「それで、どういうご用件ですかな?」スネイプは二人の前にある肘掛椅子に腰掛こしかけた。
「ここには……ここには私たちだけですね?」ナルシッサが小声で聞いた。
「むろん、そうです。ああ、ワームテールがいますがね。しかし、虫けらは数に入らんでしょうな?」
スネイプは背後の壁の本棚ほんだなに杖つえを向けた。すると、バーンという音とともに、隠かくし扉とびらが勢いよく開いて狭い階段が現れた。そこには小男が立ちすくんでいた。
「ワームテール、お気づきのとおり、お客様だ」スネイプが面倒めんどうくさそうに言った。
小男は背中を丸めて階段の最後の数段を下り、部屋に入ってきた。小さい潤うるんだ目、尖とがった鼻はな、そして間の抜けた不ふ愉ゆ快かいなニタニタ笑いを浮かべている。左手で右手をさすっているが、その右手は、まるで輝かがやく銀色の手袋をはめているかのようだ。
「ナルシッサ!」小男がキーキー声で呼びかけた。
「それにベラトリックス! ご機嫌きげん麗うるわしく――」
「ワームテールが飲み物をご用意しますよ。よろしければ」スネイプが言った。
「そのあとこやつは自分の部屋に戻もどります」
ワームテールは、スネイプに何かを投げつけられたようにたじろいだ。
「わたしはあなたの召使めしつかいではない!」
ワームテールはスネイプの目を避さけながらキーキー言った。
「ほう? 我わが輩はいを補ほ佐さするために、闇やみの帝てい王おうがおまえをここに置いたとばかり思っていたのだが」
「補佐というなら、そうです――でも、飲み物を出したりとか――あなたの家の掃除そうじとかじゃない!」
「それは知らなかったな、ワームテール。おまえがもっと危き険けんな任務にんむを渇望かつぼうしていたとはね」
スネイプは�box">
第2章 スピナーズ・エンド Spinner's End(4)
「それで、どういうご用件ですかな?」スネイプは二人の前にある肘掛椅子に腰掛こしかけた。
「ここには……ここには私たちだけですね?」ナルシッサが小声で聞いた。
「むろん、そうです。ああ、ワームテールがいますがね。しかし、虫けらは数に入らんでしょうな?」
スネイプは背後の壁の本棚ほんだなに杖つえを向けた。すると、バーンという音とともに、隠かくし扉とびらが勢いよく開いて狭い階段が現れた。そこには小男が立ちすくんでいた。
「ワームテール、お気づきのとおり、お客様だ」スネイプが面倒めんどうくさそうに言った。
小男は背中を丸めて階段の最後の数段を下り、部屋に入ってきた。小さい潤うるんだ目、尖とがった鼻はな、そして間の抜けた不ふ愉ゆ快かいなニタニタ笑いを浮かべている。左手で右手をさすっているが、その右手は、まるで輝かがやく銀色の手袋をはめているかのようだ。
「ナルシッサ!」小男がキーキー声で呼びかけた。
「それにベラトリックス! ご機嫌きげん麗うるわしく――」
「ワームテールが飲み物をご用意しますよ。よろしければ」スネイプが言った。
「そのあとこやつは自分の部屋に戻もどります」
ワームテールは、スネイプに何かを投げつけられたようにたじろいだ。
「わたしはあなたの召使めしつかいではない!」
ワームテールはスネイプの目を避さけながらキーキー言った。
「ほう? 我わが輩はいを補ほ佐さするために、闇やみの帝てい王おうがおまえをここに置いたとばかり思っていたのだが」
「補佐というなら、そうです――でも、飲み物を出したりとか――あなたの家の掃除そうじとかじゃない!」
「それは知らなかったな、ワームテール。おまえがもっと危き険けんな任務にんむを渇望かつぼうしていたとはね」
スネイプはさらりと言った。
「それならたやすいことだ。闇の帝王にお話し申し上げて――」
「そうしたければ、自分でお話しできる!」
「もちろんだとも」スネイプはニヤリと笑った。
「しかし、その前に飲み物を持ってくるんだ。しもべ妖よう精せいが造つくったワインで結構けっこう」