スネイプはナルシッサの両手首をつかみ、しがみついている両手をはずした。涙で汚れた顔を見下ろし、スネイプがゆっくりと言った。
「あの方は最後には我輩にやらせるおつもりだ。そう思う。しかし、まず最初にドラコにやらせると、固く決めていらっしゃる。ありえないことだが、ドラコが成功した暁あかつきには、我輩はもう少しホグワーツにとどまり、スパイとしての有用な役割を遂行すいこうできるわけだ」
「それじゃ、あの方は、ドラコが殺されてもかまわないと!」
「闇の帝王は非常にお怒りだ」スネイプが静かに繰くり返した。
「あの方は予言を聞けなかった。あなたも我輩同様、よくご存知ぞんじのことだが、あの方はやすやすとはお許しにならない」
ナルシッサはスネイプの足下あしもとにくずおれ、床の上ですすり泣き、呻うめいた。
「私の一人息子……たった一人の息子……」
「おまえは誇ほこりに思うべきだよ!」ベラトリックスが情け容赦ようしゃなく言った。
「私に息子があれば、闇の帝王のお役に立つよう、喜んで差し出すだろう」
ナルシッサは小さく絶望の叫さけびを上げ、長いブロンドの髪かみを鷲わしづかみにした。スネイプが屈かがんで、ナルシッサの腕をつかんで立たせ、ソファに誘いざなった。それからナルシッサのグラスにワインを注つぎ、無理やり手に持たせた。
「ナルシッサ、もうやめなさい。これを飲んで、我輩の言うことを聞くんだ」
ナルシッサは少し静かになり、ワインを撥はねこぼしながら、震える手で一口飲んだ。
「可能性だが……我わが輩はいがドラコを手助けできるかもしれん」
ナルシッサが体を起こし、蝋ろうのように白い顔で目を見開いた。
「セブルス――ああ、セブルス――あなたがあの子を助けてくださる? あの子を見守って、危害が及ばないよewbox">
第2章 スピナーズ・エンド Spinner's End(15)
スネイプはナルシッサの両手首をつかみ、しがみついている両手をはずした。涙で汚れた顔を見下ろし、スネイプがゆっくりと言った。
「あの方は最後には我輩にやらせるおつもりだ。そう思う。しかし、まず最初にドラコにやらせると、固く決めていらっしゃる。ありえないことだが、ドラコが成功した暁あかつきには、我輩はもう少しホグワーツにとどまり、スパイとしての有用な役割を遂行すいこうできるわけだ」
「それじゃ、あの方は、ドラコが殺されてもかまわないと!」
「闇の帝王は非常にお怒りだ」スネイプが静かに繰くり返した。
「あの方は予言を聞けなかった。あなたも我輩同様、よくご存知ぞんじのことだが、あの方はやすやすとはお許しにならない」
ナルシッサはスネイプの足下あしもとにくずおれ、床の上ですすり泣き、呻うめいた。
「私の一人息子……たった一人の息子……」
「おまえは誇ほこりに思うべきだよ!」ベラトリックスが情け容赦ようしゃなく言った。
「私に息子があれば、闇の帝王のお役に立つよう、喜んで差し出すだろう」
ナルシッサは小さく絶望の叫さけびを上げ、長いブロンドの髪かみを鷲わしづかみにした。スネイプが屈かがんで、ナルシッサの腕をつかんで立たせ、ソファに誘いざなった。それからナルシッサのグラスにワインを注つぎ、無理やり手に持たせた。
「ナルシッサ、もうやめなさい。これを飲んで、我輩の言うことを聞くんだ」
ナルシッサは少し静かになり、ワインを撥はねこぼしながら、震える手で一口飲んだ。
「可能性だが……我わが輩はいがドラコを手助けできるかもしれん」
ナルシッサが体を起こし、蝋ろうのように白い顔で目を見開いた。
「セブルス――ああ、セブルス――あなたがあの子を助けてくださる? あの子を見守って、危害が及ばないようにしてくださる?」
「やってみることはできる」
ナルシッサはグラスを放ほうり出した。グラスがテーブルの上を滑すべると同時に、ナルシッサはソファを滑り降りて、スネイプの足下あしもとにひざまずき、スネイプの手を両の手で掻かき抱いだいて唇くちびるを押し当てた。