「誰だれのこと言ってるんだ?」
「君こそ誰の話だ?」ハリーが聞き返した。
この会話はまったく辻褄つじつまが合っていないという気持が、だんだん強くなっていた。
「ロミルダ・ベイン」
ロンは優やさしく言った。そのとたん、ロンの顔が、混じりけのない太陽光線を受けたように、パッと輝かがやいたように見えた。
二人はまるまる一分間見つめ合った。そしてハリーが口を開いた。
「冗じょう談だんだろう? 冗談言うな」
「僕……ハリー、僕、あの女ひとを愛していると思う」ロンが首を絞しめられたような声を出した。
「オッケー」
ハリーは、ロンのぼんやりした目と蒼あお白じろい顔をよく見ようと、ロンに近づいた。
「オッケー……もう一度真顔まがおで言ってみろよ」
「愛してる」ロンは息を弾はずませながら言った。
「あの女ひとの髪かみを見たか? まっ黒でつやつやして、絹きぬのように滑なめらかで……それにあの目はどうだ? ぱっちりした黒い目は? そしてあの女ひとの――」
「いい加減かげんにしろ」ハリーは苛立いらだった。
「冗談はもうおしまいだ。いいか? もうやめろ」
ハリーは背を向けて立ち去りかけたが、ドアに向かって三歩と行かないうちに、右耳にガツンと一発食らった。ハリーがよろけながら振り返ると、ロンが拳こぶしを構かまえていた。顔が怒りで歪ゆがみ、またしてもパンチを繰くり出そうとしていた。
ハリーは本ほん能のう的てきに動いた。ポケットから杖つえを取り出し、何も意識せずに、思いついた呪じゅ文もんを唱となえた。
「レビコーパス!」
ロンは悲鳴を上げ、またしても踝くるぶしからひねり上げられて逆さまにぶら下がり、ローブがダラリと垂たれた。
「何の恨うらみがあるんだ?」ハ�
第18章 たまげた誕生日 Birthday Surprises(15)
「誰だれのこと言ってるんだ?」
「君こそ誰の話だ?」ハリーが聞き返した。
この会話はまったく辻褄つじつまが合っていないという気持が、だんだん強くなっていた。
「ロミルダ・ベイン」
ロンは優やさしく言った。そのとたん、ロンの顔が、混じりけのない太陽光線を受けたように、パッと輝かがやいたように見えた。
二人はまるまる一分間見つめ合った。そしてハリーが口を開いた。
「冗じょう談だんだろう? 冗談言うな」
「僕……ハリー、僕、あの女ひとを愛していると思う」ロンが首を絞しめられたような声を出した。
「オッケー」
ハリーは、ロンのぼんやりした目と蒼あお白じろい顔をよく見ようと、ロンに近づいた。
「オッケー……もう一度真顔まがおで言ってみろよ」
「愛してる」ロンは息を弾はずませながら言った。
「あの女ひとの髪かみを見たか? まっ黒でつやつやして、絹きぬのように滑なめらかで……それにあの目はどうだ? ぱっちりした黒い目は? そしてあの女ひとの――」
「いい加減かげんにしろ」ハリーは苛立いらだった。
「冗談はもうおしまいだ。いいか? もうやめろ」
ハリーは背を向けて立ち去りかけたが、ドアに向かって三歩と行かないうちに、右耳にガツンと一発食らった。ハリーがよろけながら振り返ると、ロンが拳こぶしを構かまえていた。顔が怒りで歪ゆがみ、またしてもパンチを繰くり出そうとしていた。
ハリーは本ほん能のう的てきに動いた。ポケットから杖つえを取り出し、何も意識せずに、思いついた呪じゅ文もんを唱となえた。
「レビコーパス!」
ロンは悲鳴を上げ、またしても踝くるぶしからひねり上げられて逆さまにぶら下がり、ローブがダラリと垂たれた。
「何の恨うらみがあるんだ?」ハリーが怒ど鳴なった。
「君はあの女ひとを侮ぶ辱じょくした! ハリー! 冗談だなんて言った!」
ロンが叫さけんだ。血が一度に頭に下がって、顔色が徐々じょじょに紫色になっていた。
「まともじゃない!」ハリーが言った。「いったい何に取とり憑つかれた――?」
そのときふと、ロンのベッドで開けっぱなしになっている箱が目についた。事の真相しんそうが、暴ぼう走そうするトロール並みの勢いで閃ひらめいた。