日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

消えた男の日記15

时间: 2018-09-28    进入日语论坛
核心提示:15 女友だち「どうだった?」 と、コーヒーの香りをかいだルミは、「いい匂《にお》い! 私、インスタントしか作れないの」 
(单词翻译:双击或拖选)
 15 女友だち
「どうだった?」
 と、コーヒーの香りをかいだルミは、「——いい匂《にお》い! 私、インスタントしか作れないの」
 インスタントのコーヒーじゃ、「作る」ってほどのこともない。
「どうって……コーヒーのこと?」
 と、咲江は訊いた。
「とぼけちゃって! あの子——何てったっけ? 松本?」
「ええ。何とかね」
 と、咲江は、目を伏せて、肯《うなず》いた。
「じゃ、無事に終ったわけだ。おめでとう」
「ありがとう」
 と、咲江は微笑んだ。「でも——ルミさん」
「何?」
「あなたは構わないの?」
「私が?」
「だって——松本君と寝たんでしょ」
「しゃべったの、あの馬鹿?」
 ルミの言い方に、咲江はふき出してしまった。
「そうじゃないの、私の勘でね」
「そう。気にしないで。確かに、いい子だけど、長いお付合いをするには、私と世界が違いすぎる」
 と、ルミは言った。「あなた、ぴったりよ、彼に」
「そうかしら」
「私の目は確か。——人間ってのはね、自分のテンポがあるじゃない。それがずれてても、たまにゃ、ピタリと来ることがある。そんな時、私も、あんな子と寝ることがあるけど、でも、少したつと、段々、テンポがずれて来るのよ」
 ルミは、何だか哲学者めいたセリフを吐いた。
「あなたって、不思議な人ね」
「そう?——だけど、あなたたち、何だか変ったことに巻き込まれてるんでしょ」
「ええ。何だかわけが分らない」
 と、咲江は首を振った。
「よかったら聞かせてよ。どうせ、あの子は昼ごろまで、起きやしないわ」
 ルミという、この奇妙な娘に、咲江は友情を感じ始めていた。
 何といっても、松本を救ってくれたのだし。
 それも、お金とか、主義主張のせいだったのではない。
 ただ「気が向いたから」なのである。それが却《かえ》って、信じてもいい、という気にさせたのだった。
「実は——」
 と、咲江は口を開いた。「私の父は警官なの。警部でね、一応……」
 咲江は、父から送られて来た、あのラテン語の日記のことも含めて、すべてを、ルミに話してやった。
 ルミが目を輝かせて聞き入る。——確かに、我が身の安全さえ保証されていれば、こんな面白い話はない。
「そりゃ凄《すご》いわ!」
 と、ルミは言った。「何か、スケールの大きな陰謀が絡んでいるのよ、きっと」
「でも、当面、八方ふさがり」
 と、咲江はため息をついた。「ラテン語の日記は、松本君のマンションだし、松本君は罠《わな》にかかって、警察に追われてるし……」
「そりゃ任せてよ」
 と、ルミが胸を叩《たた》いた。
「あなたに?」
「私のことは、警察もまるで、注目してないわ。何でも言って! 力になるわよ」
「でも……」
 と、咲江はためらった。
「心配しないで。松本君には手を出さないわよ」
「いえ、そのことじゃないの」
 と、咲江は急いで言った。「これはかなり危いことなの。何しろ、私たちも危うく殺されるところだったのよ。あなたに万一のことがあったりしたら……」
「そんなこと! 私ね、こう見えても、自分で承知の上でやったことの責任は自分で取るわ。それくらいの常識は持ち合わせてるつもり」
 と、ルミは言った。
 咲江は、ちょっと笑って、
「分ったわ」
 と、肯いた。「あなたの力を借りることにする」
「そう来なくっちゃ! で、最初は何をするの?」
 と、ルミはもう今にも飛び出しそうな元気である。
「あのラテン語の日記よ。あれを、ともかく彼のマンションから、何とかして持ち出さないと」
「OK。それなら、私の出番ね」
「でも、あの部屋は、きっと刑事が見張っていると思うわ」
「そうか……。刑事が持っていった、ってことは?」
 咲江は少し考えて、
「それはないと思うわ。あそこを調べに来た刑事は、日記のことなんか聞いてないはずよ」
「じゃ、まだ日記はあの部屋に?」
「まず間違いなく」
 そう。刑事が当然、松本が戻らないかと見張っているだろうが、それは同時に、もし日記を手に入れたい人間がいたとして、その人間も松本のマンションに入れない、ということでもある。
「じゃ、行って見ましょうよ」
 と、ルミは言った。
「マンションへ?」
「そうよ。だって、私はあそこに住んでるんだから」
「でも、松本君の部屋は——」
「そこは、途中で考えましょう」
 ルミは呑《のん》気《き》なものである。「なんとかなるわよ」
 ルミがそう言うと、本当に何とかなりそうな気がして来る。——咲江は、不思議に楽しい気分になっていた。
「松本君、まだ寝てるわ」
「起こしちゃおうよ」
 と、ルミが言って、咲江はふき出してしまった。
「いいわね。——やる?」
「OK!」
 二人は、寝室へそっと入って行くと、毛布を引っかぶって寝ている松本のそばへ寄って、
「起きろ!」
 と大声で怒鳴った。
「ワァッ!」
 松本が仰天して飛び起きる。
 起きたはいいが、ちょっとその勢いが良すぎて、かけていた毛布がベッドから下へ落ちてしまった。
 松本も裸のまま眠っていたので、当然……。
「ワッ! おい、出ててくれよ!——おい!」
 焦りまくって、毛布を拾い上げようとした松本は、逆にベッドから逆さに落っこちてしまった。
 ルミと咲江は、腹をかかえて笑い転げたのだった……。
 
「こんなに朝早く起きてる人もいるのね」
 と、ルミが感心したように言った。
「朝の九時過ぎだぜ」
 と、松本が呆《あき》れたように、「当然だろ、起きてても」
「そう?」
 ルミがしきりに首をかしげて、「どうして人間って、明るい時に働くの?」
 なんて訊《き》いている。
 松本は欠伸《あくび》をした。
 三人で、マンションの近くのレストランで朝食をとった後である。
 ここから、ルミの車で、松本とルミのマンションの近くへ。
「——この辺から、用心した方がいいわ」
 と、咲江が言った。「どこか、人目のない所に」
「そうね。じゃ、その細い道へ入りましょ」
 と、ルミはハンドルを切った。
「やれやれ、またかい?」
 と、松本がため息をつく。
「留置所より、居心地はいいはずよ」
 と、咲江は言った。「——さ、降りましょう」
 二人は、車を降りると、後ろのトランクへ入った。
「苦しいけど、ほんの少しだから」
 と、ルミが言った。
「ぶつけるなよ、ガレージに入れる時」
 と、松本は言った。
「ぜいたく言わないの」
 ルミは、バタン、と音をたてて、トランクのふたを閉じた。
 ——何しろ、松本一人だって窮屈だったのに、今度は二人だ。
「大丈夫?」
 真暗な中で、咲江が訊いた。
「うん……。君となら、悪くない」
「馬鹿!」
 ——ルミの車は、マンションの地下へと入って行った。
 ルミは、駐車場の中を、ちょっと見回してから、トランクを開けた。
「OK。出て。——腰でも痛めた?」
「なんとか……大丈夫」
 と、松本は息をついた。「空気がなくなって死ぬかと思った!」
「そういう時は、あんたが息をするのをやめなきゃ」
「無茶言うない」
「しっ!」
 と、咲江が言った。「刑事がいるかもしれないわ」
「上の玄関に、それらしいのが一人いたわね」
 と、ルミが言った。
「さて、ここからだな、問題は」
「一旦、私の部屋へ上りましょ」
 と、ルミが促した。
 三人はエレベーターで、ルミの部屋へ向った。
 ルミの部屋は、松本の部屋の真上である。
「——さ、入って。散らかってるけどね」
 と、ルミがドアを開けた。
「お邪魔します……」
 と、上って、咲江は、確かに「散らかってる」というのが、事実であることを知った。
「そう何分も時間はないと思うわ」
 と、ルミは言った。「準備は?」
「ええ、大丈夫。——鍵は持ってるわね?」
「もちろんさ」
「じゃ、作戦開始!」
 ルミはすっかりゲーム気分である。
 ルミが、廊下へ出ると、〈火災報知機〉の前に立つ。咲江と松本は、階段のところで、待機していた。
「行くわよ」
 と、ルミが言って、「エイッ!」
 力任せに、プラスチックの板を割って、中のボタンを押す。
 マンション中に、けたたましいベルが鳴り渡った。
「行こう」
 松本と咲江は、階段を一つ降りて、そこの廊下をそっと覗《のぞ》いた。
 松本の部屋のドアが開いて、中から刑事が出て来る。
 ベルがなりつづいているのを聞いて、どうしていいか分らず、おろおろしているのである。
 他のドアも次々に開いて、
「火事よ!」
「どこだ?」
「煙は?」
 と、口々に怒鳴る。
 しかし、妙なもので、人間、なかなか警報の類を信じないものらしい。
 お互い、
「どうします?」
「さあ……」
「間違いじゃないの?」
 などと、同意を求め合っているのだ。
 あの刑事も、動物園のクマみたいに、ドアの前を行ったり来たり。
「——何やってんだ」
 と、松本が苛《いら》々《いら》して呟《つぶや》く。
「ね、聞いて」
 と、咲江が松本の腕をつかむと、「——サイレンよ」
 確かに、消防車のサイレンが、遠くから近付いて来た。
 廊下へ顔を出していた住人たちも、サイレンが聞こえて来ると、
「火事だ!」
「本当の火事だ!」
 と、騒ぎ出した。
 一旦騒ぎ出すと、今度は大変だ。たちまち廊下には住人たちが飛び出して来る。
「エレベーターは危い!」
「階段だ!」
 と、次々に駆け出した。
「刑事が逃げ出したわ」
 と、咲江が言った。
「よし。やりすごしてから、行こう」
 二人は、壁にぴったりとくっついて、階段へと殺到する人たちをやりすごした。
「——OK、行こう」
 二人は駆け出した。
 刑事は、松本の部屋のドアを、開けたままにしていたので、二人はすぐに中へ入った。
「どこに置いたの?」
「待ってろ! 持って来る」
 と、松本が部屋へ上る。
「急いでね!」
 玄関に立った咲江は気が気ではない。今にも刑事が戻って来そうな気がする。
「早く、早く……」
 ほんの一、二分のことなのだろうが、十分にも感じられた。
「よし、あったぞ」
 と、松本が日記帳を手に、戻って来た。
「急いで」
「刑事が引っかき回してたんで、手間取ったんだ。行こう」
 二人は廊下へ出た。そして——。
 目の前に、男が一人、立っていた。
 黒っぽいコートを着たその男は、二人が出て来るのを待っていたらしい。
「捜す手間が省けたぜ」
 と、言って、「それを渡せ」
「冗談じゃない!」
 と、松本が言い返すと、男は笑って、
「こっちも冗談じゃないんだ」
 男の手に拳《けん》銃《じゆう》があった。——二人は、息を呑《の》んだ。
「さて、どうする? 時間がないぜ」
 と、その男は言った。
 中年の、ごく当り前の男で、どう見ても、どこかのセールスマンという様子だ。それだけに、怖い。
「先に女を撃つぞ」
 と、その男は言った。
「分った」
 と、松本は言った。「こいつがほしいんだろ!」
 松本が日記帳を放り投げる。男の目が一瞬それを追った。松本が飛びかかる。
 しかし、相手はプロだった。
 松本が殴りかかって来るのを素早くかわして、銃把で、松本の頭を殴った。
「やめて!」
 と、咲江が叫んだ。
 松本は、そのまま倒れて、気を失ってしまった。
「手間のかかる奴《やつ》だ」
 男は日記帳を拾い上げると、咲江の方に銃口を向けた。
「——殺すの?」
「いや。一緒に来い」
「いやよ」
「それなら、こいつを殺すぞ」
 銃口が、松本の方に向いた。——咲江は青ざめて、
「待って」
 と、言った。「分ったわ」
「ついて来るか」
「ええ」
「よし。——みんな階段を利用しているらしいな。我々はのんびりと、エレベーターで降りよう」
 男は拳銃を握った手をコートのポケットに入れると、「いいか。妙なまねをすると、一発だぜ」
「分ったわ」
 と、咲江は肯《うなず》いた。
「じゃ、ちょっと散歩としゃれこもう」
 男はニヤリと笑って、言った……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%