「いったいどうした?」ロンが聞いた。
「あの女おんなよ」
ジニーはハリーのベッドにドサッと座った。
「頭に来るわ」
「あの人、こんどは何をしたの?」ハーマイオニーが同情したように言った。
「わたしに対する口のきき方よ――まるで三つの女の子に話すみたいに!」
「わかるわ」ハーマイオニーが声を落とした。「あの人、ほんとに自じ意い識しき過か剰じょうなんだから」
ハーマイオニーがウィーズリー夫人のことをこんなふうに言うなんて、とハリーは度肝どぎもを抜かれ、ロンが怒ったように言い返すのも当然だと思った。
「二人とも、ほんの五秒でいいから、あの女ひとをほっとけないのか?」
「えーえ、どうぞ、あの女おんなをかばいなさいよ」ジニーがぴしゃりと言った。
「あんたがあの女おんなにメロメロなことぐらい、みんな知ってるわ」
ロンの母親のことにしてはおかしい。ハリーは何かが抜けていると感じはじめた。
「誰だれのことを――?」
質問が終わらないうちに答が出た。部屋の戸が再びパッと開き、ハリーは無意識に、ベッドカバーを思い切り顎あごの下まで引っぱり上げた。おかげでハーマイオニーとジニーが床に滑すべり落ちた。
入口に若い女性が立っていた。息を呑のむほどの美しさに、部屋中の空気が全部呑まれてしまったようだった。背が高く、すらりとたおやかで、長いブロンドの髪かみ。その姿から微かすかに銀色の光が発散はっさんしているかのようだった。非の打ち所ない姿をさらに完全にしたのは、女性の捧ささげていたどっさり朝食が載のった盆だった。
「アハリー」ハスキーな声が言った。
「おいひさしぶーりね!」
女性がさっと部屋の中に入り、ハリーに近づいてきたそのとき、かなり不ふ機き嫌げんな顔のウィーズリーおばさんが�x">
第5章 ヌラーがべっとり An Excess of Phlegm(11)
「いったいどうした?」ロンが聞いた。
「あの女おんなよ」
ジニーはハリーのベッドにドサッと座った。
「頭に来るわ」
「あの人、こんどは何をしたの?」ハーマイオニーが同情したように言った。
「わたしに対する口のきき方よ――まるで三つの女の子に話すみたいに!」
「わかるわ」ハーマイオニーが声を落とした。「あの人、ほんとに自じ意い識しき過か剰じょうなんだから」
ハーマイオニーがウィーズリー夫人のことをこんなふうに言うなんて、とハリーは度肝どぎもを抜かれ、ロンが怒ったように言い返すのも当然だと思った。
「二人とも、ほんの五秒でいいから、あの女ひとをほっとけないのか?」
「えーえ、どうぞ、あの女おんなをかばいなさいよ」ジニーがぴしゃりと言った。
「あんたがあの女おんなにメロメロなことぐらい、みんな知ってるわ」
ロンの母親のことにしてはおかしい。ハリーは何かが抜けていると感じはじめた。
「誰だれのことを――?」
質問が終わらないうちに答が出た。部屋の戸が再びパッと開き、ハリーは無意識に、ベッドカバーを思い切り顎あごの下まで引っぱり上げた。おかげでハーマイオニーとジニーが床に滑すべり落ちた。
入口に若い女性が立っていた。息を呑のむほどの美しさに、部屋中の空気が全部呑まれてしまったようだった。背が高く、すらりとたおやかで、長いブロンドの髪かみ。その姿から微かすかに銀色の光が発散はっさんしているかのようだった。非の打ち所ない姿をさらに完全にしたのは、女性の捧ささげていたどっさり朝食が載のった盆だった。
「アハリー」ハスキーな声が言った。
「おいひさしぶーりね!」
女性がさっと部屋の中に入り、ハリーに近づいてきたそのとき、かなり不ふ機き嫌げんな顔のウィーズリーおばさんが、ひょこひょことあとから現れた。