている。
「危いぞ!」
 大内がアクセルを踏む。タイヤがきしんだ。車のすぐ後ろで、爆発が起きた。
「キャッ!」
 と、敦子が飛び起きた。「何ごと?」
「ヘリコプターが追って来た」
 と、入江は言った。「君らは頭を低くして毛布をかぶってろ」
「トンネルです」
 と、大内が言った。「あの中へ入れば——」
「急げ!」
 車がトンネルの闇の中へ突っ込むのと、爆発とがほとんど同時だった。車の後尾が大きくはね上った。
 ブレーキがきしむ。
 車は横転して、トンネルの壁にぶつかった。火花が闇の中に飛んだ。
「外へ出るんだ!」
 入江はドアを押し上げ、足でけった。「大内! 大丈夫か!」
「ええ、何とか……。後ろの二人を」
「一旦外に出て、引張り上げる。お前、下から押せ」
「分りました!」
 入江は車の外へ何とか出られて、息をついた。後ろのドアを開けると、まず敦子を引張り出す。
 そして、依子を。——ガソリンの匂《にお》いがした。
 引火したら大変だ!
「急げ!」
 と、入江は怒鳴った。
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