2021-04-17 電車が赤い札を卸(おろ)して、ぶうと鳴って来る。入れ代っ...
2021-04-17 「何だい、それは」「こっちが紙屑籠(かみくずかご)、こっち...
2021-04-17 「散歩ですか」と小野さんは鄭寧(ていねい)に聞いた。「うん...
2021-04-17 「ええ、君らも行ったそうですね」と小野さんは何気なく答え...
2021-04-17 「みんな新式な装釘(バインジング)だ。どうも」「表紙だけ奇...
2021-04-17 小野さんの腋(わき)の下が何だかじめじめする。「あれは僕...
2021-04-17 「急いで出すが好い。いつの事やらじゃせっかく忙がしがる甲...
2021-04-16 蟻(あり)は甘きに集まり、人は新しきに集まる。文明の民は...
2021-04-16 岡は夜(よ)を掠(から)めて本郷から起る。高き台を朧(おぼろ...
2021-04-16 「夜見ると」甲野さんがすぐ但書(ただしがき)を附け加えた。...
2021-04-16 「あの横に見えるのは何」と糸子が聞く。「あれが外国館。ち...
2021-04-16 湿(うるお)えるは、一抹(いちまつ)に岸を伸(の)して、明か...
2021-04-11 「兄さんは銀時計もいただけず、博士論文も書けず。落第はす...
2021-04-11 「兄さん」「何だい。――仕事はもうおやめか。何だかぼんや...
2021-04-11 「御前がこしらえたのかい。感心に旨(うま)く出来てる。御前...
2021-04-10 隣りに腰を掛けた孤堂先生はさほどに大事な夢を持っておら...
2021-04-10 明かなる夢は輪を描(えが)いて胸のうちに回(めぐ)り出す。...
2021-04-10 「おい富士が見える」と宗近君が座を滑(すべ)り下りながら、...
2021-04-10 「もう直(じき)ですね」「ああ、もう訳はない」と長芋(ながい...
2021-04-10 「うんいた」と甲野さんは献立表(メヌー)を眺(なが)めながら...